■fwf4×2
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■22.fwf4×2/901028/五色町都志
前々から近所のバス停付近でよく見かけていた農民車がある。いつか撮ってやろうと企み、
「どこに車庫があるのだろう」
と、注意して観察していたら、とあるスレート造りの物置に入るのを目撃した。
早速、休みの日に出かけてみた。不法侵入で訴えられても仕方ないが、その時はあやまろうと思って黙って物置にはいりこんでしまった。
写真22は、その真後ろからのものである。相当な年季が入っている代物だが、よく見てもらいたいのは荷台の下にあるいろんな石等である。
何故こんなところに重量物を固定しなければならないのか、私なりに推察してみた。
これは要するにカウンター・ウェイトであろう。ここに重みがないと具合が悪いのだ。
例えば、後輪駆動の車がぬかるみにはまりこんだとする。運転手が一人、助手席にもう一人いたとして、助手席の者はどこに移動すれば
ぬかるみから車を脱出させられるだろう。
前輪の上なんかにいったら、よけいに泥にはまりこむ。回っているタイヤの摩擦力が低下するからである。
やはりここは駆動輪の上だろう。車体後部に体重をかければ、それだけ泥へのタイヤの食いつきがよくなり、脱出しやすくなる。
そういうことで、わざわざ重しをここにのっけている農民車はけっこうある。FWR形式の農民車などは、エンジンそのものをウェイトとした
秀逸な例である。
ただし、調子にのって重くしすぎると逆効果である。過積載のトラックと同じで、坂も登れなくなってしまう。第一、燃費は悪くなるし、
速度だって出なくなる。地面にこすっちゃう事もあるだろう。
写真の事例では、とってつけたような感じで、どうも素人くさい。重量もどうせ勘だろう。
ただし、この農民車はすばらしく幸せである。荷台の板などは、腕まではいるぐらいの隙間があいているが、昔の敷居のように
つるつる光っている。運転席もエンジンも使い込まれてつやつやだ。決して雨ざらしにしていない証拠である。
運転していたのは七十代ぐらいの老人だった。その人の顔も手も、同じように光っていた。
■23. ■24.