■cwf4×2(堆                                        

                                                          …………………bX





                                                ■434.cwf4×2(堆/911210/三原町八木新庄





まるで白黒写真に彩色した戦中の絵葉書のような風合いの写真だが、これは清水の舞台から飛び降りる
覚悟で購入した中古品、キャノスキャン5600Fの「褐色補正」という機能を使ったネガフィルム取り込みに
よるものだ。写真上部には黒い葉の影のようなものがあるが、これはカメラのフレームになにか汚れがあるのだろう。
普通は、ここまでギリギリ一杯にプリントはされないのだ。感覚的な記憶では、もう少し
ファインダーの視界は狭かったと思う。
車体側面には白い「!」のようなものがあるが、これはゴミ。
他にも、経年変化で紫色になった部分もあり、保存の悪さがよくわかる。ちなみに、以前にもどこかで
書いたが、私はかつてフィルムは冷蔵庫に保管していた。ここがいちばんの「冷暗所」だと
思ったからだが、冷蔵庫の中は予想外に湿度が高かった。取り出してみると、フィルムとそれを収納した半透明の
袋が水滴でくっついていたりして、そのせいでフィルムに水の跡が残ったり、乳剤面が剥がれたり
していたのだ。まあ、カラーフィルムにはもともと保存限界があるのだが、あれは痛かった。
ちなみに、スキャナーの「褐色補正」は強にしてあるが、緑部分がちょっと生々しい。
この程度の退色ならば「標準」がいいだろう。
ちなみに、下は何も補正していない同じフィルム。







■435.





これはこれで、大映の怪獣映画をテレビで見ているようで味わいがあるが、補正をかけた
ほうがより視覚に近いのは否めない。
スキャナーとフィルムの話はこれくらいにして、この堆肥散布車である。







■436.



その塗装色と平面構成の多さから装甲車を思わせる外観だが、この色は錆止めのひとつとして
販売されているので、その錆止めのままの可能性がある。本来、上塗りとして普通塗料を
塗るべきだが、その手間を省略することは素人のよくやることだ。もっとも、
錆止めを省略して上塗りだけのこともあるが。

後ろから見た特徴として、後端にある牽引具らしきものがある。
実際になにに使うのかわからないが、この低い位置では地面に引っ掛けることに
注意しておかなければならない。
各所にロープ用フックも残っているが、積載物の固定をすることはもうないだろう。
ナンバープレートはないが、総じて堆肥散布車にはつけられていないことが多いと思う。
堆肥のある場所から田畑にしか活動場所がないからで、
この車でスーパーに買い物に行ったりは、さすがにしないだろう。
もっとも、それでもあったほうがいいのだが。
後輪のフェンダーは、散布機の底部で邪魔だったのか、上部が切り取られている。







■437





真横からは、ほんの少しだけ散布機が傾斜しているのがわかる。散布機の前端と
鳥居さんの隙間に角度がついている。これはおそらく、堆肥をより効率よく後ろに送るためだ。
散布機内部にはそのためのベルトコンベアーがあるはずだが、それでも傾斜が
あったほうがいい。ならばもっと傾ければと思うが、これ以上やると走行時の振動で
どんどん堆肥が後端に集中してしまい、前後の重量バランスが取れなくなる。
最悪は前輪が浮いてハンドルが切れなくなるかもしれず、やりすぎは
禁物だ。
この散布機には独立した専用のエンジンがなく、走行用エンジンで散布機も
動かしているようだ。そのためのギヤボックスが助手席にあたる場所に
あり、複雑な支柱に固定されている。その下には流用品のガソリンタンク。







■438.




前から見るとより無骨というか、荒々しい造形だ。
エンジンのボンネットは曲げが適当だし、固定ボルトも規則性がない。
指示器の位置がフクロウの耳のようで、あまりの独特さに感動してしまうほどだ。
夜間に右折する場合、対向車がそれに気づけるだろうか?
驚いたことに、座席の横には腕木式の指示器が両方とも残っている。
操作用のケーブルはないので、まったくの飾りだ。
警笛のラッパもあるが、ゴムの握りはなくなっている。ハンドルに
ホーンボタンは残っているのだろうか。
ヘッドライトはでかいのが中央に一個。夜間は道路を走らない方がいい。

余談だが、背景にはかつての自販機コーナーが写っている。
ここのうどんがうまかったのだ。
駐車場の桜もきれいだった。
中学校はあるが、校舎は変わっている。
うまい自販機も、きれいな桜ももうない。







■439.






散布機用のギヤボックス支持架は、左右で違うアングルが使われていて、無計画ぶりを示している。
完成度は二の次で、役目を果たしてくれればいいという実利的な製作は、完成度を
突き詰める工業製品とは対極にある。乗り物でこういうことをされると、かえって魅力になる。
エンジン架のアングルは前方に長く出ていて、たぶんだが、かつては汎用式の農業用ディーゼルが
積まれていたのではないだろうか。横置きのディーゼルなら、車台の枠にきっちり
収まりそうだ。エンジン下には動力取り出し用のプーリーがあり、これも迫力を出している。
しかし、もうこの当時からこれにベルト掛けして脱穀機を回すような光景は
見られなくなっている。
それにしても畑には堆肥が撒かれていないようだが、この農民車は何しにここへ来たのだろう?
試験運転かな。








■440..cwf4×2(堆/911212/三原町八木新庄




あんまりかっこよかったので、二日後にまた撮っている。
暇か。

助手席ギヤボックスのレバーがむやみに長い。運転席に座ってでは握り玉を持てない
だろうが、これも流用品についたままのレバーを短く切らずにしたからか。
また余談だが、現在の背景にはコンビニがある。





■441.




む、この俯いたような感じもいい。気に入った農民車は何枚撮っても飽きない。
後ろに見えるfwf4×2もなかなかのものだが、紹介はいずれ。







■442.




散布機側面に二日前より多く堆肥がかかっているので、ちゃんと使用されているようだ。
エアクリーナーをかわして切り取られたボンネットが素敵。
引っかけて切断しそうなラジエーターのセンサーケーブルも魅惑的。
回転部がむき出しで運転席横にある危険なギヤボックス。

ノムシみたいにぶら下がっている指示器(ひょっとして、固定は上のネジ穴だけ?)。
この姿を後世に残さずしてなんとしよう。






■443.






このアングルとそっくり同じ写真が、たしか「駅前写真館」にある。
車の写真など、撮れるアングルは知れているので気にしてはいけない。
まして私は標準レンズがほとんどなので、なおさらだ。
しかし、もっと撮っておきたかったなあ。




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