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■126.faf4×2/930619/南淡町阿万
何をもって稼動車か、廃車かをみきわめるのはむずかしい。エンジンがなかったり、車輪がひとつ
なくなっていたりしても、ひょっとしたら交換途中の状態なのかもしれない。
所有者から見放されて、しばらくたった物体は、自動車にしろ建築物にしろ、独自の雰囲気をもっているものだ。
ほこりやくもの巣がかかっている時点では、まだ使える。全体的に腐ってきたり、かたむいてきたりしたときに、
それは一種の場をかもし出すようになる。
それは人工物が天然にもどっていく過程であり、よく新築の家や開通直後の道路にみるような
場違いなきれいさからはなれて、落ち着きをはらみ、周囲になじんでいく際の美しさかもしれない。
ヨーロッパなんかで、わざと朽ちた建築物をつくったり、また最近でもアンティークの煉瓦を
庭に敷き詰めたりするのは、おなじ論理だろう。
写真の農民車は、もはや置き去りにされて数年は経たであろう佇まいをみせている。
車台の隙間を蔓草がからみ、椅子は陽光でぼろぼろになり、背のベニヤ板は接着剤が効力をうしなって分離し、
苔まではえている。鉄の荷台も腐って土になろうとしている。
これはあきらかに廃車であろう。ここまでに成り果てても復元させようとする道楽が
市販車の世界にはあるそうだが、農民車の復元を試みてくれるひとは、まだいそうにない。
■127.