徒労に賭ける

2020年


― その1 ―





200113-1




新しい年がまた明けて、いつものように日々はたちまち過ぎ去っていきます。
昨年末に大急ぎで錆止めをした運転席床部分等の部品を荷台で乾かしました。
接触面を減らすために不安定に見えますが、ちゃんとバランスはとれています。
五日ほど前の時ならぬ暴風にも微動だにしていません。
しかし、ブルーシートの屋根は若干のたるみが目立ってきました。
なんにしても急がなければなりません。
今日の作業は、左手にある運転席の車台部分。







200113-2





床板が屋根になってくれていたせいか、錆そのものは薄いようです。
しかしこまかい土埃の堆積が目立ちます。他の個所もそうなんですが、
やはり製作されてから一度も掃除はされていないのでしょう。
まったく、入り組んだ構造に嫌気がさしてきます。







200113-3




ブレーキペダルを起こすためのコイルバネですが、触るのが怖いくらい錆びています。
C字鋼の土台に溶接したボルトに引っ掛けて、外れないようナットを締めています。
バネの途中が土台の角に当たってますが、左側の角にナットを溶接すればいいような気が…。
バネが長いのならば土台の位置を前方にするとか…。
ま、あんまり試行錯誤してると作業が進まなかったのでしょう。

去年のこともあって、ナットを回すとボルトが折れないか心配で、十分に浸透性潤滑剤を
吹いて数分待ち、緩めたり締めたりしながら慎重にナットを外します。






200113-4




案外、素直にナットは外れました。バネのほうも、見た目よりは錆てないようで、
安心しました。
ボルトはだいぶ雑に溶接してあります。






200113-5




こちらは、ブレーキシリンダーのリンク部分。
ゴムの蛇腹ブーツは、日光が当たらなかったせいかちゃんと柔軟性がありました。
タイヤワックスをたっぷり吹いておき、長持ちしてくれることを祈ります。
さて、ブレーキが邪魔でシャーシーの錆取りができないので、このリンクを
外さなければなりません。
一番手前の大きいナットは、錆もなく簡単に外れてくれましたが、
下の割りピンで留めた軸を抜かないとブレーキは外れないようです。
こっちも十分に油が効いていて、割りピンも問題なく外れましたが……。







200113-6






これは写真200113-5の向こう側。
軸を抜こうとすると、ブレーキ可動軸(前述の大きなナットで締めていた)を受けていた金具を固定する
垂直の鉄板に当たってしまい、どうにも抜けません。
こいつを抜かないとブレーキがバラせないんだが…。
またしても行き当たりばったりの作りのために難儀が始まりました。
さてどうしよう。
と思っても、物理的に外れない知恵の輪を外そうとしても、決して外れません。





200113-7





考えてもしょうがないので、
気分転換にほかの場所をバラそうと、ブレーキシリンダーにとりかかりました。
ざっと錆をとると、左側のボルトに17のレンチをかけて回しますが……回らない。
またボルトがねじ切れる悪夢を思い浮かべ、右側のボルトに逃げます。
こっちはちゃんと回り始めました。
片方だけ外すのではなく、両方を同じように外したいのですが、左はぜんぜん回りません。
真上から観察すると、左のボルトが固定される鋳物金具の穴がある個所、
どうも右にずれていませんか?
このずれのせいでボルトがうまく回らないのでは……?
右のボルトはきっちり合っています。
ブレーキシリンダーと固定金具、流用するときはセットで使用すると思いますが、
まさか別々の部品なのかなあ。






200113-8




しょうがないので右のボルトだけ外すと、なんとか割りピンの軸は外れてくれました。
二股のリンクにだいぶ遊びがあったのも良かったんですが、
またまた問題発生、ブレーキ可動軸からブレーキが抜けてくれません。
左端に見える穴のあいた鉄板は、運転席の床を固定するためのもの。
コイツが干渉しているのです。
考えなしの作りがここでも炸裂しました。
いいかげんにしてほしいです。






200113-9





どうにか外れてくれないかと、そこかしこをいじっていると、
なななな、なんとブレーキのリンクが抜けちゃいました!
蛇腹ブーツに隠れてた部分はサビサビですが、これをなにか(たぶん、ブレーキピストン)に
固定できるようなネジとかがありません。
ブレーキシリンダーって、こういうものなのか……?
ブレーキオイルはまったく出ていないので、大丈夫なのでしょうか。
(後日にわかったのですが、これは抜けてしまって正解だそうです)







