■fam4×2
この農民車のエンジン搭載位置をミッドシップと表記していいのかどうかわからないが、ここでは便宜的にそう分類する。
エンジンをハンドルの後、つまり必然的に運転席の下に配置するという考え方は、どういう見地からでたものだろう。
エンジン配置にはハンドル前部・運転席下部・後輪後部といったものがあるが、この運転席下部にあるものは最もエンジンからくる悪影響が大きいといえる。
何しろその騒音のやかましさは相当のものである。エンジンの上に尻を置いて運転するなど、考えただけでもやかましい。さらにその振動もすごい。たとえれば
太鼓を10センチぐらいの至近距離で叩かれるようなもので、音が空気の震えとなって体に響いてくる。写真のエンジンは単気筒なのでよけいものすごい。
また、排気ガスもほとんど病的に吸い込まなければならない。整備性も悪い。仮にこの車が市販されたとすれば、まったく売れないだろう。
この配置のおそらく唯一の利点は、車体の長さを短くまとめる事ができる、というものだ。短ければ小回りがきく。細い畦のような道が活躍の場である農民車にとって
この点は大きい。
それと、これは関係無いかもしれないが、農民車のサイズや馬力等が、規制された時があったらしい。今でもそうかもしれないが、私はその制限寸法を
とある鉄工所で拝見させてもらったことがある。詳しく覚えていないが、およそ冗談としかおもえない、
「トップカーを買ったほうがましだ」
と思える数字だった。現在では廃止されたか、有名無実となっているにちがいない。何しろ農民車は大型・高性能化していく一方である。
それにしてもこんな運転席に座って怖くないのだろうか。ブレーキを踏んだだけで前にコケ落ちそうである。
最後にひとつ、燃料を入れるときは座席のシートをとりはずしてからタンクのキャップをあけるのだ。
まったく、冗談みたいな車である。