徒労に賭ける

2019年


― その1 ―





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さて、年もあらたに開けたことですし、このさい一年おきにページを
変えることにしました。こんな感じで以降もよろしくお願いします。

本題に戻りまして、すごく久しぶりにわが農民車を動かしました。
前段階として、奥に見える廃コンクリート片で作った石垣駐車場を
全部ばらして、組みなおしました。
なんでそんなご苦労なことをしたかというと、2018年版で書いたように、
ちょっとだけ横幅が足りなかったので、石垣の全長を短くし、あまった
コンクリートを上面に移したのです。斜面にあるので、高さが増えると
横幅も増やすことができました。
今年の正月休みが長くてよかったです。

しかしそれでも手前にある桜の根っこが邪魔で、その根っこと木そのものを
切ることにしました。ということで、そのために邪魔な農民車を
移動させたのです。
後ろ側のブルーシートは、はずさなくても移動できました。
エンジンの隣にある円筒は茶筒。紛失しているサイドミラーのステーが
尖ってて、雨除けシートに穴が開きそうなので被せてあります。
エンジンの振動でカラカラうるさいのですが、
エンジンのほうがもっとうるさいので気になりません。

言い忘れてましたが、使用していたコンパクトデジカメの電池が少なくて
起動しないので、急遽、普段使いの一眼レフ、ペンタックスK-xで撮影。
嫁が買ったもので、汚すと怒られるので気を使います。
それ以上にコンデジの役に立たなさに新年早々強烈に毒づいてしまいました。
ちょっと反省。





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あらためて、ディーゼル汎用エンジンの始動方法を再確認。
1.の燃料コックを下げる。
2.のアクセルレバーを運転席からみて手前に引き、全開にする。
3.のデコンプレバーを左手で上げておいて、
5.のクランクシャフトに6.のクランクハンドルを刺して、右手で時計回りに
ぐるぐると10回ほど回しながら左手のデコンプレバーを離すと
シリンダー内で爆発が始まって、勝手にクランクハンドルが外れます。
そうそう、4.の変速レバーは中立にしておかないと、クランクを回したときに
車体が動いちゃいます。






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動かしてみて、かなり気になったのがチェーンの振動。
右後輪にしか装着されてないせいか、よけいにガタガタするので、外すことにしました。
チェーン全体を緊張させる役割の輪っか状のコイルばねが伸び切ってるし錆び切ってるしで、
まったく役に立っていません。
ばねとチェーンを繋ぐ平たいフックは、鉤部分を曲げて外れないようになっていました。
でかいマイナスドライバーでこじ開けて分離。
錆びすぎて再起不能です。






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チェーン自体のフックも当然に錆がひどく、外すのに苦労しました。、間抜けなことに
タイヤがチェーンを踏んでいてとれません。
このフックは地面に近いところにあればすんなり外せるようですが、
そこまで考えていませんでした。
これはもう使わない予定です。
でもなにか再利用できることがあれば使うので、置いときます。
あいかわらずケチ。







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どうも変速レバーの位置がよくわからなかったのですが、
たぶんこんな感じだと思います。
なぜか一速が三速より前に出ていて、階段状。
これもHパターンっていうのかなあ。
字は私が写真ソフトで書いたのですが、実物にはなにも書かれていません。
初心者にはちょっと不便ですが、慣れればまあいいです。








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関係ないことですが、樹齢二十年ほどの桜の木を玉切りにしたら、荷台に半分ほどしか
溜まりませんでした。我が家の暖房用の薪ストーブは、これだと十日ほどで
焼き尽くしてしまいます。煮炊きや風呂を沸かすとすると、倍以上は使うはず。
二十年の木が一週間もたないとは…。
人が生きるのに必要なエネルギーのなんと膨大なことか。

今回はレストア作業はありません。
木の切り方やチェーンソーの研ぎ方、鉈の便利さを書いておきたいのですが、
これも本編には関係ないことなので、やめておきます。






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荷台の玉切りの木はすぐ上にある自宅の庭で薪割りしないといけませんが、
五時になったのでちょっと近所迷惑。
上の方は普通の住宅地なので、農民車のエンジン音はやかましすぎます。
載せたまま新しい駐車場に動かしてみましたら、
ちゃんと収まりました。よかったよかった。
しかしタイヤの空気量が少なすぎて、ハンドルが重いのには閉口。
とくに前左のタイヤがかなりへこんでいます。
足踏みの空気入れを買おうかなあ…。
二千円くらいなんだけどもったいないんですよね……悩むなあ…
というケチな近野です。

ところで駐車場の幅は間に合いましたが、
今度は後ろにあったやや細い桜が当たってしまいました。
ほんとは後輪が、車止めのブロックまでいけば定位置の想定です。
あと十センチ、車を左に寄せればかわせる位置なんですが、だとしても
どう考えても邪魔。
というわけで、明日はこの木を切る予定です。
そんでその木をまた荷台に積んでから上の庭に運びます。
このために農民車を買ったのです。
ハンドルを軽くするために、後輪より後ろに積もうっと。

荷台下の塗装は、去年の暮れにもう一度塗っておきました。
どうってことない作業なのでHPには更新していません。
事後報告で申し訳ありませんでした。





― その2 ―


どうも勤務時間がいままでになくバラバラで、いつ休めるのかほとんど
予測不能になってきたので
嫁がいても作業をやることにしました。念のため用事がない事を
嫁に確認します。なにもなくても農民車をいじると機嫌が悪くなるのですが、
そんなこと言ってると農民車は再起不能になりかねません。

「最強寒波」が来襲する、という天気予報だったので、
外で用事をするのはやめとこうと思っていたのですが、午前中は
さほどでもなかったので、後輪のタイヤを外すことにしました。
タイヤがなければ、車台下の錆取りも楽になるはず。
調子が良ければ一時間もあれば十分な作業。




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直接、修繕作業に関係なかったので更新しませんでしたが、
ボロボロのタイヤにかかる負担を軽くするため、簡単なウマを掛けておきました。
後ろ側は車台に直接掛けてますが、前の方は車軸に掛かっています。
これだと、タイヤに負担はありませんが、板バネの負担はそのまま。
前のほうにはウマを掛けられる車台の空きスペースが少なく、
やむなく車軸二点で。




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ホイール全体で見ると小さく貧弱に見えたナットですが、手持ちの工具で
入ったのは24の中古車載スパナ一本だけ。
これ以上でっかいのはモンキーレンチしかありませんが、
モンキーは緩いナットでしか信頼できません。
それより、ちょっとグラグラで
ぴったりなのかアヤシイ感じ。でももう一個小さい22でははまらない。

…まあとりあえずこれでいっとくか、とクレ556を噴射して、しばし待機。
ためしに手で回すも、緩む感触は皆無。
倉庫に戻ってデカい金槌をもってきてスパナの柄に打撃を与えてみました、
ちょっとづつ、ナメないように注意しながら……
コンコンコン、コンコンコンコン……。





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きゃあああー!! ナメちゃったあーッ(泣)!
やっぱりちゃんとサイズが合ってなかったのです。しかもホイールの凸凹で、
そもそも平スパナではまっすぐナットを捉えることができていません。

「ナットの寸法は23だ、それ以外は許さん」

…ということを直視させてくれる現実。
これ以上、同じことをしても角が丸くなるばかりで、いいことなど一つもありません。
本日の作業中止。

「初歩的だよ、ワトソン君。」

名探偵の高飛車な指摘が脳裏に宿ります。





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こっちは前輪で、安物のソケットレンチセットの一番大きい21がピッタリ。
ああ、ピッタリってなんて気持ちいいんだ。
ソケットの長さも十分で、これは使えそうですが、安物というのが不安で心配。
これに取り付けるラチェットが、すぐ壊れてしまうのです。
そうこうするうちに小雨が降ってきたので、潔く作業中止することにしました。
なんて不甲斐ない一日だ!





