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■371.fwf4×2/901123 三原町志知鈩
いまから思うと、ずいぶん昔の写真である。
なんと二十三年前という過去になってしまった。いつのまにこんなに時間がたってしまったのだろう。
そんなつもりはなかったのに。気持ちの上では、当時となにも変わってはいないと思うが、身の回りは本当に
変わってしまった。身体的おとろえも著しい。その個人的なあれこれをいちいちあげつらう気はないが、
まあこのような過去の写真を見るにつけ、撮影当時といまの感想の違いが際立つのだ。
農民車は、いまは製作所も存在しない、高島鉄工のAT−85型であろう。それも結構な新車状態で、
車体の塗装も錆がすくなく、壊れやすい腕木式方向指示器もしっかりしている。エンジンの台架も傷みがない。
このころはまだ高橋鉄工も、この登録農民車をどんどん生産していたのだ。あらためてみると、古い設計ながら
完成度の高さをしみじみ感じる。
そしてとなりにあるのは、ホンダTNアクティの初期型。77年から81年までの生産品で、おそらくはとなりの
高橋式よりも車齢はいっているはずだ。ちなみに、そのナンバーは合成加工してある。
このころの軽自動車は、幅が1400ミリ。たいして、農民車高島式AT−85は1200ミリ。この二十センチの差が
おそろしく小ささを際立たせている。そして全高はさして違わないのに、そのハンドル位置の高さはなんとしたことだ。
ステアリングシャフトはアクティよりも直角に近いはず。狭い座席と直角そのものの背もたれにあわせ、すこし大柄な
運転者だと背をまっすぐのばして座らなければならなかったろう。当然にして座席の高さも三十センチは違うはずで、
運転者の頭はアクティの屋根より二つ分くらいは出ているだろう。
幅は狭いし、前には小さなエンジンしかないし、視界はとてつもなくいいはずだが、しかしアクティと乗り比べれば、
エンジンの音と振動に加えて安定の悪さによる揺れ、足回りの硬さによる不安定さは、かなり恐怖感があるはず。
さぞ面白い乗り心地であっただろう。
ま、こんなことを言ってる私はまだ農民車に乗ったこともないのであるが…。
妄想で文章を書くのもいいものなのだ。
いや、ほんとはすごく乗ってみたいんだけど。