■168.fwm4×4/920126/洲本市三木田
 
 
 

 

 

 

 
  ■169.
 
 

 

 

 

 
 
  ■170.
 

 

 
 
 

 これは、かなり古い農民車だと推察する。エンジンは最低一回は交換しているだろう。

 古いと考えられるのは、その運転席の構造にある。機械の基本的な構造というものは、新しい型に

造りかえられるにしたがって、より造りやすく、簡単なものになっていくものだ。それに強度が優れているものは、

おおむね単純な組み立てになっていく。そのほうが製作コストも安いし、短時間で造れるということもいえる。

 

 したがって、不必要に複雑な機械は、古いものに多い。例外的に新しくて複雑なものは、

わざとそうしている何らかの理由があるものだ。たとえばデザイン性とか、懐古趣味とか。

 

 農民車という実用性がなにより重要になる機械は、かっこいいデザインなど意識して造られることは

まれである。だから、このように複雑な造り方をした運転席部分は、古いにきまっている。

 これは車台(シャーシー)を始めに組み立ててから、あとで思いつくままに次々と必要な部品を

くっつけていった、という感じである。一個だけのヘッドライトの上、まっすぐした鋼材のその上にある

ヘラヘラの鉄板は、足をふんばるための支えになるものだが、いかにも場当たり的に取りつけられたようではないか。

とれかけた指示器(?)も、昔よくみた形のサイドミラーも、どうでもいいようなくっつけ方である。

こんなところにつけたら、すぐに何かにあたってとれてしまう。 どちらも用をなしていないだろう。

 

 しかし、それにしては荷台のほうはステンレス製で、立派なものである。これならば堆肥を積んでも、

そうそう腐食しないだろう。あるいは、荷台もエンジンとおなじように張り替えたのかもしれない。

 

 これを四輪駆動としたのは、レバーが三本もあるからだ。荷台がダンプするとも思えないので、後輪駆動と

四輪駆動の切り換えレバーがついているのだろう。それにチェンジレバーと、あと一本はなんだろうか。

 

 背の低い運転手は、畑から紫色の収穫物を運んでいた。いったいなんなのか、これは私には想像もつかなかった。

■fwm4×4
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このページを更新してからだいぶ経った平成十七年の年末ごろ、
岡山県東部で水稲栽培をしているという
兼業農家の中務(なかつかさ)さんからメールをいただきました。

メールには、
「久しぶりに通読させていただき、気付いた点を何点かお知らせしたいと思います。」
と書かれており、近野自身が疑問だったり、また
気付かなかった点をいくつか丁寧に解説してくださっています。
実際に農業に従事されている中務さんのご指摘はたいへん的確で、
ここに掲載させていただきます。

このページでは、近野の三本目のレバーに対する
疑問に対する回答です、


ジープなどの4輪駆動車の変速機を使用しているなら、
レバーが3本あるのが普通です。

・まずは4速(または5速)のシフトレバー
・次に2WD<−>4WDの切り替えレバー
・最後にH<−>Lの副変速レバー

副変速機は、通常はHを使用しますが、悪路走破時などで
高トルクが必要な場合にLを使用します。
Lはギア比が高いため、同じ速度ならHより強い力で車輪が駆動され、エンジンの
側が同じ回転数なら車速はHより低くなります。
実際には無いかも知れませんが、トラクタの変速機を使用する場合があるならば、
更にもう一本、クリープ(超微速)の副変速レバーがある事も・・・。



「変速機レバーが三本」の文章は、ウチの親父が乗ってる
四駆軽トラックのレバーが二本しかなかったので、その経験だけで書いたものです。
一般的な変速機に加えて、さらに低速と高速の切り替えが
あり、さらにトラクターになるともうひとつ変速器が…。
ど素人の感想ですが、世の中にはいろんな市販車があるんですねえ。

中務さん、これからもお気づきの点あらば
どんどんご指摘ください。
ありがとうございます。

中務さんへのメール

迷惑メール対策のため、アドレスは削除しました。

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さて、上の中務さんからのメールを更新してすぐに、
今度はおたけさんから掲示板に書き込みがありました。
シフトレバーの本数にもうすこし突っ込んで、
車種別の違いと、さらに
ブレーキやその他流用部品の現況について述べておられます。
私が知らなさ過ぎるのかもしれませんが、
みなさんお詳しいです。


