■fam4×2
…………………bS
■128.fam4×2/960310/一宮町
fam形式は、その構成ゆえに前面の設計がわりかし自由になる。車体の先端部に設置すべきものが
ないからだ。同時にそこは車としての「顔」がきわだって特徴づけられてくる。
家の角からこの水色の台形がみえてきたときは、農民車のイメージからはかけはなれているので、
市販のトップカーだろうと思ったほどだ。斬新で思いきった垂直の鉄板は、あまりに意図されすぎたようで
近未来的にさえ感じるほどだ。
しかし、はたしてこれを造った職人は、たいしてアタマを捻ったつもりもないのではないか。
足元が寒そうだな、心もとない…と思ってつけた覆いと、ライトのフレームの位置と形状が一致したのでこんなんなった、
てな印象だが。みなさんはどうだろう。
どの角度からみてもエンジンが見当たらないが、写真130.の椅子の脇に穴が確認できる。そこが
燃料タンクの注ぎ口になっている。空冷のロビンエンジンは底から覗きこまないとわからないのだ。
ここまで隠すこともなかろうに。
ハンドルやシフトレバーはホンダのものだ。あるいは、こんな車台の作業車を販売していたのかも
……いや、これは軽乗用車のそれだろう。ハンドル基部にウインドウォッシャーのポンプがついている。
するどい人は判ったとおもうが、この車台はfam4×2のbQと同一である。ただ正面と、背もたれが
すこし違う。あとは色と指示器が電気式になっているくらいか。
bQもすごく無味乾燥で割り切ったデザインだが、こいつはもひとつ上をいく代物だ。
機能的には十分だとおもうが、残念ながらこの形の農民車はこれ一台しか確認できない。
すごくかっこいいといえるのだが……。
(クルト・タンク技師の設計を連想してしまった。マイナーすぎるかなあ。)
■129. ■130.