■Fwm4×2……………………………………………………………………………………………bV 







                                       ■470.fwm4×2/921121/津名町大町



農民車の形式としては、fwm4×2のbSと同様の車体である。
車幅が狭く、車体長がながい。アオリがエメラルドグリーンで、ホイールが赤、その他が黒という
配色も同じ。おそらく、製造所は津名町志筑の野上自工。エンジンを後端に配した
fwr型で独自色を出した農民車メーカーだが、これはその発展版といえる。
前方視界がよく、小回りと積載容積にすぐれたエンジン後部搭載型は、反面、構造が複雑で
操作が煩瑣になる。エンジン中間配置型はその利点を生かしつつ不利を補うものだ。

エンジンカバーを兼ねた運転席は、その外観が可搬式農業用水冷エンジンであることを、
空気取り入れ口と差し込み穴の位置で示している。
それぞれ、エンジン本体のラジエーターと始動用クランクハンドルの差し込み位置と
まったく同じなのだ。もうひとつ、右の縦スリットは燃料コックだろう。
カバー上部に四角い枠が乗っているが、そこに座席クッションが載る体裁だ。
鉄のエンジンカバーは、エンジンの音をいくばくかは低減するかもしれないが、
その爆音と振動は、やはり尻には少なからず響くと想像するに難くない。

直立した黒い背もたれは、黒い色から連想すると荷台の鳥居部にくっついて、共にダンプする
ように見えるが、撮影時に確認しわすれた。一般にダンプする車両では、
運転席キャビンとダンプする荷台は別構造で、農民車においても荷台前端の固定壁は荷台の箱構造の一部分だ。
鳥居および背もたれは車台と一緒になっており、そうでなければ、運転者が座席にいるときに
荷台が上下すると、背中をこすりながら鉄板が上下するという、ギロチンばりに危険な状況となる。
普通に考えれば、この農民車もそんな危険を生じるとは思えないが…。






                                ■471.



しかし、相手はときに着想の奔放さをみせる農民車だ。
シートベルトも屋根もない車体は、運転者の安全という、言うまでもない
必須条件を忘れさらしむことがあるのかもしれない。
なんとなれば、その背もたれの上にある荷台用ライトが後ろにひん曲がったままで、
背もたれ固定で荷台のみダンプするとなれば、ライトに
引っかかって折損してしまいかねない。それが
折損してないということは、背もたれも一緒にダンプするからないではないのか…。

もとより、荷台用ライトは折れ曲がってから一度も荷台ダンプ状態を
経過していないのかもしれないので、確たることは言えない。






                                                ■472.



車台後端の鋼材は斜めに切られたようになっているが、これがダンプ車の
特徴のひとつだ。ほかには、後端アオリが下向きに開くようになっているのも
ダンプすることを示す。

それにしても、溝用コンクリート部材と擁壁用コンクリートブロックを満載したまま、
重すぎたかタイヤが地面に埋まりこんだ姿は、ずいぶんと身につまされるものがある。
そのうえ前後隣のあいだにはスレートの屋根材が重ねられているし、前輪のすぐ横には
太い棟木が二本もあって、たいへん動きづらい状況だ。
どうかこのまま、農民車がブロック置き場となってしまわないよう、
人知れず祈ることとしよう。





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