■410.cwf4×2/980417/五色町都志大宮





トラックというものは、真後ろから見るとほんとうに味もそっけもないものだ。
水がぬるんでくる季節、早生植えのための田に水を引き始めているのか、草萌える色も
のどかな光景だが、この農民車はまったくもって鉄の板である。
ものを運ぶ目的にユーモアは必要ないのだ。




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が、対照的に前側は実用的ではあるが個性的である。
「質実剛健」という四文字熟語がぴったりだ。荷台にかけられた鉄の鎖も
重要なアクセサリーのごとく、男らしさを演出する。
破れたシートもワイルドだ。
薄い鉄板でエンジンを覆い、L字アングルで架台を構成する。
油じみたハンドルポストもいい雰囲気。
深緑に茶色は渋すぎる。




                                                                  
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荷台に満載されているのは栗石……ぐりいしと読むようだが、一般的に
コンクリート基礎の底に使われるものだ。
近くに工事現場が見当たらなかったので、そういう場所に使われるのかどうか
わからないが、いずれにしろこの小さな農民車でしか田んぼのなかの小道は通れない。
土建業者の農民車なのかもしれないが、うしろのダブルタイヤも
それを物語っている。




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農民車に正確な最大積載量は決められていないが、見た感じ、あきらかに
積載超過した状態であるのは、車体全体が後ろ側に傾斜しているのでもわかる。
重量物を運ぶことを見越してか、タイヤ空気圧はこれも適性を超えているのだろう、
逆にまったくひしゃげていない。
何重にも重ねられたシャーシーの鉄骨も頼もしいが、
運転者はちょっと怖かっただろうなあ。





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■cwf4×2
………………………………………………………………………………………………………………No.9