■cwf6×4
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■85.cwf6×4/901021/五色町葛尾
葛尾という土地はかなりの山間地とみていいが、こういう坂の多い土地にこんな大型の農民車があるというのも不思議である。
85.で見えている三輪のうち、真ん中の車輪だけがパンクせずにのこっている。向こう側の車輪は三輪ともに溝に落ちて
しまっており、動けなくなってしまったこの車は、馬(cwf4×2・bP参照)をのせるための台になってしまっている。
87.では、すでに運転席もシートがなくなっており、あきらかに放棄された車である。
本来ならば、この個体は「廃車」の項にいれられるべきだが、前頁でものべたように、六輪車というのは
非常にめずらしく、六輪車の項からはずすのはもったいないと判断した。
遺棄されてしまった理由はいろいろと推察できる。
まず、車体に対してエンジンがどうも小さい。ようするに非力なわけだが、傾斜の多いこの地では、馬力不足は致命的であろう。
おまけにこれは荷台がダンプできる型だ。普通のダンプカーをみていると、よく走りながら荷台をダンプさせ、土砂をまいている
姿をみるが、小さいエンジンはこの点でも不利だ。ダンプさせる力はひとつしかないエンジンから分散するからである。エンジンに無理がかかり、
作業にも支障がでる。
それと、どうもエンジンが必要以上に前方に突出しているのが気になってしまう。もうちょっとハンドル軸まで下げてもいいように
思うし、なにより荷台と運転席の間隔がひろすぎる。詰めるところを詰めてしまえば、50cmくらいは全長が短くなると思う。むだに
大きくていいことなどなにもない。
六輪あって駆動輪が後四輪というのも中途半端だ。そして狭い田畑の多いこの葛尾で必要なのは、もっと小型の四駆だろう。
かわいそうだが、早晩すてられる運命にあったのだ。
前にものべたが、農民車は車検がないし、登録しても更新しなくていい。廃車証明もいらない。したがって道端にすてられても
三桁のナンバープレートはついたままである。
86.では軽自動車が写っているが、それと比べても車幅のせまさがわかる。せまい田舎道をはしるための幅だが、反面、横転しやすい
という欠点もでてくる。
なかなか一筋縄ではいかないのが農民車のおもしろいところだ。
■86. ■87.