■fwm4×2
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■30.fwm4×2/961010/一宮町大町
水冷ディーゼルエンジンを運転席の下に積んだこの形式は、エンジン配置の問題よりも車台の構造が問題である。
というのは、車体にかなりばらつきがあるのである。他のものではエンジン配置の違いはすなわち車台の違いにつながる場合が多い。
写真にある前輪の左側がパンクしているこの農民車は、車体そのものはfwr形式と同じ車台をもっている。エンジンを後輪後部に配すれば、
そのままfwr4×2となる。
こまかな差異をいえば、fwrは荷台の側板や背もたれ・運転席の床が木製の場合が多い。この農民車では、それらがことごとく鉄板である。
このことは、当農民車がfwr形式の改良版であることを示している。fwr4×2の項を参照してほしいが、fwrは構造的に欠陥が多すぎ、一時的に
ヒットしたが、すぐに売れなくなった形式である。
最大の欠点はエンジンがすぐに地面をこすってしまうことだったが、そのエンジンを運転席までもってくれば問題解決、というわけだ。ついでに全部鉄製にして
頑丈にしてしまえ、てな感じだろう。
さらにいえば、木の板から鉄板に変わることによるコスト高に購入者が納得できるようになった、つまり所得が上がったのだ……というのは考えすぎだろうか。
キャブレターの調子が悪いのか、荷台の前側は煤で真っ黒けである。運転者もさぞ息苦しかろう。こういう場合はふきさらしの運転席が図らずも
役立っている。
■31. ■32.