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せめて少しでも前に進まなければ。
前部を観察すると、車台と板バネの隙間が一か所だけあって、
そこに横木を通すことでウマを掛けられることが判明。
床面が水平じゃないのと角材断面がいがんでるので不格好ですが、
これで板バネにかかる荷重はほぼなくなりました。
ついでに、角材の下端に基礎パッキンをはさんで、腐りを防いでいます。

はっきりいって、こんなことしてお茶を濁している場合じゃありません。
背後では梅も咲いてるじゃありませんか。
時間は情け容赦なく進んでいくのです。
とりあえず、また親父の遺品をあてにして、23と21のボックスレンチを
探すことにします。
ああ、情けない…。





― その3 ―






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金曜日だというのに休みになりました。
よくわからない勤務先ですが、前回から一週間たたないうちに作業ができて幸いです。
しかも嫁は仕事で不在!

さて前回、後輪ナットの寸法に合うレンチがなくて,断念したタイヤの取り外しを再開します。
父親の遺品ではないのですが、某所から21と23のラチェットと眼鏡レンチを入手、
中古ですが材質はいいようで、これで安心して回せます。
黄土色の長いパイプは、バルコニー改造薪棚製作に使った足場パイプの残り。
眼鏡レンチの延長棒として、「梃子の原理」の応用。
こんなに長くなくてもいいのですが、レンチの入るパイプはこれしかありません。
が、使用した眼鏡レンチはクランク状になっているタイプで、パイプ内部で捻りが加わるらしく、
ナットからレンチがずれてしまうことが判明。無理をすると前回の二の舞になり
舐めてしまうことになりかねません。





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しょうがないので、金槌で打撃を与える方法に変えました。
こういう時は、部品の組み込まれたラチェットレンチじゃなくて、無垢の眼鏡レンチがいいと思います。
慎重にたたいて無事に緩み始めた時点でラチェットに切り替え、ちゃんと抜けました。
ナットのネジ山に錆はなく、きれいに輝いているので安心。





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あとは同様の作業を続けて左右ともタイヤが外れ、かなりすっきりした後輪まわり。
しかし片方だけで六本もボルトがあって、しかも23….。
いまの軽自動車なんて四本で14ですから、使われている金属が良くなったのでしょうか。
それとも、このサイズのタイヤでは現在でも普通なのかなあ。

見たところ、ブレーキ液の漏れもにじみもなく、錆がひどいですがブレーキパイプは
健全のようです。ダンパーゴムもまだ使えそう。
大型のダルマジャッキが二つないとなかなか手際よくいかなくて、
だいぶ時間を無駄にしました。ちなみに、どっちもタダの中古品。






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これは、ブレーキドラムっていうのかな…?
こんな知識量でちゃんと修理ができるのか。…それはともかくホイールとの隙間は居心地がいいのか、
蜘蛛が二匹となにかの幼虫らしきものが一匹。右側ドラムにも蜘蛛が二匹。
近野が昼ごはんを食べてる間に、いなくなっていました。
下のコンクリ片の隙間にでも引っ越したでしょう。





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下回りの錆取り作業を楽にするため、急遽、高いウマを作りました。
前後方向にも筋交いを入れとくべきだった…。

実は、前のほうも同様のウマを作ったのですが、据えようとジャッキで前部を
上げていくと、車体がどんどん後ろに動いていくのです。前後方向の支えとなる筋交いがないためです。
ウマの底には、前後方向に板を一枚打ってあるのですが、長さと強度が足りなかったのです。
甘かった。
一気にジャッキを上げず、ときどき離れて全体を見ていて正解でした。
後ろ側のウマが三度くらい傾いているのを見たときは、
肝を冷やしました。倒れたらまた持ち上げるのにはとんでもなく困難だし、
だいいち自分が下敷きになったらと思うと、心底ゾッとします。

なんでもタダで手に入れる近野ですが、ちゃんとしたウマは、今回は間に合いませんでした。






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前のほうは従来の角材その他を組み替えて、なるべくまっすぐに、高くしました。
低いままだと、今度は前にのめっていきそうで恐ろしい。
この状態で、手で揺らしてもしっかりしていたので、しばらくは
大丈夫でしょう。念のため、外したタイヤを重ねてデフケースの下に据えときます。
前輪もはずすのはやめて、わずかに床に着けて支えとしました。
ささやかな保険代わりです。

今回身に染みたのは、こういう危険な作業は水平なコンクリートの床でやるべき、
という当然のことです。こう床がガタガタではウマの垂直を出すのも手間、
ジャッキを据えても垂直にならず、角度のついたまま使うと車体はまっすぐに上がらず、
倒れそうになる。コンクリの下がやわらかい土だと、ジャッキがどんどん沈んでいく。
ダルマジャッキは戻しばねがないので、やり直そうとピストンを下げても車体下に挟まった
ままの状態で、手では抜けない…。
こういうトライアンドエラーを繰り返して、しかもウマを二つ作って一つは使えず、
使えた一つは強度不足ときた。
正味五時間はかかりましたが、たんにタイヤをふたつ外しただけ、という貧弱作業でした。

でもまあ、ブレーキドラムをボロ布でざっと拭いてみると案外錆もすくなく、

「こうしてみると、きみはなかなか美人だよ」

なんてことをつぶやくと、枕と椅子が飛んできます。

スタッドボルトにはグリスを塗っといて、失わないようにナットを嵌めときました。
また小雨が降ってきたので、ブルーシートをかけて終了。
あーくたびれた!





