さて、「法的農民車考」シリーズでも若干触れましたが、
課税帳票、いわゆるナンバープレートの件に手を出すことにしました。
淡路島の農民車には、実に様々のナンバープレートがつけられています。
数字の三桁に四桁、町名と県名のあるもの、町名だけのもの、それに○に特、あるいは○に農の
分類のあるもの、それのないもの、数字に大小のあるもの…いったいどれだけの種類が
農民車というひとつの車種(?)にはあるのでしょう。
そしてなぜこれだけ様々なナンバーがついているのでしょう。
国に認可された「高島式農民車」には、独自のナンバーがあるのでしょうか。
もしあるのなら、高島鉄工がなくなったいま、それはやがて消えてしまう運命なのでしょうか。
まあ調べるといっても、私の場合は役場にメールをだして
回答してもらうだけのことでたいした努力はしてないのですが、
実際のところ、問い合わせてもどのへんまで担当者が答えてくれるのか、
各自治体で対応がバラバラなことが充分予想されました。
そういうわけで、質問はなるべく具体的で簡潔にしたつもりなのですが、
それでもかなりの差が出てしまいました。
そしてその回答をもとにナンバープレートを描いてみました。
各自治体の青い名称をクリックしてください。
書体や文字の大きさ・正確な位置関係までは再現できていませんが、
一応の参考にはなると思います。
プレート自体の写真については、全市町村の全種類のものがありませんでしたので、
あるものでご勘弁ください。
そいでもって、結論をいいますと
私が以前「続・法的農民車考」で懸念した
○に農のはいったナンバープレートは将来登録する人がいなくなるのではないか、という
問題はまったく解消されました(笑)。○に農は農民車専用の表示ではなく、
農業用に使う車の表示だったのです。
農民車独自じゃなくてちょっと残念ですけど、まあよかったです。
まったく早とちりもいいとこですね。
それに関連して、同じページで
農民車を農民車として登録する利点はなんなのか、と悩んでましたが、その疑問も解消されました。
農業用小型特殊のほうが小型特殊よりも税金が安いのです(灘の国さんの資料参照)。
なあんだ、そんな簡単なことかと思いましたが、
これも○に農が高島式農民車専用の表示だと思い込んだ私の勘違いです。
しかし、あらためて考えると高島式の規格寸法はあきらかに小型特殊規格よりも
小さいので、高島式農民車自体はなくなる可能性大です。
それ以前に高島鉄工自体がなくなりましたし。
だれかはやく動体保存してくれませんかね…。
話がそれましたが、近野の出した質問メールは以下のとおりです。
▼
農民車を課税登録する場合、どのような形式のナンバープレートになるのでしょうか。
見たところ、○に農の字がはいったもの、○に特の字、あるいは三桁の数字や四桁の数字、
ひらがなの区別があったりなかったり、町名があったりなかったりと、様々な種類の
プレートが混在しているようですが、各自治体で独自の判断基準があるのでしょうか。
また、どのような違いでこまかく分類区別しておられるのでしょうか。
で、各自治体から寄せていただいた回答が次のとおりです。
■淡路町■
農民車のナンバープレートの区分については、
まず大きさが100×170mm・100×200mmのいずれかです。
ナンバープレートの字の表示については、各市町村の条例に定められています。
淡路町では農民車のナンバープレートの色は、
緑色に紺の字で町名と3桁の通し番号です(ナンバープレートの桁数については
おそらく各市町村でナンバープレートを交付した通し番号なので
大きな市又は農業の盛んな市町村などは4桁だと思います)。
分類区分については販売証明等を提出していただき、
申請者に農民車(農耕用)かその他用(小型特殊)か申請者に記入してもらい分類しています。
なぜプレートの大きさが二種類あるのでしょう。将来の登録数増加(四桁化)に備えて
いるのでしょうか。そしての農耕用とその他を申請時に分類するようですが、
プレートにそれがあらわれるのか、などは不明ですね。
税金の違いに関することですから、表示はあると思いますが、
想像では数字だけで描いてみました。
■北淡町■
農民車のナンバープレートは、原付のプレートより小さいサイズで、
緑色のプレートに紺色で3桁のナンバーが付されています。
このプレ−トは小型特殊車と同じ仕様ですが、小型特殊車はナンバーの前に○特が付されており、
ここで識別しています。
※農耕用には○農の文字は入っていません。
=参考として=
・原付一種(50CC以下)…い 白地に紺色の文字(4桁)
・原付二種甲(90CC以下)…ろ 黄地に紺色の文字(3桁)
・原付二種乙(125CC以下)…桃地に紺色の文字(3桁)
