■caf4×2(廃)
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■149.caf4×2(廃)/980517/五色町鳥飼
五月の陽光をあびて、強烈に草が荒地をおおいはじめている。
山奥にある農家のわき道をはいってみると行き止まりになっていて、ちょっとした空き地がある。
そんなところには、よく使い古した雑多な機械が打ち捨てられているが、そういうものを見るにつけ、農家の
経済は儲かっているのか、それとも無益に収入を浪費しているだけなのか、どうもよくわからなくなってしまう。
写真は、caf型にしてはめずらしい、荷台がダンプできるものである。しかも若干大型だ。
乗用者の空冷エンジンというのはだいたい排気量が少なくて、しかも旧式ばかりで馬力に余裕がないものが多い。
caf型に、比較的小型のものが多いのはそのためだが、この車は例外的に大きくて、そのままcwf型になりそうな
感じもする。
だが、やはり大きな農民車には役不足だったか、現在のこの有様だ。生ハンドルというのもいただけない。
車体全体に錆が浮き出し、運転席のシートも腐りおちてしまっている。ボンネットの両端にぶらさがっている
ナベみたいなのはヘッドライトである。
使い勝手がすこし悪いと、ちょっとした故障をきっかけにすぐ放棄してしまうのはあまり誉められたものではない。
この農民車は計画段階で少々無理があったのだろうが、それだって購入者の注文だろう。自分からオーダーしておいて、
気に入らなくなったら捨ててしまうのでは、ペットがでかくなったら捨てるのとかわらない。
キャブレターが妙に突出しているが、どうにも縮めることができないのだろう。後の運命を象徴しているかのようだ。
いずれにしても不運な車であることはちがいない。
■150.