― その4 ―






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ずっと冬枯れの季節が続いていたのに、いつのまにか木の芽が芽生えてきて、どんどん
周りが黄緑色になっていきます。明るかった木々の下も、
どんどん葉影が広がってきます。農民車修復という手間がかかる用事がなければ
ほんとにいい時期なんですが…。


前回から二か月以上経過しましたが、農民車本体には手が出せなかったものの、
付帯工事はちまちまと続けていたのです。
ウマはしっかりと前後左右に筋交いを取り付け、車体前部にも設置。
なかなか据え付け位置がきまらず、三回はやり直しました。
筋交いを後ろにもつけたので廃コンクリの土台が足りなくなり、急遽
最後部に増設。
その木製のウマが雨ざらしになる部分があるので、破損した塩ビ波板を応急的にかぶせ、
万一に備えて前輪には角材を噛ませて、安定するようにしました。
ブルーシートは車体をおおうのをやめ、鯉のぼりの柱に使っていた孟宗竹を
半割りにして桁にし、五十センチ以上の軒がある平面の屋根としました。
棕櫚縄を地面や車体に結び付けて固定してあります。
少なくとも台風が来るまでは風で飛ばされることもないでしょう。
これで雨だれや泥跳ねがタイヤにかかるのを防げるし、風通しもよくなって
防錆にもなります。





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さて今回の錆取りはこの部分。後輪軸とそのすぐ後ろ、それと板バネです。
ウマをかける場所がかなり限定されているのがわかりますでしょうか。






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デフ部分は錆と土埃が堆積しています。油染みした部分は、埃がどんどん増殖して
固まっています。板バネと車軸を繋ぐUボルトの間がとくに猛烈。

ちなみに、この球状部分はデフハウジングと呼ぶらしいです。
私はこれをずっとデフケースと思ってましたが、デフケースはこのハウジング内にある
箱状の部品だそうです。

そのデフハウジングの両脇にはコの字型の取付金具が溶接されています。
現状ではなんの意味もないものですが、きっと流用元ではなにかの用があったのでしょう。
邪魔ですが、こんなもの外そうと思っても外れません。
それと、球体部の左肩部分には、付箋のような形状の薄い鉄片が溶接されています。
これも謎で用事もないものですが、とりあえず残しておきました。
こっちは削り落とせるし、あっても邪魔にはならないのですが…。





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ブレーキドラムの内側には、なにか膜状のものが張り付いています。
アスベストだったら怖いのですが、なんなのか不明。板バネの上にはグリスと油と埃の混合物が
ありますが、こんなのがまだまだU字ボルトの間に詰まっています。

上部に見える台形のゴム部品(ダンパー?)は不思議にも劣化が進んでいないので十分使えそうで、
タイヤとはえらい違いです。

ブレーキパイプは錆びまみれでまあまあ不安…。
でもハウジングの錆取りに邪魔なので空間を広げようかな、と
ほんの少しだけ手で曲げてみたらば

「パキッ!」

ぐぬうう、この嫌な感じの音は!!






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うおおう、まさかパイプに亀裂?
現実から目を背けたくて、パイプを曲げたときに固着したナットが緩んだのでは…?
そんなばかな、という儚い望みをかけて、現実逃避に昼ご飯を食べることにしました。
これ以上油にじみが広がらないとか、時間が経てばいいことがあるかも。






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ああ、だがそんな願いも空しく、やはり亀裂ができてしまったようで、
飯を食ったら垂れ始めているなにか。それは
ブレーキフルードに決まってます。
やれやれ、このパイプは交換しないと……。

ブレーキパイプは接続部がフレア加工されていて、ただのパイプでは
油圧に負けて外れてしまうそうです。
しかもこのパイプ、、現代のスタンダードなパイプと径が合うのかどうか。
旧車のブレーキパイプは現行車のそれよりも細い、というような
話を聞いた記憶もあります。
それは記憶違いであってくれればよいのだが、とまた儚い望みをかけてしまいます。

ま、よく考えてみれば0.5度くらい曲げただけで折れるようなボロパイプは、
普通に走ってる最中、突如折れる可能性だってあります。
こうやってウマ掛けしてる時に折損が発見できて幸いだったかもしれません。






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とりあえず、ブレーキフルードが漏れている折損部には、某ゴミ捨て場で拾ってきた
謎のシール材(写真の下の方にあるチューブ)を塗布(板バネの左横にある白いモノ)。
老眼でチューブの説明文がよく読めませんが、とにかくこれで様子を見ます。
一時間ほど経っても漏れないので、まあ大丈夫かな…。
「ガスケット」という文字もあるようだし。
漏れたら漏れたでどっちみちパイプ交換時には
フルードを全部抜かなきゃならないし、これでしばらくはヨシとします。

こうやって錆止め塗装すると、写真だとすごくきれいに見えるので不思議。しかし
ブレーキドラム付近はディスクサンダーがまったく入らないほど窮屈なので、ワイヤーブラシで
錆取りしましたが、かなり不十分なので錆がまた発生すると思います。
それにこの夥しい堆積物。油分があるのでこのまま地面に捨てるのはやめにして、
ゴミ箱に投棄。

タイヤ四本に加えてブレーキパイプが必要。自動車整備に詳しい知人がフレア加工工具を
持っていなければ、それも自分で入手しなければいけません。
あ〜あ、経費が増えたなあ…。





― その5 ―






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ゴールデンウィークに入ったはいいですが、それまでの夏のような日々から
一変して寒気と雨が続いています。いままでは雨が降ると再生作業はなしにしていたのですが、
新規に作った屋根状のブルーシートのおかげで、作業する気になれます。
この方式だと、車体下部分の作業ではシートを脱着する手間がはぶけて
たいへんラクチン。
シートの上に溜まっているドングリの木の花ガラが透けて見えます。
このあいだの大風でも、この屋根は平気でした。





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さて、前回とんまな事をして亀裂を作ってしまったブレーキパイプ。応急的に拾ったガスケットを
塗りたくっておいたのですが、十日後の本日は、わずかに漏れがありました。さっき調べてみたら
「ニチアス ナフロンペースト」というガスケット。
化学物質には強いようですが、暴露状態では無理があったようで。
まあ、こんな誤魔化しをせずにちゃんと直すつもりなのですが、
まず錆取りを優先することにします。






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今回は作業前状態を写すのを忘れましたが、前回と同じく埃と油が堆積しまくってました。
形状が複雑なうえにプロペラシャフトと板バネが邪魔で、体を入れるのが大変。
肉眼では見えていたところも、防塵用のゴーグルをかけると暗くて
たちまち見えなくなる。かといって、ゴーグルを外すと危なくてディスクサンダーが
使えない。歯ブラシ状の手動ワイヤーブラシだとゴーグルはいらないのですが、
こんなに艶が出るまで磨くのは不可能で、やはりディスクサンダーが便利。
でも古いダイキャストのディスクサンダーは重いんだよなあ…。

まあ、なんせ面倒くさくて汚い作業です。
マスクをしてても、鼻をかむときったない鼻くそが出てきます。






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と読める、デフハウジングにボルト留めされている三角錐に
浮き彫りになった製造番号。やっと流用品らしい証拠が出てきましたが、
なんのことかわかりません。
メッキボルトとナットはえらいきれいに錆が落ちましたが、
窪み部分はまだ取り切れてません。ディスクサンダーはこういうところが
弱点。ベルトサンダーがあればなあ…。





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その三角錐部分(名前はなんだろ)と自在接手の間にある円盤部品にだけ
メッキがかかっています。ここは鋳造品じゃなくてプレス加工のようです。
何ヵ所か凹みがありました。
古いマイナスドライバーとか、千枚通しまで使って細かい隙間の錆取り。
それに、グリスと埃の塊はあらゆる隙間にこびりついています。
なるべく丁寧に、達成感を得られるよう努力しました結果、
まるですべての贅肉がなくなって筋肉の引き締まった体躯のようになり、
本来の姿が蘇りました。心なしかかっこよく見えます。
こんな形状だったんだ……。
すべての農民車のデフは、もっとまるまる太った印象だったのですが、
みんなこうだったんだね。

