■fam4×2
…………………bQ
■59.fam4×2/931010/一宮町カワベ
写真59.は、この農民車の大きさを理解してもらうため、あえて掲載したものである。
ご覧のとおり、その寸法は一般的な車輛の概念をいちじるしく下まわっている。運転している人物の身長は、おそらく160cmぐらいだと思う。
それなのにこの農民車の小ささはどうだ。よくもここまで控え目に造ったものである。
では、全体像も見てもらおう。
■60. ■61.
私などは、ある種の電気自動車と見誤ってしまいそうになる。前端部にある鉄板の構成がそう感じさせるのだろうが、もう一点、エンジンが
どこにあるのか、一見わからないからだろう。famの形式名のとおり、エンジンは座席の下に(60.参照)あるのだが、運転席をおおう鉄板によって
隠されたようになっているのだ。
車体自体が小さいために、エンジンの配置にも苦心したのだろう。ロビン空冷エンジンはシャーシーよりもさらに下に搭載されている。
61.では、エンジンに隣接できなかったマフラーと排気管が、前部フェンダーの後に傾斜してくっついているのがわかる。この角度からみると、
なかなかどうしてカッコイイではないか。
■62.
62.では、二枚の写真をつなげてみた。
人から聞いたはなしだが、このタイプの農民車はまがい物だ、という人物がいるらしい。又聞きなので真意は量り兼ねるが、たぶん手作りの部分が
少ないからではないだろうか。良く見る農民車では、荷台、シャーシー、運転席まで、市販の鉄板やアングル、材木から組み立てられている。
それに対し、この農民車は前端のカバーのみが造られた、という感じだ。これは私個人の印象であるが、その他の部分は手作りにしては
キッチリ出来すぎている。つまり、メーカー物のトップカー等の作業車のエンジンとギアボックス、ハンドルを付け替えただけのように思う。
上記の人物は、そのへんが不服なのだろう。もっと独自性を出せ、というわけだ。
だからといって、これを農民車にあらず、と言いきってしまうには、あまりに惜しいユニークさである。それに、他の農民車だって多かれ少なかれ、
既製品を使っているのだ。それだからこそ、田舎の鉄工所でも車が造れるのだ。
ちなみに、その人物は農民車製作の元祖であるらしい。機会があれば、あってみたいものだ。
この農民車、今のところ一宮町・五色町・安乎町で撮影している。やまあいの狭く曲がりくねった道に適応した車格なのだろう。