▼派生型(特殊車両):cwm4×2(簡
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■229.cwm4×2(簡/931219/西淡町志知
いったい、農民車という車にはどういう基準があるだろうか。
「世界最初の農民車収集家」を自認する私(近野)ではあるが、自分自身のことながら
このことはあいまいで、明確な説明をつけられないでいる。
外見は農民車そのものでも、まったく農作業とは縁がなかったり、はじめから
農業以外の目的で造られるものもある。また、土木や建築などを農業と兼業して
いる使用者もいる。当HPでは、特異な形状・目的のものは形式末尾に( をつけて、
これらをすべて紹介している。
農業専用に使われていないからといって、くどくどと差別化してしまうと淡路島の
手作り車両の魅力…という面を伝えることができなくなってしまう。
「変テコな車が走っている」というおかしさは、私がこの島に住んでいて
幸せだと思える重要な一点なのだ。
写真の車は、農民車としてはかなり異形である。
真っ黒なコールタールを全体に塗られてはいるが、どうみても市販の小型トラックである。
にもかかわらず、屋根がない。それどころかドアもフロントガラスもない。荷台のアオリもない。
バンパーすらない。
いったい、市販のトラックの屋根を切り取って、なんの得があるのだろう?
雨風をしのげずに走ることは、たいへんな苦行を運転者に強いることになるし、
安全面でもいいことはひとつもない。かろうじて見通しがよくなるのかもしれないが、
それにしたってむき出しの緊張感を差し引きすれば、相殺されてしまう。
ふつう、車に手を加えるときにはなにか利点をもとめるものだが、
この車は、一般車両の作業性を良くするとか、安全面を向上させるとかいう目的で
改造されたものではない。
では、なぜこのような姿になったのか。
私は、ナンバープレートがついていないところに着目すべきだと思う。
すなわち、この車は車検切れなのだ。
検査料を払うのが惜しいのか、出すのを忘れていたのか、わざと出さなかったのかは
わからないが、その車検切れの車をなお使い続けるために、あえて屋根やドアを
取り払って、さも「これは農民車だよ」という見てくれにして走っているのだ。
こいつには、正直いってまいった。
市販車輌の部品を寄せ集めて組み立てるのが農民車の常識だが、
なにも決まりごとではない。組み立てなくても、もともとの形からちょっと部品を取り外すだけで
農民車になってしまうのなら、そのほうがよっぽど簡単で安上がりだ。
おまけに、こうなってしまえば事実上車検票もいらないので(いるんだろうけど)
ナンバーもなし、積載量も無視、シートベルトも着用せずという(いや、守るべきだが)
立派な農民車に変身してしまうのだ。
まさに発想の転換だ。
実際、普通に走っている従来の農民車と、条件としてはなんら変わりはない。
しかも、おそらくはずっと構造的に強度が十分で、安全にできているだろう。
ひょっとしたら、緑のナンバープレートも取得できるのかもしれない。
改造も、最小限の工具とディスクサンダーがあれば、素人の私にでもできる。
上の車両で、できないのは「鳥居さん」の製作と、手摺の溶接くらいだろう。
おそらく数万円以内の値段で作ってもらえるし、
これだって、なにも付けなくてもいいのだ。
この革命的農民車の名称をなんとするか、だいぶ迷ったが、「簡易」「簡単」「簡便」の
「簡」の字をつけることにした。
じつは、この手の農民車はほかに三台ほどある。
それぞれに興味深いものがあるが、それ以外にあまり広まっていないところをみると、
やはり後ろめたいものがあるのか、それとも従来の農民車のほうが使い勝手がいいのかも
しれない。
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