情けない話だが、最近は近野自身の生活が多忙を極めていて、ろくに当HPを更新する時間もない。
年に二回程度しかやらないので、どんな農民車を掲載してなにを書いているかもよく覚えていない有様。ひょっとすると
同じ事を書いてしまっているかもしれないが、開き直って書くことにする。
近年、農民車市場における流行の形式は、四駆、リフトダンプ、そして写真の幅広短径タイヤである。
写真を撮る暇は近野にはないのだが、淡路島に住んでいれば農民車を眼にする機会はたんとある。農民車を愛する
人間として、最新型の様式を観察するのも義ではある。
おたけさんもおっしゃるとおり、玉葱を満載したまま荷台が上昇してくれると非常に楽なのだ。
昔ながらの保存法として、玉葱は玉葱小屋に吊るすのが一般的だ。玉葱小屋とは、淡路島ではたいていの畑の横にある
切妻屋根に柱と桁だけ、通風のため壁なしの建築物である。大きさは様々だが、小さいもので間口は4〜5メートル、
奥行きは十メートル強。柱は左右と中央の棟に三列あり、妻方向にむかって桁がだいたい七段通っている。
桁の一番上はだいたい2メートル半ほどか。
それだけの簡素な小屋である。
近野のつたない説明ではおわかりになりにくい方は、
駅前写真館にて玉葱小屋をみつけてもらいたい。
その七段桁に、「なる」と呼ばれる約十センチ径の杉丸太を多数わたしておいて、ぎっしりと玉葱を吊るすのだ。
玉葱は、土から引き抜かれたあとその場にきれいに横並びに置かれ、写真のように葉をすこし残した状態になるよう
草刈機でまとめて葉を切り落とされていく。その後、大きさによるが、だいたい十個一組に紐でくくられて、「なる」にふりわけて
架けられる。木枯らし紋次郎が肩にひっかけていた弁当行李みたいなかんじだ。
写真は、まさに玉葱小屋まで運ぶ直前の状態である。
さて想像してもらいたいのが、十個一組の玉葱を地面から二メートル半まで七段、無数にひっかけていくという重労働。
いったい農作業全般において、収穫時ほど体にこたえる段階はないだろうが、こと玉葱は数が多いし重いしで、
ほんとうにご苦労だとおもう。まあヒンズースクワットをダンベル持ってやるようなもんだ。二分くらいたったら、どっかの
漫画にでてくるプロレスラーのように、故郷に帰りたくなったりオコノミヤキが食べたくなったりするかもしれない。
そのつらい重労働を、リフトする荷台はかなり緩和してくれる。なんせ座ったまま七段それぞれの高さまで上下してくれて、
座ったまま玉葱を吊るせるのだ。玉葱農家にとって、こんなありがたい機械もなかろう。