200113-10






そのブレーキシリンダーの穴を見てみると、なんだか不穏な雰囲気が…。
この粉々なったものは、パッキンの慣れの果てか?
スナップリングのようなものは、なにを留めているんだろう?
恐ろしいので、これ以上触らないことにします。








200113-11





そのシリンダーにかぶさっていた蛇腹ブーツ。

FC-927-8

という品番が浮き出ています。この情報が
なにかの役に立てばいいのですが、いまは置いといて先に進みます。







200113-12




他に外せそうなものがなかったので、ブレーキシリンダーの残ったボルトを慎重に
回していったら、なんとか外れてくれました。
もう最後まで硬いボルトで、再び締めなおすのが嫌になるくらいです。
鋳物金具のボルト穴を見ると、やや左に偏芯してるのがわかりますでしょうか。






200113-13





そしてこれがはずしたボルト。ネジのない部分とある部分がいがんでますよね…?
これを回していく最中、シリンダー本体はボルトを起点にフラフラ揺れていたのです。
よく折れなかったものだと冷や汗です。







200113-14






シリンダーが外れたことでブレーキは半回転させることができて、運転席床の台をよけて
外すことができました。
ブレーキの回転軸と受けには両方ともスリーブがあって、受けにはグリスニップルまでついています。
が、このブレーキパーツは例によって行き当たりばったりの切って貼った作品で、
ニップルにグリスガンの口金がはまりそうにありません。

「やれやれだぜ………」

しかし、このブレーキは現物合わせで曲げたり削ったりを繰り返したんだと思いますが、
思えばこの農民車のすべてがそうした現物合わせの産物なのでしょう。
苦労しただろうなあ…。
どうも愚痴ばかりが多くなりますが、大事に直したいものだと改めて心に誓いましょう。

そして、またしても町内会の配布物がやってきたので、今回は大慌てで錆止めを塗りたくりました。
複雑な構造だったので、塗る面積そのものは少なかったです。
あ、ボルトナットのネジ部にグリスを塗っとくの忘れたなあ。
たったいま大事に直すと誓ったはずなのに、バカな私…。








― その2 ―








200224-1




久しぶりに時間ができたので、農民車をいじることにしました。
といっても、九時から十一時半までの二時間半、子供たちも休みなので
昼食のラーメンを作らなくてはいけません。しかも子供は一人で二袋分のインスタント麺を
たいらげてしまうので、3×2+1=7袋もの麺を茹でなければなりません。

まあそんなことはどうでもよくて、ご覧のように雨対策を全面改修しました。
実は、テント代わりのブルーシートが劣化して、雨が降ると荷台がびしょ濡れになっていたのです。
はじめは下の溜池から湿気がきたのかと思っていましたが、雨がたまった部分から
滴が落ちているのを発見。

「これはいかん!! もういかん!!」 
「今ごろヒマラヤの上あたりにいるかもしれん。 無電封鎖解除だ、呼んでみろ。」

というわけで、写真上方にある薪棚の波板屋根を葺き替えて、そのうちの再使用に耐える
波板を選んでこしらえました。といっても、紫外線による劣化で
なにかに当たったらすぐ砕ける状態なので、いつまで持ってくれるか。
骨組みの木もありあわせ、なんならコーススレッド(ネジくぎ)にも
再使用品が混じっています。
大慌てで作ったのでいちばん前の柱二本が貧弱ですが、これは後程しっかりしたのに
やりなおすつもりです。
こんなことしてるから農民車そのものになかなかとりかかれないのです。

しかしそれにしても、赤いディーゼルエンジンの美しさよ。この屋根をとりはらって
動かせる日が待ち遠しいです。






200224-2




で、本日の作業終了の写真。
え?もう終わり?途中は?とのご意見はもっともですが、
実は作業途中の写真を四枚、なんてこったぜんぶ間違って消してしまったのです!

フォトショップでカメラ画像を開いたとき、ついでにカメラ側の画像をパソコンで消すと
ウィルスバスターが不正アクセスと認識してブロックし、
フォトショップそのものを消去しようとするので、ウィルスバスターを閉じるとフォトショップが自動的に終わり、
作業途中のファイルが消えてしまうようです。
あああ、なんといううかつ…。

でも不幸中の幸いというべきか、今回はバラした部品もなく、錆を取って塗装したのは
右側の桁とクラッチ以外(こちらは前回作業分)で、つまりフライホイールとその回転軸、
ならびにその軸受けと固定用鋼板、ミッションの固定用アングル、
そして左側の車台桁です。
二時間半で錆取りして錆止め塗装だと、これくらいしかできません。

