▼派生型(特殊車両)                                              

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 ■15.??f4×2(ク・廃/950415/五色町大宮

 

 

 ここでいう特殊車両には、例によって厳密な判別法があるわけではない。ただ見た目にいかにも奇異で、一般的な農民車の仲間にいれるには
しのびない、見上げた設計概念を持つ農民車のことである。
 いまひとつは、農民車と同じように手造りでありながらも農民が使っていないか、主目的が別にある車両もある。
 これらはみな農民車の一応の成功を見て、その応用で考えられた車両といえる。それぞれの仕事に適応しすぎたあまり、融通のきかなくなった特異な
スタイルは、孤島で進化した希少生物をみるようで、かなり楽しい。そしてそれらは、悲しくも同じように絶滅への道をたどっている。
 正直いってばかばかしく見えるこういう農民車を収録することは、私にとって至上の喜びである。喜びすぎて何十枚も写真を撮ったり、堆肥置き場に
足を突っ込んだりすることもあった。みなさんも、ぜひ写真に見いってニヤニヤしてもらいたい。
 なお、土建屋が建築現場で使っている頑丈なのは、一般の農民車と区別がつきにくい。実際両方の(農作業でも)使われることもあるだろうから、
ここでは省くことにした。

 

 

16. 17.

 

 

 ■ところで写真15〜16であるが、普通の農民車の車台にクレーン(ユニックというのか)を搭載したものである。こんなものを考え付くのは、
土建屋の人であろう。すでに廃車となっており、エンジン形式は想像するほかないが、農業用水冷ディーゼルを先端に一基載せていたのだろう。
ここから前進・後進用の動力をとり、さらに別のシャフトとギアを介してクレーンの巻上機と油圧シリンダーをを動かしている。
 普通、こういう車両を造る際は出来合いの車両に出来合いのクレーンをのっけるものだが、おそろしいのはクレーンである。
よく見るとなんと手製である。適当なものはなかったのだろうか、まったく感心するというかご苦労な話である。
 このクレーンだが、伸縮は多分手動である。旋回も手動だろう。四方にアウトリガーもついてなく、重量物を吊り上げる時は不安定で危なそうだ。
中途半端な存在が災いして廃棄されたのだろうが、こうなる前に予測できない、そういう試行錯誤というか愚かしさがなんともいい雰囲気を出している。
 次の写真をみていただきたい。

 

 

18.

 

 

 ちょっと見づらい写真だが、クレーンの基部はタイヤのホイールではないのか。こんなことでいいのだろうか。まあいいけど。

 

 

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