天井部分は荷台の鉄板の裏側なわけですが、L字アングルで補強してありますが、
点付け溶接が不十分で、鉄板とアングルに隙間が発生し始めています。
荷台に荷物を置くたびにアングルが曲がって、弾性のある鉄板との
隙間が広がったのでしょう。
点付けでも十分な数があればこういう状態にはならなかったはず…。





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亀裂のはいったブレーキパイプに繋がるブレーキチューブとパイプ。
板バネで上下するところだけゴムチューブになっています。
このゴムも健全ですが、二回ほど回転途中のディスクサンダーが触れてしまって、
危うく裂いてしまうところでした。
また不思議なことに、こっちのブレーキパイプは塗装も残ってて、
錆はまったくありません。塗装を剥いだ色合いからして、これは「なまし銅」という材質の
パイプらしいですが、銅というからには錆は緑青のはず。亀裂の入ったパイプには
普通の赤錆が覆っていた、ということは鉄パイプだったのか…?
そういえば、あんまりきれいに曲がったパイプじゃなかったので、折れたところは
取り換えられたのかもしれません。いや、もしかすると折れたところが純正品で、
こっちの銅パイプが取り換えられたのかも…。

こういうこまかな疑問も、ただ道端で写真を撮り集めているだけでは気づかないこと。
わざわざ金を出して、苦労して治している甲斐もあろうかというものです。







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錆止めを塗ってから気がついたのですが、三角錐の底には

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という番号が浮き彫り。はて、同じ部品のはずなのに、なんでさっきと違う番号。
しかも 11 がちょっと小さいのは、なにか意味があるのか。
わかることもあれば、わからないことも増える再生作業が続きます。








― その6 ―








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だいぶ長い連休中、もしかすると車体下面はずべて錆取りが終わるかと
思ったのですが、そんな甘い具合に事は進まず、七日も休みがあったのに
二日しか作業ができません。
なんでなんだろ、この忙しさは。
でもまあ、わるい現実ばかりを見てはいられません。
気を取り直して前に進みましょうか。





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その前にですが、この狭い空間しかないブレーキドラムの内側部分、こんなの
錆取りが不可能です。しかも凸凹が多いし、問題の折れやすいブレーキパイプがあるし。
ここを処理するには、この円盤部品を分解して外さなければなりませんが、
そのためにはブレーキパイプを外さねば。そのためにはフルードを抜かないと。
そして抜いたあとで分解し、錆を取って錆止めし、上塗りし、組みなおして
フルードを入れなおさないと。
……ああもう、そんなことしてるといつ動くようになるんだー!






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精神衛生上よくないので、テンションの下がる進行予定を考えるのはやめにして、
あらためて錆を取りましょう。
これは左後輪の板バネの前部取り付け部分。
もともとコの字型の中に軸が入り、板バネの巻き部を貫いています。
コの字の不要な個所は乱暴にガス切断され、ほとんどバリ取りもされていません。
上部に蓋のように鉄板が溶接され、それをさらに車台に溶接してあります。
溶接部にはスラグがかなり残っていて、ビードもあんまし上手とは……。
まあ位置的に溶接作業は難しいと思えますが。
コの字内部はなぜか荒れていて、なにかを削り取ったような跡があります。
マイナスドライバーや千枚通しを隙間に突っ込んで、錆とスラグを除去。
軸に挟まっているはずのゴムブッシュは片鱗もありません。
ま、ブッシュがあろうがなかろうが、乗り心地は良くも悪くもならないでしょう。
減衰装置がないので振動がひどいのはどうにもなりませんね。







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錆取り途中ですが、全体がラミレス監督の顔面のようになってるプロペラシャフト。
この棒はミッションをニュートラルにしておくと手でくるくる回せるので、作業は
非常に楽でした。
先端にある埃の膜のようなこびりつきが強烈で、
これは亜鉛ブレスのワイヤーブラシの柄のお尻部分で剥がすのがいいようです。

シャフトは途中で切断され、溶接されているのがおわかりでしょうか。
長すぎたので切り縮めたのでしょう。
しかし、なんかの四角い板がくっついた部分で切らなくともいいのでは?
たまたま切ったところに四角い板があったのか。
行き当たりばったりだなあ。

同じ直径の円筒を繋げるときに芯を出すには、一本のアングルをVの字に置き、
円筒を直列に二本寝かせてから
繋げればいいそうですが、これはちゃんと芯が出ているのかなあ。
だいぶ雑に切られて溶接されているようですが……。

「こ、こんな雑な分解図で役に立つんですか!?」

「やらなきゃならんでしょう、先生」

錆取りにウンザリしてるわけではないのですが、あたまが散文的になってます。








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こちらは、板バネ取り付け部の右側部分。溶接の仕方も切断の仕方もスラグの残り方も
左側とまったく同じです。ブッシュもないし。
しかし、ライトで照らした奥部には、三角の補強鉄板があります。これは
きれいな溶接がされているので、もともとの部品にあったものが残っていると思われます。
左側と右側で部品全体の切断位置に違いはないようですが、なぜか左にはなく、
内側が荒れていたのはこの三角が切り取られた跡なのでしょう。
なんで左右で処置が違ったのか、謎。
行き当たりばったりで、切らなくてもいいものを切ってしまったのかな。






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その右側を前から見た写真。
車台の骨組みはここでやや角度がついています。角鋼材を斜めに切断し、
同じ角度に折った鉄板を添え木のようにして溶接してあります。
これは組み立ての初期段階で溶接しやすかったのか、まだビードが出ていますが、
あいかわらずスラグは残っていました。
そしてあいかわらず、ブレーキパイプはすごく邪魔。
前述のとおり、このパイプはまったく錆びていませんが、もっと隙間をあけて
新規にひき直したいくらいです。

板バネ取り付けボルトの座金は、径があってないみたい。





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だいぶ慣れてきたせいか、あまり時間がかからず作業終了。
さんざん重箱の隅をつついてしまいましたが、終わり方がよければ気分もスッキリ。
いつもは片付けてシートを覆うのに大わらわだからなあ。
しかしこの先はまた狭くて込み入った個所が続きます。
やれやれ……。






ー その7 −






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また前回からひと月以上も手出しができなかったボロ農民車。
本体は変化がありませんが、雨除けのシートがタダで手に入ったので、運転席部分の
緑色の袋状シートと交換しました。従来部分とは縦横寸法が違うのでしっくりきませんが、
風通しがよくなり、雨の当たらない範囲は広くなります。
将来的には、この形状の塩ビ波板屋根をかけるつもりですが、
その材料はいま薪棚の屋根に使っている波板が古くなれば再利用する予定なので、
もうちょっとこのままでいきます。






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さて今回の錆取りはクラッチ板からプロペラシャフトへの伝達部とその周辺部。
月曜日ですが平日休みになったので、嫁は仕事でいない予定、思う存分錆を取れます。
が!なんと二日前に嫁がギックリ腰になってしまい、今日は休んだのです。
体調の悪い嫁をほったらかして一銭にもならないことをするのは気が引けたのですが、
幸いなことに(?)接骨院に行ってくれたので、その隙にやっつけることに。
……付き添うべきだったかな……。

それはともかく、お気づきの方もおられるかと思いますが、恐るべき事実が判明しているのです。
そう、それは例えるなら、大雨の夜に屋根裏部屋に呼び出しをされて行ってみたら、
呼び出しした本人が屋根の上でぶっ殺されてて天窓に顔をへばりつけているのと目が合った……
そんな感じ。




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ゴエエエエ〜ンン!
「おごえあおごごぉおおあごぉ」
ドタッ!

