■382.cwf4×4/910615/西淡町西路
昔から当HPを見てくれている方々にはよくご存知と思うが、近野は当初、ハーフサイズカメラで農民車を
撮影してまわっていた。まだ写真の映る原理やカメラ個々の特性をまったくを把握していない初心者は、
とにかく安く枚数をかせげる安いハーフを、しかも売れ残ってカメラ屋の片隅にあった棚ずれ品を
一番最初の愛機に選んだのである。
通常の一枚分のフィルム面積を二分割し、倍の枚数を写すのがハーフサイズカメラ。
しかし当然、ISO感度は倍になってしまう。
そのため、なんとなくぼやっとしたような、光っているような特徴のある画像になる。
ま、それはともかくそのオリンパスペンで撮った無数の農民車のうちの一枚。
手前にもcwf車が映りこんでいるが、主題は奥にあるほう。
なんだこりゃの一台である。
■383.
画面にあちこち黄色い部分があるが、保存が悪かったのかカラーフィルムの経年劣化なのか。
あえて無視して、奥の農民車に注目していただきたい。
車幅いっぱいに広がったボンネットと、縦目にならんだヘッドライトが印象深い。
手前の変哲のない農民車がとても邪魔。
申し訳ないけど、ほんとに邪魔だった。
吊ってある玉葱も死ぬほど邪魔。
写真を撮ってると、よくあることなんだけど。
■384.
うしろからはがらあきなんだけど、一番見たい部分がまったく見えない。
どうしようもないので、この日は臍をかみつつ退散した。
■385.
cwf4×4/921017/西淡町西路
捲土重来の日は一年と四ヶ月後にやってきた。
同じ玉葱小屋の左側に、顔をこっちに向けてかの農民車がとめてあったのである。
この類を見ない縦目四灯のヘッドライト、それにバンパーはまさしくホンダTN−Vまたは7に間違いないだろう。
しかし、問題はその上のボンネット。この傾斜から、近野は初代ステップバンの部品をを流用したのかと
思っていたが、ステップバンは丸目二灯のヘッドライトのみで、四灯はないらしい。
ヘッドライトとバンパーはは軽トラックのTNとして、ボンネットはなんだろう。
ステップバンのボンネットには、横部分にスリットがない。とすると、他の車種からか。
私の拙い知識で思い当たるのは、スズキ・ジムニーだ。
便利なネット検索で探ってみると、ジムニーLJ20という形式のものがそれらしい。
六本スリットがあり、ボンネットのブレスラインと丸味がどうやら合致する。
シャーシー部分にも注目願いたい。
この曲がったシャーシーは、淡路島内の鉄工所では決して造らない。
いや、たぶん造ることができない。島内では、既製品のまっすぐな鉄骨を使うはずだ。
ジムニーの下回りは、検索したかぎりでは385.の写真と同様に曲がっていて、
横方向にも四角い鉄の、妙なでっぱりがある。
■386.
そしてこの狭い間隔の板バネ、小さなデフケース、ど真ん中に据えられた牽引リングを見よ。
そしてぶった切られたかのようなボンネットの前端部。
ふたつのヒンジ。これはもうジムニーのものにちがいない。
そしてそのヒンジが使えるように、わざわざアングルを組んでいるのだ。
凝っているのか手間を省いたのか、よくわからない。
この角度からは指示器もよく確認できるが、これはTN-Vのもの。
エンジンはさて、どの車種だろうか。
写真382.からは、縦になった直径の小さなエアクリーナーが見えるが、
はたしてジムニーか、TNか。
あるいは、まったく違う車のものだろうか?
このさえぎるものがない窓から見えるプーリー類から、判断できる達人がいるのだろうか?
いや、多くを手造りで仕上げる農民車も味わい深いが、
寄せ集めで造られた農民車もまた楽しい想像を膨らませてくれるものなのだ。