■421.fwr4×2/910503/五色町大日





撮影時、この牛舎にはもう牛がいなかったと思う。もういまから三十年近くも前の
ことになってしまったので、さすがに記憶も薄れてきている。

言うまでもないが、ハーフサイズカメラで撮影しているので、画像が甘いことを申し上げておく。
おまけにいつものことだが、安物スキャナーも性能が低いので、輪をかけて画像が不鮮明なことを
お詫びしておく。なんとか補正してはいるのだが……。

話は本題にうつるが、いつ見ても独特な、不思議な形の車である。
すっきりした魅力的なデザインと言えなくもないのだが、どうしても
突っ込みたくなるのは私の性分か。
ここまで前後輪の直径がちがう車は、トラクターくらいでは。
前から後ろまで一直線に水平な床面などは、かなり潔いのだが、
後輪の板ばねが見えないことが一番の解せない特徴である。
かなり近くにエンジンがあるので、長い板ばねをつける場所がないことは見ればわかる。
だからといって、緩衝装置をつけない理由となるだろうか?
いかに農民車の遅い速度を考えても、走行時に振動で荷崩れを起こす危険は
かなり高くなるだろう。それに、左右方向に傾斜すれば、転覆の可能性も高まる。
ひょっとすると、後輪に隠れてコイルばねがあるのかもしれない。
しかし荷台と後輪の空間がほぼないことを見れば、おそらくこの車軸は完全に
固定されているはずだ。タイヤが上下に動けば、荷台にドカンとぶち当たる。
とすれば、ばねなどはあってはならない。
まったく、恐ろしい運搬車である。

そしてもうひとつ、ささいな特徴かもしれないが、このfwr型固有の特徴として、
荷台側板の四本ある固定用角材の差し込み金具の位置である。
どのような理由からか、まったく規則性のない場所にそれらはある。
工業用品の設計にはそれなりの理由があるはずで、あてずっぽうに位置決めすると
たいてい後先の辻褄が合わなくなるものだ。どこにつけてもいいのなら、
四つを四等分にしてつけるのが自然な流れ、
どう見ても不思議な代物だ。
そして、この長大で重い板材を四か所もの穴に合わせて
取り付けたり取り外したりするのは、さぞ骨が折れることだろう。







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後ろから見ると、横幅はこれでもかというほど(たぶん、1メートルくらい)に狭められ、
エンジンは荷台の床板すれすれまで高い位置にあることがわかる。
そしてやはり、後輪にばねらしきものはない。
エンジン架の左側の柱には、ナンバープレートの取り付け部と、牽引装置があり、
両柱にはごく小さな反射板が申し訳程度につく。
牽引装置は真ん中にあったほうがいいと思うが、始動用のクランクハンドルを
回すときに邪魔になるからかもしれない。
でも、この位置で牽引すると、引かれるほうは進行方向が左にズレていって、
まあ面倒なことになるだろう。
この農民車でなにかを牽引したことがあるのか、わからないことだが。





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fwr4×2
……………………………………………………………………………………………………No.9