フライホイールと回転軸はエンジンにVベルトで繋がったままなので、シリンダーの圧縮のせいで
半分も回ってくれません。したがって、面倒ですが片手でデコンプレバーを上げて圧縮を抜き、
反対の手でホイールを回さないと錆取りも錆止めもできませんでした。
ミッションより後ろのプロペラシャフトはいくらでも回ったのに…。
フライホイールと軸受けの間には、回転軸に鞘のように太めのパイプが通してあり、
前の方に動かないよう、位置決めされています。
よーく見ると、フライホイールのすぐと、軸受けをはさんでその前では軸の太さが
違うことがおわかりでしょうか。
これも詳細がわかるように、錆取り前のが撮ってあったのですが、
もう永久に失われてしまいました。

今回は思わぬアクシデントで、あまり解説できなかったことをお詫びします。
次はミッションをやっつけます。妙なことをやらかさないように気を付けます。








― その3 ―





前回は「次はミッションをやっつける」と意気込んで終わりましたが、
そのために邪魔になる前輪をまずは外すことにしました。
この前輪はおそろしくグラグラで、本来がこのような状態なのか、
それともなにかのブッシュがなくなっているのかわかりませんが、
ここまでグラついていて、走行になにか問題はないのだろうか……?
と今の段階では考えなくていいことを考えながら、
でかい金槌で叩かないと回らないナットに挑みます。
クレ556はじゅうぶんにかけたんだけど。





200311-1




劣化してズタズタのタイヤ側面。指で触れただけで崩れていきます。
どうせ交換するので、遠慮なく崩します。
余談ですが、金槌は例によってゴミ捨て場でひろったもの。
柄が割れていたので、番線で締めてみたらちゃんと使えました。






200311-2




タイヤは外れましたが、この中心のハブキャップ(?)が、どういう仕組みで
取りつけてあるのかがわかりません。
まあ今日の目的はミッションなんで、これ以上深入りしないことに。
ハブの裏側からは、蜘蛛やらゴキブリやらなにかの蛹やらが続々と出てきます。






200311-3




こっちは右側のハブ。ざっと錆と埃をとった状態ですが、ハブの内側には
Kい塗料が残っていて、そう悪い状態ではないようです。
ハブキャップ先端はなにかに当たったのか、ひどいへこみ様。
これはたぶん復旧できないでしょう。

タイヤがついていたときの足場に使っていた角材は、白アリにやられて
見るも無残に朽ちていました。あらためて支持しなくても、
倒れたりはしないでしょうが、念のために簡単な支持材を
据えておきます。余談ですが、この黒いプラスチックの塊も、拾ったものです。
拾ったブロック・日曜大工で出た端材に廃油を塗ったもの・拾ったプラ塊・日曜大工の木片
という組み合わせで支持完成。
こんなものでも、あればバランスはぐんと改善します。






200311-4



外した両輪を何気なく見てみると、なんとびっくりな発見がありました。
ホイールが左右で違うものだったのです(爆笑)。
こんなことします、普通?
塗装も、片方は水色を上塗りしているのに、もう片方は塗ってません。
ひょっとすると、使用途中に片方のホイールが使えなくなる
事故があったのかもしれません。そんな事故は相当な大事故ですが、
真相はどうなのでしょう。

まあ寸法は一緒でしょうから支障はありませんが、
さらによく見ると、タイヤそのものもロゴの大きさが違ったりしました。





200311-5



これも、ざっと錆と埃をとったタイヤの内側。
錆の多い方は、接合に鋲を使っていますが、錆のない方は溶接で、こっちが新しいようです。
こういうのを見ると戦車の装甲の変遷を思い出したりして、忘れかけていた軍事マニアの血が…。

しかし時間が過ぎるのは恐ろしく早くて、もう昼前でした。
今日に至っては、錆も十分に取れてないし、当然防錆塗装もできないし、
ミッションに辿り着けもしませんでした。

NHK「すっぴん」の水曜日最終回を聞きながら、
わりとスムーズにことが運んだと思ったのですが、なにがいけなかったんだろう?
…単に自分の手が遅いのか。






― その4 ―





一週間もたたないうちに錆取り作業ができました。
コロナ禍のおかげで勤め先が暇になり、社員で手分けして仕事をしている有様です。
月曜日だけど休みで給料は減るでしょうが、嫁のいぬ間に少しでも先に進みます。





