■cwm4×2(堆
望遠レンズというものは、カメラ好きにとってはかなり魅力的な一品である。
標準・広角とともに、レンズには各々特徴と魅力が備わってはいるのだが、望遠のもつ
重厚感というか、冷徹さなのか、とにかく物事を集中して把握するような
緊張感が私は好きだ。
農民車という一般的には知られていないものをHPで紹介するにおいては、
なるべく標準レンズのもつ客観性を重視するようにはしている。
いままでの写真を見ていただければおわかりいただけると思うが、標準レンズは
特に実物の大きさを表現しやすいのだと思うし、私が持つレンズで一番明るいのが
50ミリ標準なので、より細部も正確に捉えられているだろう。
しかし、その標準の長所を理解したうえで、ときに無性に望遠を使いたくなるときがある。
望遠を使うときはなるべく重厚長大な被写体がいいと思っている。
この堆肥散布車がまさにそれだ。
複雑怪奇な鉄の構造物は、まるで昭和初期の軍艦のようではないか。
さらに寄って一枚。
■345.
ううむ、もはや農民車を解説・紹介するという趣旨からは遠く外れてしまっているが、
たまにはこういう写真もいいだろう。
さて、いいかげんに本題に戻るとしよう。
345.の前輪車軸は暗くてよく見えないのだが、どうもデフケースがなさそうである。
ということはこの大きな車、後輪駆動のみらしい。
昔の堆肥散布車は後輪駆動が多かった印象があるが、この車は新しそうだし、造りも
ていねいでしっかりしている。どうせなら四駆にすればいいのに、と
素人は考えるが、想像するに堆肥をまくときはおおむね稲刈りのあと、
あるいは田起こしの直前である。つまり田んぼには水がなく、
ぬかるみもない比較的硬い土壌なので、後輪駆動のみで十分なのかもしれない。
荷台に堆肥散布機があっては、それ以外の用途には使えない車だし。
ちょっと気がついたところがある。
ラジエーターの上にある分厚い円盤状のエアクリーナーには横に穴があいているが、
本来ここには円筒状の吸気パイプ(というのだろうか)が横についているはずだ。
椅子に干渉するのでわざと切ったのだろうか。なにもこんな
狭いところに押し込めずとも、前には広い場所があるのに………あっ!!
重大なことにいまごろ気がついた。
この散布車、エンジンがミッドシップだ。
うわー、堆肥散布車でミッドシップなんて、この1台だけじゃないか。
もう14年も前の写真なのに、いままで気付かんかったー。
■346.
あーおどろいた。
しかし、この大型の堆肥散布車をミッドシップにして全長を縮めようとした理由がよくわからない。
足元をよく見たかったのかなあ。
■347.
運転席の床は、滑り止めの凹凸がついた鉄板が複雑な立体を作り出していて美しい。
変速レバーが一本しか見当たらないので、やはり後輪駆動か。
■348.
最後に、標準レンズで撮ったより客観的な全体像を見ていただこう。
普通の車でいえばバンパーにあたる場所、なんでこんなにでっかい板がついてるんだろう。
ミッドシップのエンジン配置といい、バランスは取れているが不思議な車だ。
それにしても驚いたなあ。