シフトレバーの本数は、詳しく言うと車両メーカーによって違いがあります。
たとえば、トヨタの古いランドクルーザーだと、農民車に換装した場合

4速-2速切り替えレバー
H-L切り替えレバー
主変速レバー

…の3本ですが、
日産パトロール(これも古い)4駆には
低速にしないと主変速ギヤが入らない車種がありましたので、

H-L切り替えレバー
主変速レバー

…の2本です。
また、三菱ジープはギヤの種類が違って、

2H-4H-4Lの3段切替えレバー
主変速レバー

の2本です。
最近の車体だと、中間ミッションを置いた車種が増えています。

農民車のブレーキは、昔ながらのドラムブレーキが適しているのですが、
最近の主流はディスクブレーキに移行しており、、
現行車ではドラム式が少なくなっています。
ある鉄工所では、スズキジムニーとかダイハツロッキーなんかを
農民車のベースとして使ったりしていますが、
変速機がオートマだったり、アルミでできた変速機の場合は急激な減速に
耐え切れず破損する場合があるようです。
そんなわけで、古い農民車もフクラップにせず、
変速機やブレーキを再生して(もちろんデフもですね)
二次使用…いや、元からたどれば三次使用もしているそうです。

現在、大半の中古車両部品は海外市場へ流れてしまい、
農民車製作所は残っている輸出できない部品を
業者に頼んで集めてもらっているみたいです。
ですから、従来の14インチ・4つ穴ホイールは手に入らなくなり、
古い農民車のタイヤをホイールごと交換する場合などは
代わりに新品のアルミホイールを使ったりしています。
また先日聞いた話だと、
ランドクルーザーで変速機自体にサイドブレーキがついている車種なんかは、
もはや自動車メーカーにも在庫部品が無くなったそうです。

農業が年間5%前後の率で衰退している現在、
後継者や環境問題、また輸入農産物による農産品価格の下落など、
さまざまな原因が重なり合って、
重量野菜を運搬する目的で産まれた農民車は、やがて衰退していくのでしょうね。
また農業用に開発・販売していた国内の運搬車メーカーも、建設業向け矛先を変えて
その主な販売先も海外へシフトしているようです。

アメリカなどでは事情が違って、日本で販売できない
農民車を越える性能を持った農業用運搬車が人気を呼んでいますが、
何ヘクタールもある農地の中では、一般的な道交法など関係ないなのか、
使いやすい性能へとどんどん改良されて出来上がっているようです。



市販の車にこれほどの微妙なシフト操作が必要なのか、
悪路を走行したことのない私には、正直いって疑問ではありますが、
販売戦略として他より一段でも多いギヤチェンジ性能を
求めた結果かもしれませんね。
ディスクブレーキが農民車に適さないというのは、円盤状のブレーキの間に
異物が一個でも噛み込むと効きが極端に悪くなるせいですかね。
ドラムだとパッドとパッドにかなり間があるから、
少々の小石でもその間に入ってしまいますから…。
少し前、あるも自動車整備所の前で足回りを分解してた
農民車をちょっと見たんですが、やはりドラムブレーキを
つけてました。昔のブレーキパッドは

アスベストが入ってるらしくて、取り扱いにも気を遣うでしょうね。
農民車を新造するために、廃車の農民車を
さらに流用しなければならないというのは、
物を大事にする美しい心だと思いますが、反面そういう
昔ながらの頑丈な部品が造られなくなっていることがあるのかもしれません。
アスベストの件が示すとおり、昔のものがすべていいという
ことは言えません。しかし、
軽い物を安く早く造る、という効率を重視すると、
長持ちする丈夫な品物ができなくなるのは、ままあることです。
心情的には気に入ったものを末永く使い続け、できれば
子々孫々にまで伝えたいものです。


ちょっと極論になりますけど、

日本市場が人口減や高齢化で縮小しているから海外へ投資するということは、
企業というのは人間が増えないと存続できないのでしょうか。
そうなると、地上すべてを人間が多い尽くしても
人を産んでいかなければならない…。
どっかで「企業は、社会は成長しなればならない」という
発想を変えないと、ほんとに取り返しがつかなくなると思うんです。
これは農民車とは関係のない話ですが。

おたけさんへのメール

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