現状ではこのように分かれています。
現在、津名郡5町(五色町を除く)のプレート等は異なっていますが、来年4月の合併時には統一されます。
原付よりも小さい寸法のようですが、具体的な数字がないので
淡路町で教えていただいた小さいほうのプレートで描いてみました。
丁寧に原付の表示まで教えてくれてます。
いわゆる「平成の大合併」で、プレート表示も統一されるようですが、
原付その他も含めて、どのような形式になるのでしょうね。
■東浦町■
当町(兵庫県津名郡東浦町)の農民車の標識形式は
「日本工業規格、原動機付自転車用番号標の様式D4902」に基づき、
上段に町名を下段に「農」の文字及び4桁の数字をもって表示しています。
現在交付している「農」の標識は長さ20Cm、高さ10Cm、地の色は緑、文字の色は黒です。
なお、「農」の標識を交付するものについては
小型特殊自動車で農耕作業用のものとなっています。
ここは簡潔明瞭な文章で助かりました(笑)。
東浦は黒文字のようですが、担当者の方が黒と思い込んでいるフシもありますね。
私がそうでしたから。
しかし農耕作業用とその他のものって、どうやって判断するんでしょう。
農家がフォークリフトを荷積み荷おろしに使うことはよくあるんですが、
あれはどっちにあたるんだろうなあ。
■津名町■
農民車のナンバープレートについてですが、以下のように、地方税法によりさだめられています。
1.車両番号は、上段に市町村名を、
下段に、原則としてひらがな文字(お、し、へ、ゑ、ん を除く)及び4ケタ又は3ケタの数字をもって表示すること。
ただし、上位のケタの数字が有効数字でない場合は、10mmの点で表示すること。
2.番号標は、金属製のもの又は金属及び透明材料を用いたものとし
車両番号は、浮出しとする。
この場合において、金属及び透明材料を用いたものにあっては、金属製と同程度に堅牢で使用に十分耐えるものであること。
3.標識の地の塗色は、次によること。
法第444条第1項第2号に掲げる小型特殊自動車にあっては、薄緑色
4.標識の文字の色は、濃紺色とすること。
津名町では、小型特殊自動車標識は、「津名町 特 ○○○○ 」となっています。
自治体によっては、小型特殊自動車の中でも、農耕用とその他用によって、
「農」「特」とプレートも区別している所があります。
津名町では、プレートの表示上は農民車を小型特殊と同一にしているようです。
前述のように、農耕用とその他は区別がつきにくいからかもしれません。
地方税法の規則を教えていただいたので、「上位のケタが有効でない場合は10ミリの点で云々」という部分を
再現してみました。
こういう滅多に見ないプレートはかっこいいですよね。
寸法がわからないので、大きいほうで描いてます。
■一宮町■
現在、一宮町が交付している原動機付自転車の標識は、
昭和60年4月1日付、自治省税務局長通達の様式に基づいて作製しています。
ただし、小型特殊自動車(農民車等)の標識については、通達どおりの様式で交付しておりません。
これは、通達の中で
「従来から交付している旧標識の在庫がある場合は、引き続きこれを交付しても差し支えない。」
とあるので、当町では、在庫がなくなるまでは、旧来の標識を交付することにしています。
現在の原動機付自転車の標識は、
上段に町名、下段にひらがな文字と4桁の数字を表示していますが、
小型特殊自動車にあっては、上段に町名、中段に3桁の数字、下段に兵庫県を表示することとなっています。
当町では、小型特殊自動車の旧様式の標識がなくなり次第、
原動機付自転車と同様に、通達どおりの様式で交付することになります。
(なお、それまでに町合併による淡路市が発足した場合は、
在庫の有無にかかわらず、新規登録分から新しい様式による淡路市の標識に統一されます。
ただし、旧町で既に交付済みの標識は廃車するまでの間、
引き続きそのまま使用することになります。)
現在、各市町間において、農民車の標識にバラツキがあるのは、
国の通達が出るまでは各市町村がそれぞれに条例・規則・要綱等で様式を定めて交付しており、
その当時に登録された車がまだ現役なのか、通達が出た後も
当町と同じような理由で在庫分から先に交付しているからではないかと考えられます。
ちなみに、自治省(現総務省)通達では、
「標識の大きさ(幅200mmと170mmの2種類)、ひらがな文字、排気量ごとに標識の地の色を替える。」
などが記載されています。
標識の大きさは、当町も含め、各市町村の判断で選択し、
色、文字等については、最近は大多数の市町村が通達どおりに作製されているのではないかと思われます。
ことこまかに経緯を報告してくれていますが、
