■cwf4×4
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■40.cwf4×4/990504/三木田公会堂
納車したての新品である。ナンバープレートもつけていない。それとも、つけないのだろうか。
世の中には「判官びいき」という好みの一種がある。例えば、巨人よりも阪神が好き、とか零戦よりもバッファローがイイとか、吉永小百合より
市原悦子がタイプ(いないか、そんなやつ)などという感じである。
勝っている一方よりも負けている側の応援をしたくなるのは、人の情としてなかなか味のある感情である。なかば屈折した心境ではあるが、
この気持ちを全面的に否定するような人間はめったにいないだろう。
私自身も判官びいきというか、早く言えば趣味がかなり一般よりズレていると自覚している。そういう私がこういう農民車を見ると、つい
冷ややかになり、よく見かけるにもかかわらず写真に撮ることを敬遠してしまう。
この事は、本車にたいしてかなり失礼にあたる。要するに、私が撮った写真の数と、車種の実用性および人気は比例しないということだ。
実際、この農民車は高性能である。「ウエハラ・スーパー・ダンプリフト」と正面に白抜きでシールが貼ってあるが、そのとおりに荷台がダンプ(傾斜)し、
かつリフト(昇降)する。四輪駆動であり、パワーステアリングである。荷台は完全にフラットで、ステンレス合金で保護されている。
アオリ板は木製だが、これは重量を考慮して、あえて金属製を避けたのだろう。そのアオリ板のクッションの為にゴム部品までつけてある。
その高性能さは、写真42.を見ていただければ充分感じてもらえるだろう。低く使いやすい荷台、しっかりと踏ん張った四輪、高い床下、バランスの
とれたスタイリング。どれを採っても第一級の農作業車輛である。この農民車を超えるものは、この先出現するだろうか。
cwf4×4型は、他にもいろんなタイプがあり、プロポーションの均整がとれたものが多い。中でも一番カッコイイのはこの型だろう。
話はもどるが、カッコイイものがイイとは限らない。吉永小百合や零戦のように、完璧な美しさを備えつつも、今一歩好きになれない気持ちもある。
「ウエハラ・スーパー・ダンプリフト」はその農民車版である。私はやはり、もっとボロな農民車がいい。
蛇足になるが、この写真の撮影より数年前にPL法が施行され、製造物に対して製造者の責任が重くなった。この車には、その対処で
いろんなところに注意書きのシールが貼られている。
■41. ■42.
■43.