■cwf4×2
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■50.cwf4×2/930515/黒道 ■51.
私は戦争物が好きである。戦争が好きなのではなく、戦争に関するものに興味がある。
戦場で使用される車輛などには、いわゆる「マーキング」といって、車体に所属部隊の兵種や番号、部隊章、あるいは単なる落書きまで
さまざまな文字や図柄が描かれる。マニアにはこういう事が非常に面白く感じられるものだが、残念なことに農民車にはほとんどそれがない。
農民車に限らず、一般の乗用車にもその類のペイントを施した車は少ない。
ところが、「走り屋」さんなんかは派手にやりまくっている。それと、トラックやミキサー車、商用車には当然会社名や車番(ナンバープレートではない)が記入される。
車輛に対して番号や所属をわざわざ書き込むのは、やはり実務上その必要があるからだろう。社名は宣伝のため、番号は誰がどの車に乗っているかなどを
容易に知らせる役割がある。「走り屋」さんは、無地よりもこのほうがカッコイイという一種の愛情でやっている。
農民車には両方とも必要のないことである。自分の家の名前をデカデカと書いても恥ずかしいだけだし、たとえ一家に数台の農民車があっても、誰がどの車に
乗っているかなどどうでもいいことだ。英文でカッコよくきめても、どうせ泥や埃や牛糞で汚れちまうのだ。
というわけで、マーキングの入った農民車はそれだけで珍重である。写真の車輛も、後輪にホイルキャップが着いてるのが目を引くが、機構的に特に変哲の
ないcwf4×2である。ところが、アオリ板にホルスタインが描かれているだけでえらく重要な資料になってしまったのだ。
■52.拡大図
荷台に満載された畚(ふご:飼料や藁などを入れる頑丈な袋)には「三原郡酪農農業協同組合配合飼料工場」と印刷されているので、
酪農家の農民車だろう。持ち主が描いたのだろうか。農協の職員が描いたのだろうか。牛の周囲を楕円で白く抜いているところなど、
素人離れしたものを感じさせる。ちなみに車体は全面青色だった。
もっとアップで撮っておけばよかったと、つくづく後悔している。日差しも強烈で、影がきつい。近づいた状態ならもう少しましな写真になったろうが、
背後から別の農民車が走ってきて、それにシャッターを切るうちにフィルムも品切れになったのだ。無念。