ようするに現段階では町名・三桁数字・県名が一宮のプレートのようです。
で、「在庫がなくなるまでは」とあるので、たぶん大きさは小さいままののだろうと、
横170ミリ寸法で描きました。
こちらは写真もあります。
■258.fwf4×2/930103/一宮町多賀
ま、写真といってもハーフサイズカメラ撮影でなおかつモノが小さいので
よくわからないでしょうけど、たしかに町名・三桁・県名が写っています。
しかし正月からよくこんな写真撮ってるよなあ…。
■五色町■
小型特殊自動車は、農耕作業用(○に農が入ったもの)と、
その他のもの(○に特が入ったもの)に区別されております。
標識番号は、当初1からスタートしておりますので、当町の場合、
現在農耕用は四桁、その他のものは、三桁になっております。
寸法がないので四桁の農耕用を大きいもの、三桁のその他を小さいほうで
描いてみました。税法上はこういう表示のほうが明確でよろしいでしょうね。
■259.cwf4×4/910518/五色町下堺
ネガが古いせいか色調が狂ってます。
プレート自体も古くて、文字が錆びついています。
しかしこれには○特も○農もはいっていないように見えますが…
昔はこうだったんでしょうかね。
■洲本市■
現在、洲本市で農耕車を課税登録されますと、
緑色の横長のプレートで、上段中央に洲本市という黒文字が入っており、
その下中央部に4桁の数字(黒字)が入ったものが交付されます。
洲本市という文字は、ナンバーの文字(黒字)より少し小さめです。
ただし、ナンバープレートは各市町村によって、それぞれの判断で作成しているようです。
従って、さまざまなナンバープレートが混在しているのが現状です。
一応、JIS D4902によって、標準的なものは示されています。
参考的にいうと、
原付50CC以下は地の色は白色、
50CCを超え90CCまでは黄色、
90CCを超え125CC以下は桃色
などと示されてはいます。
小型特殊は標識の地の色が緑色が標準となっています。
本市は、これらを参考にして、ナンバープレートを作成しております。
他の市町村の判断基準はわかりませんが、大体、軽自動車の種類や排気量、
また、税額などによって区分しているのではないかと思われます。
本市は、そういう分類で作成しています。
なお、本市では小型特殊と農耕車は同じ緑のナンバープレートです。
ここでも寸法が不明で、市名と四桁数字が黒、ということしかわかりませんね。
農耕車・その他の小型特殊の違いはないようです。
■260.cwf4×4/901107/洲本市中川原町薬師前
まったく、このハーフサイズカメラというのは記録写真には向いてません。
当初は数がたくさん撮れるのでいいかと思ってたんですが、
解説しないとナンバーの数字もわからないようではどうしようもないですね。
「ゴルゴ13」で、ネガフィルムもスキャナーにかければ光学プリントより鮮明に細かいところが
見えるようになる、なんていう話がありましたが、ありゃちょっとオオゲサですね。
それとも私のスキャナーがボロいだけなんでしょうか(笑)。
色調も、これほど早く退化するとは思いませんでした。
デジタルカメラはやっぱりその点いいですよね。
この車体は、黒文字で洲本市と、その下に一桁の数字、その前に点がひとつだけあります。
一桁台のときから、四桁になることを想定して、長辺が二百ミリのものを
選んだようです。向かって左側になにか書いてありますが、これが○に特などの
表示なのか、たんなる汚れなのか、どうも判断できませんが、
市の説明だと汚れみたいですね。
■緑町■
ご指摘のとおり、農業用であっても各市町村でさまざまな種類のプレートが混在しています。
軽自動車税は市町村税であり、各市町村の条例にしたがって標識を交付していますので
条例の内容の差によって色や形、大きさに違いが生じています。
緑町においては、「緑町 農 1234」といった形で
農業用に使用する車両について、標識を交付しています。
トラクターやコンバインについても同じ標識を使用しており細かい分類はしていません。
しかし、淡路でよく使用されている農民車については、
農業用小型特殊自動車として登録、一般運搬車(軽・普通自動車)として登録、または登録できない場合もあり、
一概に農業用の農民車であれば小型特殊の標識を交付できるかというと
必ずしもそうではありません。
道路運送車両法に基づく小型特殊車両のうち、農耕作業用自動車に該当するものであれば、
農業用小型特殊車両として標識を交付します。
鉄工所等で作られたものには、車両の構造や機能を満たさないことが多く、
現在では、クボタ、愛知トヨタ、タカシマ製作所といった農機具メーカー製の車両だけに
