■fwm4×2                                                     

…………………bQ

 

 

            ■63.fwm4×2/920418/一宮町草香

 

 

 

 「草が香る」という、まことにおだやかな地名の農民車である。傾斜地が多く、道幅のせまいこの地区には大型の……たとえばCWF形式のような

農民車は向いていない。写真の農民車が適当なサイズであろう。

 

 ドンゴロスを被せてあるエンジンは、クボタのディーゼルエンジンである。赤い色が油で鈍く光っているのが、ていねいに使われている

普段を思わせる。左側にそっと立てかけている板はなんだかわからないが、それも優しい雰囲気を出している。左のタイヤがパンクしているが、

この分だと早晩修理されるであろう。

 そのタイヤだが、よく見ると白いゴムが入っている。相当車に凝っている人間でも、こんなシャレたタイヤを使うのは珍しい。まあ

多分、無意識に選んだ車輪なのだろうが。

 荷台は緑に塗られている。この荷台は市販の軽トラックのものだろうか、プレス加工してある。荷台もタイヤも、幾分か年代物なのかも

しれない。二、三十年前にはこんなタイヤも流行っていたように思う。

 もうひとつ、運転席の背もたれ(鳥居さん)を、よーく見てほしい。低い背もたれに高くアングルを溶接し直しているのがわかるだろうか。

腕木式の指示器は左側しかのこってないが、それも低い背もたれの位置のままである。

 

 仕事や生活の道具を、修理し、手入れし、改良しながら人は使っているのだ。

 

 蛇足だが、たまねぎ小屋の構造材はすべてコールタールを塗布してある。本当に、まめな人物がいるものだ。

 

 

 

 ■64.

 

 

 

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