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■144.fwf4×2(ミ/910430/三原町西川
古来、農民というものは、大概の職種をなるたけ個々でこなしてきた。簡単な手作業ならば、
わざわざ金をはらって専門家にたのまなくとも、だいたい自らの手でできることだった。
小屋を建てる、道具をなおす、開墾する、溝を穿つ……。
機械という複雑な構造をもつものが使われるようになった後も、自己流でそれらを直し、あるいは
組み立てていた。経済的に余裕のある場合もない場合も、それらを自然にこなしていたのだ。
この頁の農民車は、後部に生コンクリートを運ぶためのミキサーが積まれている。いくらなんでもコンクリートを
現代の農家が自分で使用するというのは、かなり珍しいことである。
農業に限っていえば、たとえば畔をコンクリートで仕切ったりすることがある。それにしたって型枠をつくったり
するのは、なかなか専門的な仕事で、まず土建屋の領分だろう。
実をいうと、この種のミキサー農民車を使っているのは、ほとんどが土建屋なのだ。普通のおおきい
ミキサー車が入り込めない細い道を通らないと現場につけないとき、この小型ミキサーがあると便利だ。
まあ長いホースがあれば用はないのだが…。
この農民車を農家が使っていると思える理由は、撮影場所に関係する。この空き地には、さまざまな
農民車が雑多に駐車してある。144.の背景にもfwf4×2が一台写っているが、非常に個性のある農民車も
何台か撮影した。何ヶ月かたって訪れると、以前と形がかわっていたものもあった。
つまり、この土地の所有者は同時に農民車たちの所有者で、純粋な農民車もあるのだから、農家だろう。ゆえに
このミキサー車も農民のものにちがいない。それも相当な凝り性の。
そういえば、ミキサーのタンクはやや工作が慣れないのか、凹凸がある。
市販品とは考えにくい。これを造った人は、個人ならばたいした根性だといわざるをえない。
■145.
■146.
145.で、灰色で四角い箱がみえるが、これはなんだろうか。コンクリートを硬化させないための水タンクかとも
考えられるが、どうだろう。
146.では、エンジン動力をミキサーに伝えるクラッチがみえる。多分、車のギヤボックスだろう。
やはり只者ではない。鉄工所と共同で製作したか、農家自身が鉄工所もやっていて、つくったか。
あ、ひょっとしたらこの場所は鉄工所の失敗作置場かもしれないなあ。