■cwf4×4(堆
実をいうと、この写真の堆肥散布車は、当HPの趣旨からはすこし外れる見方で収録した。
着目点はどこにあるかというと、この堆肥を跳ね飛ばす羽根車の角度である。たいてい見られる散布装置の羽根車は、
横に寝ている。写真のように、縦に取り付けられたものは、ごく少数にとどまるに違いない。私が目にしたものでも、縦置きの
羽根車はこれを含めて二台しかない。非常にめずらしく、記録収集するに値するものなのだが、残念なことに
散布装置は「タカキタ」という農業機械メーカーの量産品なのだ。
それゆえ、淡路島内における手作りの農民車を集めることを目的としたこのHPから見ると、あまり魅力的な車体とはいえない。
しかし珍しいのは確かで、私のアルバムにしまいこんだままにしておくのももったいない。そこでこのどう考えても
散布効率の悪そうな羽根車をみていただくことにした。
この角度で得られる利点といえば、跳ね飛ばす堆肥が水平より上には飛び散らない、ということだろうか。
横置きのものだと、回転数を上げすぎると堆肥は真上に飛び上がってしまい、さらには運転席にいる人間の頭に
落下しかねない事態にもなる。これは大変よそわしいことなので、その対策として縦置きにしたのかもしれない。
なかなかいい発想の転換だったかもしれないが、そんなに多く売れていないところをみると、やはり欠点のほうが目立ったのだろう。
コンベアーに載った堆肥が少なくなってくると、回転する羽にあたる量も少なくなって、地面へ飛び散る面積が
小さくなる。何度も撒きなおしているうちに、堆肥の濃淡ができてしまったりする。均一の作物を作るには、
育成条件を均等にしなければならない。農作業とはむずかしいのだ。
その欠点を補うため、荷台の壁に板を足して搭載できる堆肥量を増やしている。夜間の作業に備えて、コンベアーを
照らすライトも追加されている。
ところで、日付をみると大地震の前の日になっていた。
のんきに農民車の写真など撮り歩いていて、まさかあんな天災がおきるとは、想像もできなかったなあ。