■faf4×2
…………………10
■466.faf4×2/990314/五色町広石
天然石の石垣、圃場整備されていない畑、細い土の道。
なかなか風情ある情景のなかで「ばらけ」を満載したfaf4×2が路肩に停まっている。
形状からみると
fwmもしくは
fam型の車台だが、エンジンを座席の下に置くのではなく、
前面に載せたタイプとしている。
それゆえか、運転席の座面左右両端まであるベンチ式ではなく、
助手席が別れて段差もついている。
荷台は全面フラットでタイヤハウスがなく、アオリはかなり高い。
そのアオリは角がなくなってきて、エンジン以外の全金属面に浮いた錆も
車齢の高さを醸し出している。
■467.
その車体に対してエンジンは真新しい。
おそらくというか、確実に新らしく換装したものだろう。
農民車は、簡単にエンジンを交換して乗り続けることができる。
市販車にない農民車の特徴である。
うらやましい話だ。
いや、どんな車もこうでなくてはならないだろう。
だって使えるものは使っていかないと、もったいないではないか。
世間一般には、ちょっと古い車は手放して新車に乗るべきだ、という
風潮がある。近頃は市販車に長く乗ると税金が高くなるので、その傾向は
より顕著になっている。
いやしかし、モノは長く使ったほうがいいのではないか。
大事に使い続けたものだけに宿るオーラは、淡く辛抱強い。
■468.
そんなわけで、小学校の前にあった木造の駄菓子屋のような、
このちいさくよたよたの農民車が、私にとっては
好感度大なのである。
どうだ、この今にも倒れそうな儚さを維持しようとする持ち主の心意気は。
もはや撮影時からは二十余年が経過したが、
どうかまだ使われていることを願っている。
[目次へ△]
[前頁へ]
[次頁へ▽]