■faf4×2
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■90.faf4×2/940904/一宮町
倉庫の中におさまったこの農民車は、faf4×2としては大きな車体である。造作自体は古臭いものの、随所に
新機軸というか、妙な工夫がうかがえる、個性的な車両だ。
荷台の「鳥居さん」にあたる部分には運転者の麦わら帽子がひっかかっているが、その鉄骨の内側をよーく注目
してもらいたい。(写真90.)
電気式の指示器がみえるだろうか。20度ほどかたむいたそれは、後ろからもみえる。つまり、わざわざ木の板を
くりぬいて、後ろからもみえるようにしてあるのだ。なんという芸の細かさだろう。ふつう、指示器は「鳥居さん」の
外側につけるものなのだ。だいたいの人間はそうする。しかし、それでは何かの拍子にぶつかったり、あたったりして
欠損しやすい。はやい話がこわれやすいのだ。指示器がなくなっている車両はよくあるのだ。
「鳥居さん」の内側に指示器をとりつければ、たしかにこわれにくい。これがこわれるようなときは、車両本体も
ただではすまないだろう。しかし肝心なことは、荷物を満載すると、この指示器が後方からみえなくなることだ。荷台の
後部には反射版しかなかったので、これでは間抜けな設計ミスである。ちょっとしたアイデアものだったが、ちょっと蛇足気味
だったか。
もうひとつ、ヘッドライトには木のカバーがついている。木でわざわざこんなものを造るのもめずらしい。
所有者は鉄というものがきらいなのだろうか?
カバーの下の角はよくゆるむのか、釘が必要以上にうちつけて(92.)ある。
ていねいなのか、ぞんざいなのか、よくわからない農民車ではある。
■91. ■92.