標識を交付している状態です。
ここで出ているタカシマ製作所というのが、「法的農民車考」での高島鉄工のことかどうか
わかりませんけど、きちんと法律にもとづいて造られた大手メーカーのものを
農業用として認めているようです。
車知識の乏しい担当者が役場にいる場合も多いでしょうから、
妥当な判断といえるでしょう。
■261.cwf4×4/910906/緑町倭文
それで現物写真なんですが、どうも町名と三桁の数字に県名まではいっていて、
しかも○農マークがありません。
緑町役場の答えとあきらかに矛盾していますが…。
過去にはこのようなプレートがあって、現在は使っていないということなのでしょうか。
う〜ん、謎だ…。
■西淡町■
質問のあった農民車のナンバーの件ですが、
西淡町では町名と4桁の数字です。
○に農・○に特の区別はありません。
農耕作業用、その他の小型特殊自動車に同じナンバーをわたしています。
4桁の数字ですが、1番から順番に番号をとってあるので、
古いナンバーは3桁のものもあります。
西淡町のプレート想像図では三桁のものと、四桁では前二桁が小さいものを
描いてみました。四桁の大小数字は西淡町役場の説明にはない要素ですが、
写真262.のように、実物があったからです。
、 ■262.cwf4×4/91615/西淡町慶野
探しているうちに、古い三桁ナンバーにウロコ模様ステンレスの飾りがある
珍しいのがあったので、載せてみます。
トラックに使った端剤を再利用したんでしょうね。
■263.cwf4×4/981101/西淡町慶野松帆
それから、過去に巻頭写真でつかったものをついでに再掲載します。
これがいちばん鮮明に写ってますね。
ああ、ここまで写ってくれるときもちいい。
■159/fwf4×2 970531 三原町榎列
■三原町■
現在三原町では、
農民車をはじめトラクター、コンバインなどの小型特殊自動車の内、
農耕作業用のナンバーについては
「三原町○△□×」 とういう表示のナンバープレートを使用しております。
(ひらながの表示なし、ナンバーは4桁)
また、農耕作業用以外の小型特殊自動車(exフォークリフト)についても、
三原町の場合、同じナンバープレートとなっております。
つまり、三原町の場合、小型特殊自動車のナンバーは全て同じものとなります。
ただし、ナンバーの形式はそれぞれの市町でさまざまなようです。
例えば農耕作業用のナンバーは○のなかに農と表示し、
それ以外の小型特殊自動車のナンバーは○のなかに特を表示している町もあるようです。
色は緑地に紺文字というのが多いように思います。
三原町では町名と四桁数字のみ、という説明ですが、下の写真242.(巻頭写真の再録)のように、
町名・三桁数字・おまけに県名まではいったものもあって、
どうも町のいうのがすべてではないようです。
ここもやはり、過去に発行した様々なナンバーが残っているのでしょう。
■242.cwf4×2/970706/西淡町志知
■南淡町■
農耕車両の場合は
○に農の字がはいり、フォークリフト等特殊車両の場合には○に特の字がはいっていますので、
ひらがなでの表記はありません。
桁におきましては連番で作成しており、
3桁4桁の標識が混在しています。
標識には必ず町名はあります。
想像図では県名のない三桁と四桁の○農を描いておきましたが、
えー、ご覧のとおり兵庫県の文字がはいっているものがあります…。
これも法的農民車考にすでに載せてあるものです。
■240.930619.南淡町吹上
ご覧いただきましたとおり、ナンバープレートは各自治体の判断で様式が
決められているのですが、それに加えて時期によって異なる種類のものが多数混在していて、
根本的には国の基準が変化すると増えてしまうのが数の多い要因のようです。
淡路島の一市十町をすべて網羅すると、ほんとにえらい数になってしまいます。
変化のながれとして、
兵庫県の文字が省略されていくところが多く見られます。
横の長さが200ミリのものが主流になり、
農耕用とその他の区別も、表示のうえではなくすところが多いようです。
一枚のプレートにたくさん情報があるとわかりにくいせいもあるのでしょう。
役所の説明にも物足りない部分がありますが、それを追求しても
担当者が困るだけだろうし、このへんでひと区切りとしておきます。
それにしても、たくさんありましたねえ。
そしていまあるものから、平成の合併後はさらに種類が増えるのは確実です。
これから先、どんな珍しいナンバーが発見されるか楽しみです。
まあ、普通に農民車を使ってる人はどんなナンバーがついていようが
気にもとめないと思いますけど。
[法的農民車考へ]
[続・法的農民車考へ]
[続々・法的農民車考へ]
[目次へ]