■250.cwf4×4/901222/三原町大榎列
 
 
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■cwf4×4
………………………………………………………………………………………………No.9
 ■254.
 ■253.
 ■251.

この農民車のまず一番の特徴は、やはり傾いたラジエーターにある。
ラジエーターが傾いているだけで、ここまで個性的で魅力のある面構えになるもんだなあ、と
撮影当時は感心したものである。そして驚いたことにエンジン本体も同じように傾けて
固定されているのだ.。エンジンカバーは水平なので、運転席部分を写した写真252.でも
よくわからないかもしれないが、冷却ファンを動かすファンベルトがラジエーターとともに、
かなり傾いているのがおわかりになるだろか。
こういったエンジンの載せ方をした農民車には初めてお目にかかったので、その大胆さに
驚いたものだ。

しかし、のちに市販大型トラックのキャビンを上げたところを見る機会があったが、そこでも
エンジンは斜めになっていた。案外、エンジンを傾けて載せるのは一般的なことらしい。
エンジンオイルや冷却水はちゃんとすみずみまで回るのかなあ、と素人は心配してしまうが、
まあ大丈夫なんだろう。

それとは別に、もうひとつ大胆な点を挙げさせてもらえば、
後輪と前輪が全然ちがうタイヤなのに、四輪駆動らしいことだ。
写真251.には、前輪の車軸にデフケースがあるのがわかる。ということは、四駆なのだ。
まさか前輪駆動ではあるまい。
私はいままで、二駆か四駆か判別のつかない場合は前後のタイヤが同じかどうかで判断したきたが、
それがあいまいな基準だということになってしまった。
しかし、四輪駆動なのにタイヤの種類を変えていいものなのだろうか。
たとえ新品時は径が同じだったとしても、使っているうちに磨耗のしかたに差がでるはずだ。
そこらへんの誤差は気にならなかったのだろうか。
以前にも書いたことだが、私は農民車の写真を撮り始めた頃、ハーフサイズのカメラを使っていた。
できるだけ安く、大量にすばやく農民車を集めなければと考えてのことだったが、
画面が半分の大きさになるということは、粒子も半分になってしまうということに気付くのが
かなり遅れた。しばらくして中古一眼レフを使ったときのプリントの鮮明さには、かなりの
衝撃を受けたものだ。ハーフサイズのカメラも、時として鮮明に写ることがあるが、
やはり一眼レフにはかなわない。
今回の一連の写真は、そういう反省点を思い起こさせてくれるもので、見ていただくのも
忍びない気持ちがある。
 ■252.

その荷台には、農薬散布には定番の黄色いポリタンクとホース、散布竿にポンプとエンジン、農薬一式が
積まれている。ここにおばあさんを載せれば運転席のおじいさんは出発準備OKだ。

もうちょっと気になるところを指摘させてもらえば、でかいヘッドライトはエンジンの陰になってしまって
進行方向のの右半分は照らせないだろう。燃料タンクも、前輪フェンダーの上という
位置はあぶない。補給はしやすいだろうけど。
いや、ほんとにカッコいいと思うことは思うんですよ、この農民車。
このページを更新してからだいぶ経った平成十七年の年末ごろ、
岡山県東部で水稲栽培をしているという
兼業農家の中務(なかつかさ)さんからメールをいただきました。

メールには、
「久しぶりに通読させていただき、気付いた点を何点かお知らせしたいと思います。」
と書かれており、近野自身が疑問だったり、また
気付かなかった点をいくつか丁寧に解説してくださっています。
実際に農業に従事されている中務さんのご指摘はたいへん的確で、
ここに掲載させていただきます。

このページでは、近野の
四駆なのに前後で異なったタイヤでいいのか、
という疑問に対する回答です。


・・・駆動輪数(4×2なのか4×4なのか、あるいは6×4なのか6×6なのか)を
見分けるポイントとしては、やはりデファレンシャルの有無を
確認するのが確実かと思います。

この車輌では、前後の車輪が異種であるという特異性が紹介されていますが、
通常は2輪駆動で走行しているために、さほど問題は生じていないと思われます。
パートタイム4WDの場合、通常は後輪のみが駆動輪で、前輪は空転している
ために、通常走行時には回転数差が問題にならないのです。

では、4輪駆動時はどうなるかというと、前後車軸の回転数差をいずれかの車輪が
スリップ(空転)することで吸収する必要に迫られます。
前後輪の径が同一でも、センターデフなどの機構を持たせない限り、舗装路での
急旋回などでは前後輪の回転数の差が生じて、ガクガクという不快な振動や、
突然のエンストという現象が生じるのは、ご存じのとおりです。

しかし、4輪駆動を使用する=悪路である事から、多少のスリップは簡単に吸収
されてしまい、結果として問題にならないと(製作者が)判断した結果、前後に異種の
車輪という特異な車輌が製作されたのではないでしょうか。
この車輌の場合、後輪にスリップしにくいラグタイヤを使用し、前輪には逆に
スリップしやすいバイアスタイヤを使用していますので、もしかすると
「4輪駆動時の 回転数差は前輪のスリップで吸収させる」
という設計思想があったのかも知れません。

ま、何でもアリの世界のようですから、デファレンシャルがあってもプロペラシャフトが
繋がっていない(?)などのフェイントかも知れませんね(笑)




「四駆か二駆か」、の件は、文中にもあるように
私がそれまでタイヤ径だけで判別していたのが、よく見るとデフがあるじゃないかと
気付いたところから書きました。
実は中務さんのメールより先に、「農民車史」等でおなじみのおたけさんから、
「あれは知り合いの農民車で、前後タイヤの違いは気にならないそうです」
という掲示版への簡単な書き込みをいただいていました。
中務さんの考えは正しく、かつ的確な説明をして下さったわけです。

農民車というものは、ほんとに市販車などには思いもよらない
大胆な造りをしています。実用上は気付かないほどの
誤差かもしれませんが、きちんとしたメーカーなら絶対異なった前後輪を
取り付けるようなことはしなかったはずです。
そういう意味でも、
「デフにプロペラシャフトが繋がってないフェイント」という
部分には笑わせていただきました。
ほんとにそんなことをしかねない世界ですからねえ…。

中務さん、これからもお気づきの点あらば
どんどんご指摘ください。
ありがとうございます。

中務さんへのメール

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