…まあ卒倒するほど驚きゃしませんが、かなりの衝撃を受けました。
穴を指でほじくると洋菓子のミルフィーユみたいに崩れていきます。
これは荷台の前左下を支えるC字鋼。前のフェンダー裏もなかなかの錆び具合です。
さらに。






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がーん がーん がーん
「決定的だ……これは!」

左の後輪フェンダー前部分。C字鋼をこういうところに使うことがそもそも間違いです。
水が入る大きな開口部があり、溜まったら抜けない構造で、しかも日が当たらないから
乾きにくい。こうなって当然です。
だいたいC字鋼は雨の当たらない想定の建物用建材です。
そして、





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ドーン!!
「オーッホッホッホッホッホ」

銀河万丈の高笑いが脳内を駆け巡ります。

こいつは左前輪フェンダーの後端部。埃が溜まりやすく、それが湿気を保つのでしょう。
さらにさらに攻撃は続くぞ、スレッガー中尉が決死だ!

「まだまだァ!」





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ズボボボボボボーン!
アストロ球団がロッテ相手に決死の野球だ!

…ここは荷台前右下。こっちは側面のC字鋼にもピンホールがあったりして、
どうにも頭を抱えてしまいます。要するに、荷台下のC字鋼は後輪から前輪の間が
全滅なのです。こいつを引き取るときには、手に入れられたことがウレシすぎて気がつかなかった…。
まあ気づいていても買ったと思いますが。

島内には何年か前に「コーナンプロ」という上級ホームセンターのような店ができて、
そこにいけば同サイズのC字鋼をバラ売りしているかもしれません。
親父の遺品には、なんとエンジン発電機があって、溶接セットもそろっているので
なんとかなる、と楽観はしてますが、現時点でここの修理は考えないことにします。
しかしこりゃ難儀だなぁ…。






190617-7



気を取り直して錆を取りましょう。
クラッチと自在接手は、錆というよりも土埃とグリスの膜が覆っているようで、
そんなに深刻な状況でもありません。天井部分も比較的に良好な状態。
しかしどういうものか、無塗装の部材があったり、狭くて手が入らなかったりで
範囲が狭いわりに手こずりました。
いっそ天井の荷台を外せたらほんとに楽なんですが。





190617-8



これはおそらくクラッチカバーか、クラッチケースとかいうものの前部隙間。
ここも灰色の埃がグリスと一緒にこびりついているのですが、それをマイナスドライバーで
こそぎ落していると、なんかフニャっとした感触がありました。見ると
でかい穴に不釣り合いな細いボルトが中途半端にささっています。
なんじゃこりゃと指で触ってみたら、緩みはしませんがグラグラ。
どういうこと?





190617-9



下に敷いたシートを見ると…、劣化したゴムワッシャーというかパッキンと
いうか、そんなのがスポンジケーキ並みの脆さで落ちてました。
先程のボルトはこれを固定するためのものでしょうが、当然ながら再起不能。
こんな部品が流用品としてあるだろうか?
ネット販売ならなんとかなるのかもしれませんが、いまは考えないことにします。
いざとなれば、穴に厚紙でもあててコーキングでごまかそう。
それ以前に、この状況を忘れないようにしないと。




190617-10



これはギヤケースの後端部を吊り下げる支持架を車台に固定するボルト。
ちなみに、横向きの分厚いL字アングルに固定されているのですが、それが無塗装です。
ご覧のように、支持架にはもうひとつボルト用の穴がありますが、肝心の車台側に固定すべき
部材がありません。これは左側ですが、当然右側も同様。
四本ボルトで留めるものを二本で済ませているのです。
なんでだろ、なんてこった。
「閉口する」とはこのことよ。




190617-11



雌クラッチにつく自在接手のピン。菱形のなかに K.S の文字が浮き彫りになってます。
下請けメーカーの商標でしょうか。





190617-12



こっちは雌クラッチ。有名なトヨタの旧ロゴマーク浮き彫りですが、
流用車種はトヨエースと思われます。

おたけさんの農民車解体論参照







190617-13



同クラッチを半回転させた側には、

RK45  46211  N.16

と刻印があり、続きに△に斜め線が二本続く謎の印が刻まれています。
近野にはまったく意味がわかりません。






190617-14



昼から錆止め塗装して三時に終了。
嫁が帰ってきたのであんまりしつこく作業をしないことにします。
とにかく、はやく良くなってほしいものです。
とってつけたように。








ー その8 −




まず最初に訂正があります。
ーその7ーで紹介したクラッチですが、実はサイドブレーキのドラムのようです。後日に、
おたけさんから掲示板に書き込みがありました↓



この写真の部分は今では採用されていないのですが、サイドブレーキがこの中に入っています。
この出ているネジは、サイドブレーキの遊びを調整するネジですが、錆びて動かないと思います。
最近ではこの部品が不足しています。運転席からワイヤーが来ているのですが、この部品も少ないです



おたけさん、いつもありがとうございます。
実は私も、更新から何日かたった夜に寝ながら考えていて、

「あの位置では、クラッチペダルを踏んでもギヤ部分は回転したままなんじゃないか」

と思いつき、今度確かめてみなければ……と考えていたのです。
形状がよく似ているので勘違いしてしまいました。申し訳ありません。
おたけさんのいう「運転席からワイヤーが」のワイヤーは、下の写真にも見えていますが、
たしかにサイドブレーキのレバー@に繋がっています。
その先は写真190622-10になり、問題のサイドブレーキドラムBの右側にあります。
クラッチディスクはAにあたります。

素人の浅知恵とはこのことですね…。






190622-1




では反省したので本筋にもどります!
本日の錆取り目標はそのミッションケースなのですが、いままでで一番せせこましく
複雑な部分です部分です。ここは前輪の回転角をかせぐために車台の鋼材が
中央に向かって狭めてあるのです。Aのクラッチ部のケース左側などは、
まさに鋼材と接触しているくらいです。ただし右側はすこし開いてるのがかえって
不思議なんですが…。
どうにもこうにも手が入らないので、ミッションケースは思い切って降ろしてしまおうと
計画しています。この油染みと埃の凄まじいミッションを、このままで塗装できる状態まで
きれいにする自信はまったくありません。
それに、これだけ汚いのはどこからかミッションオイルが漏れているからでしょう。
パッキンを交換しなおす必要もありそうで、そうなると当然オイルも交換です。
こりゃあえらいことになりそうですが

