■cwf4×2(堆
この堆肥散布車の写真は、事情があってネガフィルムを保存できなかったので、プリント写真を取り込んでいる。そのうえ
カメラ付属のフラッシュを使っているので、やや色味が飛んでいる点をお許し願いたい。
大型の車体が多い堆肥散布車のなかで、これは小型に属するものである。小型のものには、通常の農民車を
改造して散布装置を搭載したものもあるが、この車台は後輪からうしろがまったくないので(写真185.参)、あらかじめ散布車として
設計されたのだということがわかる。この二点だけでもめずらしい存在なのに、まだ特異なことがある。それは
エンジンである。
このエンジンの出所を一目見て言い当てられる人は、車輛整備にでも従事する方だろうか。エンジン自体は
燃料タンクとラジエタ−周囲の部品に隠れて見えないが、特殊な外見であることは間違いない。そのラジエターのまわりに
付いている部品はいったいなんのつもりなのだろうか?私の想像だが、これはバスのエアコン用エンジンで、問題の
部品はバスの車体の一部ではなかろうか。しかし、いくらなんでもこの外板とラジエター本体を切り離せないはずはないので、
はずすのが面倒だからそのまま一緒に取り付けた……と考えるのは、あまりに失礼だろうか。それとも、ラジエターを
保護する役目にちょうどいいからだろうか。それにしては正面ががらあきだが…。
このエンジンは、たぶん二代目くらいだろう。初代が馬力不足だったか、古くなったかで交換したにちがいない。エンジンの
下部やマフラーの支持架には、焦げ目も生っぽい溶接跡がある。近くには農民車を造る工場もあるので、そこで工作されたての
車体だろう。引き取り待ちといったところか。
ところで、所有者はこのエンジンに納得しているのだろうか。