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■80.caf4×2/931114/三原町
三原平野の水田は、二毛作・三毛作として秋冬と玉葱、キャベツや白菜、チンゲン菜等の野菜を栽培している。ほとんどの農家が兼業農家で、みんな
もう強烈にはたらく事で知られている。農業以外の日中仕事をおえると、夕飯をとってから農作業にとりかかる。その作業は九時、十時に
およぶこともある。若手が昼間ほかの仕事にでているときは、老夫婦がぼちぼちと苗を植えたり、ビニールを巻いたりしている。
野菜づくりには滅法手間がかかる。いまや化学肥料や農薬はかかせない。それどころか農地そのものを改良し、夏場張った水を完全に
排水してしまえるように、用水路を耕作面よりも下に作ったりする。その工事のためにも稼がなければならない。
三原の一枚の田んぼは、全国平均とくらべても広いほうだろう。それをなお広くし、生産効率をあげるため大型の農機具を購入する。
はたらかなければ代金はでない。補助金をあてても、当然足りはしない。
六月、九月の米の農繁期は、他の産業にさえ影響がおよぶ。たとえば旅行会社はその時期のツアー企画をへらしたりする。製造業は
人員がたりなくなることを考慮して、生産量をへらす。逆に農機具メーカーは忙しくなる。
作物が市場にでて、相場がいいとたちまち巨額の収入になる。これだけはたらけば当然で、私などは、えげつないな、と思うような
豪邸もたくさんある。農業をやる人の正当な自己表現だろう。
三原の人々が一番おそれているのは、作物の値崩れだろう。五月は玉葱の収穫時期だが、そのころは玉葱の値段があいさつ代わりだ。
どれだけ稼いでいようとも、飽くことをしらない。はたらく者のバイタリティだろう。
消毒が一区切りして、夕食をとりに帰る一家である。息子夫婦におばあさんを乗せて、農民車が走る。食べ終えて一服したら、ふたたび
消毒液を積みなおしてやってくるだろう。
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