「やらなきゃならんでしょう、先生」

ブラックジャックはいつ思い出しても励みになります。






190622-2



幸い、ミッション整備のためかどうかわかりませんが、運転席の床はわずかだけ外せる
場所があります。上の写真では、シフトレバーが突き出てるところの縞鋼板じゃない鉄板が
ボルト留めになっていて、外すとサービスホールのように。
それだけでも助かるのですが、どうせならその前の縞鋼板やフェンダーも全部ボルト留めに
しといてくれりゃあいいのに、そうなってないのです。
両フェンダーは荷台の鳥居さんと溶接され、フェンダーと床は右側がボルト留めなのに
左側は溶接なのです。左もボルトにしといてくれれば……!
ペダルも一番上を外せるようにしといてくれれば……!
ないものをねだってもしかたないので、クレ556を吹いて外せるところだけ外します。
その前に…。




190622-3



ちょっとピンボケになってますが、どうでもいいゴミなので。
これは運転席に載ってた座面用クッションの数々。
座席の床をいじくってると、こいつらが顔の近くにきてうっとおしいので外します。
一番右が本来のもので、真四角のパイピングされたビニール製市販品。
農民車の座席には新旧問わずよく使われていますが、こういうものを扱っている業者が
いまもあるのでしょう。息をふくだけで塵になるので、こいつはいくらなんでも捨てました。
真ん中はちょっと長方形のなにかのクッションで、となりにそれを固定する綿の紐。
その次が正方形の安物座布団で、それを固定していたのは
最後にある畳の縁に使う布地でした。
どいつもこいつも役に立ちませんが、綿の紐だけはとっときます。
だいぶ硬化してますが、まあなんかに使えるかもしれません。




190622-4



おおきいほうは正方形の座面の裏側。こうしてみると長方形でした。
杉の一枚板に無数の釘で打ちつけてあり、手作業むき出しです。
五個の穴は、クッションに座った時の空気抜きかな?
残ったビニールを外せばまだ使えるので、新しい座面をこしらえるときに
利用できるかもしれません。
横の小さい板は、補助席の座面。補助席はこの板だけでクッションはありません。
これは再使用します。





190622-5



シフトレバーが邪魔でちょっと外しにくかったですが、レバーを1のほうに動かすと外せました。
階段状の穴がシフトパターンで、右の切り欠きは運転席の柱をかわすためのもの。
ボルト穴は下に三つと上に二つですが、ボルトは四本しかありません。
下の一番左のがなくなってました。
それと、なぜか上二つはばねワッシャーがついてるのに、下側はボルトのみです。
水色の塗装は頑丈で、ディスクグラインダーのワイヤーブラシでは取れません。
そろそろブラシを新品に替えなきゃなあ…。
錆止めの下塗りはしてないようです。
たぶん車体ぜんぶ、錆止めは塗っていないのでしょう。
丁寧な車のレストアラーならば、金属地肌になるまで旧塗膜は剥ぐそうですが、
私はそこまでしません。
だって時間がかかるし。
錆止めを裏表に塗って乾かしておきます。





190622-6



フェンダーと車台の隙間から光沢が出てきたミッションの上部が見えてますが、
こんだけの油と埃の混合物がこそぎ落とされました。
もちろん作業途中です。





190622-7




黄色いチューブがサイドブレーキのワイヤーです。
丸いトヨタのロゴマークがついていますが、そばに製造番号も刻印されています。
油を完全に除去しないと見えにくいので、番号はまたあとで確認しておきます。
写真の中心部、バッテリーの接点みたいなのの横に丸いものがありますが、
ネジなのか蓋なのかグラグラです。怖いので当分ほっときます。
前方(写真左)の色の違うところは、いわゆるクラッチのお釜。
その上部Cは、車台を横にまたぐでかいアングルにボルト固定されており、
左の縁が車台の鋼材とぴったりくっついてるのですが、限界まで左に寄せないと
シフトレバーの操作がしにくいくらい運転席が狭かったのでしょうか。
ななめになってる四角い蓋状のものは薄い金属で、下側はいけいけになっています。
クラッチの摩擦熱を逃がす放熱穴?
汚れ落としにマイナスドライバーをあてたらフニャっとたわんだので驚きました。
六角ボルト二本で留まっているのですが、なぜかマイナスの溝が切ってあります。




190622-8



前回もふれた、ミッションを吊り下げる支持架の、片方が一本しかないボルト。
ボルトが長すぎて、手持ちのボックスレンチではナットまで届きません。
ならば上側のボルト頭で緩めようとしますが、荷台板との間が狭すぎて目視不能。
サイズもわからないので何本かレンチをあてがってみると、14が合いました。
こんな狭い場所で力が入るかなあ、と心配でしたが、案外軽く回りました。
ほっとしたのも一瞬で、下のナットも供回り……。
緩んだのにこれ以上緩まないじゃないか。
手元にモンキーレンチもプライヤーもなかったので、ここは後回し。
緩め方はわかったし。





190622-9



90度回転させた方がよかったかもしれませんが、ミッションの右横にあるクラッチペダルから
伸びてきたレバーのリンク部分です。
油圧式ではないので配管を外す手間が省けて助かります。
ミッションを下ろすには、どうやら

@サイドブレーキのワイヤー
Aエンジン回転がクラッチに繋がるボルト
Cお釜を固定するボルト
Dシフトレバーの基部
Eクラッチペダルのリンクにあるボルト
F同・割りピン

…を外す必要があるようです。
Bのサイドブレーキドラムについてる自在接手も外せそうですが、
ついたままでも降りるでしょう。
おたけさんは「ブレーキドラムを分解しない方がいい」
とおっしゃっていますが、
プロペラシャフトとミッションはどういうふうに繋がっているのだろう。





190622-10



クラッチのリターンにはコイルバネが使われていて、その末端は
例のミッション支持架にある、使ってないほうのボルト穴で固定されていました。
支持架は回転軸の軸受を固定しているので、外してもバネには影響しないはずですが、
ほんとに行き当たりばったりな構造の農民車です。
このバネも錆びて強度が心配。
ミッションは荷物固定用ベルトで二か所くくって、さらにベルトをロープで鳥居さんに吊って降ろす予定ですが、
そのときにバネを折損しないように注意しないといけません。

ここはあわててはいけないので、今回はこのへんで終了します。









ー その9 −




すごく久しぶりに農民車に触ることができました。
夏場の暑さと蚊を避けるために、雑木林のなかに置いてある農民車には
近づきたくはなかったのです。
そんな孤独な農民車を守るブルーシートの屋根は、木々の防風効果もあってか、
数々の台風にも耐えてくれました。もっとも風が穏やかなせいか、虫たちもすごしやすいようです。






191013-1



すぐねきにあるコナラの幹には、コガタスズメバチが集まっています。
農民車を入れ込むために、六頭ぐらいしか映っていませんが、反対側には三倍くらいいます。
巣材の木屑をかじっているのか、蜜に群がる小さな虫を捕食しているのか、
あまりいい気分ではありませんけど、攻撃しなければむこうも無視してくれます。
ほぼ全周にわたって皮に食害をうけているので、この木は枯れてしまうかも。
近々切り倒さなければ、勝手に倒れるかもしれません。






