■fam4×2(バ
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■93.fam4×2(バ/940529/五色町田処
細い山道を下りかけると、カーブミラーの手前に錆びた車体がうずくまっていた。
おそろしく小さな車で、その小ささだけで貴重な遺物を見つけたような気持ちになったものだ。
その小さい体積にかかわらず、ホースをのぞけばバキューム車に必要な機器はすべて備わっている。車体を動かす
エンジンとは別になったポンプ駆動用エンジン、それによって動かされるポンプと圧力計、観測窓のついたタンクなど。まとまりのある
品のいい設計なのかもしれない。
■94. ■95.
にもかかわらず、落ち葉のたまる間道にうちすてられたこの車両は、バキューム車の製作がむずかしいことを
物語っている。この農民車の弱点は、おそらく車体を小さくしすぎたために、タンクを糞尿で一杯にしたときに重心が
たかくなりすぎる事だろう。鉄製のタンクと頂点にあるエンジンやポンプのために、ただでさえ安定が悪いのが
歴然としている。写真のように、舗装された路面ばかりを走るわけではないので、この点つらいものがある。
エンジンも、いかに車体が小さいとはいえ非力すぎるようだ。農民車が使われなくなるとき、もっとも多い理由が
エンジンの性能であることは、まず間違いなかろう。軽自動車と3000ccの乗用車に乗り比べれば、後者がいいに決まっている。
農業者には合理性のある性能が一番の魅力なのだ。
最後に、この車両がどんなに小さいか見ていただこう。となりにあるのは、ひとつ前の基準の(550cc)軽自動車である。
ここまで小さくする必要があったのだろうか?
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