161013-2




とにかくこいつを修理して移動させなければ、倒木でぺちゃんこになるかもしれません。
安全に切り倒したとして、玉切りにした木を薪にするために、上の家に運ぶのにも使いたいものです。
で、本題にもどるのですが、ミッションをおろすのはやめにしました。
おたけさんからもその危険性を指摘されていましたし、
おろして分解し、油漏れを留めるまでもないようなのです。
というのはですね…。

前回その8の、写真190622-1を見ていただくと、→Aのすぐ後ろに、もこもこになった
グリスの塊のようなものが見えるでしょうか?私はこれがミッションオイルの滲みが埃と
いっしょになって盛り上がっているのだと思っていましたが、実はなんと
乱暴にミッションケースの不要部分をガス切断した跡だったのです。
油漏れが完全にないとは言い切れませんが、少なくとも現場はいい作業環境では
ありませんし、ミッションリフターなんていう便利な道具もありません。
ご心配をおかけしましたが、現実的な選択をしました。
ブラックジャック先生には面目がないなあ…。

しかし、ミッションの塗装はしておきたいので、思い切って運転席の床板を取り外すことにしました。
その7の、写真190617-5で紹介したように、フェンダーは荷台と溶接固定されていて、
切りたくはないけど、ここを切断しないと外せません。なるべく原型を保ちたいのですが、
どうせ錆穴は開いてるし、あとあとのためにも、この床板は簡単に外せるようにしておいたほうが
整備がしやすいにきまっています。
その溶接部を切るのは後回しにして、手軽にできそうなボルトだけでも緩めることにします。
今回は一時間ほどしか時間がないのです。
すでに陽は傾いています。
関係ありそうなボルトは計六本。
埃を除去してから、クレ556を吹いておきます。
手前の1.と2.は、簡単に外れましたが、なぜかボルトが14で、ナットは17でした。
しかもばねワッシャーがついてるのは片方だけ。






191013-3



これは3.4.のナット。駆動ベルトの回転から足元を防御するためのカバーが固定されているのです。
3.には、ボルト側に斜めについた鉄の丸棒が共締めされています。
この丸棒はハンドル軸を支持しています。
こちらもボルトは14でナットは17でした。







191013-4



外した駆動ベルトのカバー。すぐに錆を取って錆止め塗料を塗りたいのですが、
時間がありません。
斜めになってる部分はベルトがこういう角度になってるから。
切り欠きがあるのは、ベルトの張り具合などを確認するための窓だと考えられます。






191013-5



ますます日光がなくなってきたので、被写界深度が浅いうえに見てほしいところが
ピンボケになっています。これは3.のハンドル軸を支持する丸棒で、その基部は
分厚めのワッシャーを溶接していますが、
ボルト頭と溶接部が競っていて、緩めることができませんでした。仕方なく裏のナットを緩めたのですが、
ボルトがまったく回転しないので共回りしなくてすみました。
ハンドル軸側は、その1の写真190105.2のようになっていて、
実はもう一本はずすナットがあったのです。
こちらは溶接部とナットには十分な間隔がありました。この丸棒を外さないと
床板も外せそうにありませんので。
どうも造り方に統一感がないのは、試行錯誤しながら組み立てている
初期の農民車だからかもしれません…。
丸棒が途中で曲がっているは、まっすぐだと駆動ベルトカバーに当たってしまうから。

時間がないのでどんどん進みます。
残りは5.6.のボルト。ところがこいつが予想外に頑強で、タイヤに膝をあてて体重を
利用しながらゆっくりと力をかけていくと………
パキ!






191013-6




「長官 ウソはいかんなァ」
「ほ――れ ポッキリ イッとるぞ 眉間の骨まで縦皺っとるがな」


二本とも折れてしまいましたとさ(笑)。
まあ、14のボルトくらいどうとでもなるので気にしませんよォ、岸和田博士!

ところでこのアングル部分と縞鋼板は、一見分離できるように見えますが、
なんと縞鋼板とフェンダーが溶接されているのです。じゃあこの折れたボルトはなんなんだ、
というと、車台にくっついた鋼材と床板を固定するためのものでした。
その8の、写真190622-2では床板とフェンダーが分かれるような解説をしましたが、
私の勘違いでした。
申し訳ありません。






191013-7




本日の作業結果。
六本の予定でしたが、一本は無くさないように丸棒につけてあります。
それにしても、久しぶりの更新なのにショボい写真…。
また次回がんばりましょう。







ー その10 ―







191104-1




なかなか寒くなりませんけど、朝晩は十度くらいまでは気温が下がってきました。
おかげで例のスズメバチも、今日は縮こまって動かない一匹のみ。
安心して作業できようというものです。

前回、その9の続きで、運転席の床を外す作業を続けます。上の写真は、その床を外す
際に障害となるであろうサイドブレーキの基部。
ちょっとわかりにくいですが、@とAの部分が床に溶接されています。
@はこちら側に、Aは向こう側に足がでていて、それぞれにボルト留め用の
穴があいています。なのにブレーキはボルトではなく、溶接留め。取り外して整備することはできません。
しょうがないので、溶接を削って取り外すことにしました。





191104-2



ライティングして、陰影を強くしてみます。
これは苦労して溶接を削り、床からはずれたところ。なんと気づかないうちに
削ってはいけない部分まで削っています。サイドブレーキの可動軸は、絶対に外れないように
カシメ固定です。そのカシメの頭をだいぶ削り込んでいました。
もうちょっとで分解しなくていいものを分解してしまうところでした…。
@を削るとき、ディスクグラインダーでは回転砥石を留めるナットが床にあたって、
水平に削ることができません。しかも飛び散る削り粉の火花で、肝心の削られている
個所がよく見えないのです。
まあ、とにかく外れたことは外れました。ついでに
ボルト留め用の穴にあう位置の床に同径の穴を開けておきましたので、
以降はボルト固定できます。
削ってしまったカシメ頭は肉盛り溶接してもいいでしょうが、
それはまたあと。






191104-3




これは、サイドブレーキの床下部分。
Bのボルトでななめに下がった可動鉄片を繋いでいます。はじめはこのBを
外しにかかりましたが、まったく回りません。それもそのはず、よく見るとナットとボルトが
溶接固定。これも絶対に外れてはならない、ブレーキのための処置です。
ならばCを外すしかないでしょう。
幸いこちらは素直に回りました。ブレーキワイヤーはこのボルトの頭のすぐ下、
軸中央の穴を貫通していて、ブレーキ専用ボルトです。






191104-4




外したサイドブレーキ。
Aのほうは、床板の端っこからディスクグラインダーを溶接部に
水平に差し入れることができたので、わりときれいに取れました。
しかし@は酷い。だいぶ厚みがなくなって、切削面も多面体になってしまいました。
ヘタだなあ、もう。

それよか、ここまできて重大なことに気がついたのです。
Cのボルトを外せば、ワイヤーからブレーキは外れる。
床と車体を繋いでいるのは、このワイヤーなのです。
ということは、このサイドブレーキを床から切り離さなくても、Cのボルトを外せば
ブレーキ本体をくっつけたままで床は
車体から取り外せるのでは……………。

「ま、いいか! うわっはっはっはっ」

伊吹会長も笑ってごまかします!
こんなミス、これまでもこれからもいっぱいあるじゃないか、気にするな近野!





191104-5



気を取り直して、次の邪魔モノはブレーキペダルとクラッチペダル。
両方とも小さな穴から丸棒が突き出ています。
このブレーキの棒はなんと呼ぶのだろう?
ブレーキバーかな?
とにかくその棒と、縞鋼板のペダルは例によって溶接固定。
ペダルから湾曲しつつほぼ垂直に下がった丸棒は、水平に角度を変えた角鋼材で
Dまで続いています。
Dのナットを外せばいいのかもしれませんが、ペダルには戻り用のコイルバネが
床下で車台に取り付けてあり、外すとあとが面倒そう。
それに、どうせならこの縞鋼板ペダルは取り外し式にしておいたほうが、
あとあと作業もスムーズに運ぶような気がします。
思い切ってこれも切断します。




191104-6



これも、ちびた切断砥石が届きにくくて面倒。
新品の砥石に交換したらやっと切り離せました。
ちびた方は、まだ使えるところで使います。






191104-7




最後の邪魔モノは、サイドミラーのステー。ステーは計3本の丸棒で構成されて
いますが、そのうちの1本、Eが右側のフェンダー端に溶接されています。
このサイドミラーというのは農民車における大きな特徴のひとつであり、
残したいのはやまやまなのです。
が、例えばフェンダー部でボルト固定できるように改造しても、
床板を外す時に邪魔になるはず。
Gの丸棒は他の2本よりも太く、1本だけでも十分な強度があります。
走行中は狭いところに行かなければ、接触してひん曲がることもないでしょう。
そうはうまくいかないと思いますが、ここはひとつ
Eを除去することにしました。

なんか思い切りがよくなってきましたね。





191104-8




Eのフェンダー側を削り取り、Gの側を削り取ろうとしたらびっくり。
なぜかFが折損していました。
折れ口をみれば、そうとう前から折れていた様子。
もういっそFも外してしまうか、とも思いましたが、まあ邪魔になることもないし、
折れ口を合わせれば、見た目はちゃんとしています。
とりあえずそのままにしておきましょう。

それにしても、なんでこんなのが折れるのだ?






191104-9




やっとのことで、無事に、ではなかったけど、床は外れました。

写真ではまだ両フェンダーが床についたままですけど、右側のそれはHの部分でのみ
溶接固定されていました。
これでは、取り外し、取りつけをする過程で折れ曲がってしまう
可能性大。

前回 ―その9― で、写真191013-6の解説時、

「縞鋼板とフェンダーが溶接されているのです。じゃあこの折れたボルトはなんなんだ、
というと、車台にくっついた鋼材と床板を固定するためのものでした。」

などと書いたのですが、L字アングルは床の縞鋼板にはついてなくて、フェンダーにのみ
溶接されています。
車台についた鋼材には、床板とこのL字アングルが
二重にボルト留めされていたのです。
ならば、右側のフェンダーは床板から外せるはずですが、
なぜかHからL字アングルのところだけが溶接されているのです。
なんたる不思議……。

写真がないのですが、あとでこの溶接は切断して、完全にフェンダーと床を
外しました。ちらっと見えますが、L字アングルと床の間は別の鉄板があったのかと
錯覚するような分厚い錆が挟まっていました。
水の溜まり場所だったのです。

縞鋼板には、ブレーキ・クラッチ・サイドブレーキ用の穴が三か所開いています。
良く見ると、その周辺は溶接で切り張りしたあとがあるのです。
ブレーキを付けたあとで床を敷いたと思われます。
サイドブレーキの横には、間違えてあけた穴を塞いだあともあります。

それにしても縞鋼板の錆取りはめんどくさい。
前回外した駆動ベルトカバーとハンドル支持の丸棒も錆取りしました。
錆取りしたあとはすぐに錆止めを塗っておきたいのですが、
残念ながら時間切れです。
フェンダーの裏側も相当な惨状だったので、次回は外した部品の錆取り補修と
錆止め塗布を予定しております。







ー その11 ―





歳も押し迫ってきましたが、運よく半日だけ時間がとれました。
いや実際はもっと少なく、わずか2時間ほどですが……。
それでも前に進まなければ、作業は進みません。寝ているうちに錆取りを手伝ってくれる
妖精はいないのです。






191214-1




時間がないし、目標物が手で持てるものなので、今回は農民車を置いてある場所から
家の横にまで一輪車で運んできました。ここならば、工具を取りに行く手間が省けて
かなり気が楽です。作業内容は前回に取り切れなかった錆を取り、
錆止め塗料を塗ることです。






191214-2





さてこの凄惨な写真を見てください。これは前回の写真191104-9で、
右側(車の位置でいうと助手席側)のフェンダーの裏側です。
ここは足をのせる場所でもあるので、表側に縞鋼板、裏側には補強のL字鋼材を
溶接してありました。それより問題はこのおぞましい溶岩口のような錆…!

なにゆえ錆がここまで進行したのか?この原因は明白で、表側にある
縞鋼板をフェンダーに貼った時、全周を三センチくらいの破線状に
溶接したので、フェンダーと縞鋼板の間に水が入るとなかなか抜けないのです。

鉄同士が接触し、水がある状態は最も錆ができる状況です。おそらく使用中はほとんどの
期間、水があったはずです。
おまけにフェンダー裏はただでさえ泥水が跳ねやすい場所。こうなって
当然です。






191214-3





こちらは写真191104-9の、フェンダーの間にあるアングル部分。
ここもアングルの両端部分しか溶接してないので、隙間に水分が溜まって錆が発生。
その錆が膨れる力なのか、縞鋼板を押し下げてしまっています。
げに恐ろしきは錆の威力、マイナスドライバーとワイヤーカップブラシで
取れるだけ取りました。






191214-4





「ワーッ これ以上 妻を傷つける気かっ!!」

「切開しなけりゃ傷の深さがわからないじゃないか バカ」
「――オペを見たこともないやつはかなわん」


てなわけで、思い切ってフェンダーの鉄板を切り取ります。中からは内臓ではなく
大量の錆と泥バチ※の巣が三つも出てきました。


※…すみません、正確にはトックリバチです。






191214-5



こっちは運転席側のフェンダー裏。
助手席側よりも重傷で、切開すると縞鋼板が取れてしまうかもしれませんが、
切らない事には錆が取れません。

「グギーッ!!」
「いちいちうるさいぞ!」






191214-6






勢いあまって補強の鋼材まで切りそうになりました。
取れる錆をすべて取ると、もはや隙間とはいえないほどのおおきな空間が……。
縞鋼板はなんとか首の皮一枚でくっついています。

切り口が磨かれて光っている間に錆止め塗料を塗りたかったのですが、
タイミング悪く、町内会の配布物を役場の人が大量に持ってきました。
このとき、近野は町内会副会長。各隣保長に戸数に応じた数の配布物を届けなければ。
今にも潰れそうな農民車の錆止めをしてる場合じゃありません。
潔く作業中断します。

ああ、また新しくできる錆をとらなきゃなあ……。





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