200316-1



その矢先に、カメラのバッテリー電池切れの表示。
我が家ではなるべくエネループを使っているのですが、その予備に交換しても電池切れ表示。
家にあるすべてのエネループが電池切れ表示。
……たぶんカメラ本体がおかしいのでしょうが、原因を突き止めるのが面倒なので
さっさと錆取りにとりかかります。
エネループは昼飯が終わるまで充電することにしました。
写真はそれまで立ったり寝たりの錆取り作業後のもの。
カメラは復活してくれました。

デジカメは、バッテリーに十分な電力がなければ動かないことがあるので、
エネループは中途半端に放電してしまっていたのかもしれません。
こんなとき、アナログカメラならば露出用電池がなくても勘でシャッター速度と
絞りをきめて撮影できるのですが……。

そんなわけで、作業前の埃と油と錆にまみれた三重苦のミッションは
写真がありません。
参考には2019年のその8あたりをご覧ください。

それにしても、ミッションをおろさない決断をしたのはいいですが、予想していた通り
きれいにするには隙間が狭すぎます。

「狭くて手が入らん」
「このパッキンだね」
「名前は」
「パズー」

と、気の利いた少年助手がいれば手早く済むのかもしれませんが、
自分の子供は、こんな錆取り作業を
させたら口をきいてくれなくなるでしょう。泥・錆・埃が容赦なく顔に降ってくるし
襟の隙間から入り込んで下着にまで到達するし、そこかしこで頭を強打するし…。

写真のバネがある場所付近は、クラッチを操作するリンクがあるのですが、
クラッチペダルとこのバネのせいで満足にケースも触れません。
それ以上に、写真で言うと左側の付近(ミッションとプロペラシャフトが繋がる部分)上部は、
荷台との隙間が3センチほどしかなく、かつ手前のギヤチェンジ機構が邪魔をして
見ることさえできません。






200316-2



これはギヤボックスの後ろ側。ボルトが四つありますが、変な板が片方だけ挟まってます。
途中でぶった切った跡があるのですが、ボルトをゆるめてこれを取り除くのも面倒だったのでしょうか。
いまは何の役にも立っていません。
その右上にある滑り止めのついたコーキングの先みたいなのも
先端は切断されています。
なんの部品だろ。






200316-3



この蓋みないなのは、ミッションの点検口でしょうか。
蓋の取りつけボルトを利用して共締めしてあるのは、おたけさんによると
高島鉄工が苦心して編み出した
「コラムシフトをフロアシフトに変更する」
ためのひみつ道具。ななめ上に立っているのがシフトレバー。
蓋のとなりにあるのがミッションオイルのドレンだと思われます。
黄色い塗料はオリジナルなのかな。





200316-4




その上の方で、ケースの右横にあるトヨタマークと10の数字。






200316-5



そのまた上のほう。
トヨタマークはたくさんあります。大きい方のマーク両側にもなにか
刻印が打ってあるのですが、まだ埃が埋まっていて判読困難です。

カメラに向かって立っているのが写真200316-3から続くシフトレバーですが、
小さいマークのある銀色のカバーを貫く棒に繋がっていて、これが内部のギヤを動かして
いるようです。左横にあるバッテリーターミナルみたいなのは、シフトレバーを動かすと
水平に可動するので、本来、これもコラムシフトに繋がっていたようです。
このバッテリーターミナル状のも切断跡があります。

最低でもこのシフトバーを分離できれば、荷台下の手が入らない部分にも
ワイヤーブラシが届きやすくなります。さらに、
小さなマークの銀色カバーを開けてどければ、もっと手が届きやすいのです。
もっともいいのは、大きなマークのついた蓋……エンジンで言えば
ヘッドにあたる部分をとれば、もう完全に手がはいります。

しかしこれらを外すと、ミッションの内部にどうシフトレバーの末端が組み合わさっていたかが
不明になる危険が生じます。
ミッションの中なんて見たことがないので、どんな部品があるのかもサッパリ
わからないのです。
ま、これらのことはまだ先の話です。






200316-6




クラッチの「お釜」と呼ばれる、ミッションケース前部ですが、本来はここには
まさに「お釜の蓋」のようなカバーがあるはずなのです。
しかしこの農民車の場合はその蓋がついていません。それゆえ
「お釜」の内部には、隙間からいくらでも埃や土、泥水が入り込みます。
隙間からマイナスドライバーを突っ込んでみると、出るわ出るわ腐葉土が。
なんか根っこみたいなのが見えますが、ほかには葉っぱや土の繭に入った虫の
殻なんかがでてきました。
ひどいもんです。





200316-7




四時間ほどかけてここまできました。
なにがどうきれいになったのかわからないかもしれませんが、だいぶきれいになったのです。

しかし、付着物をこそぎ取っても取っても地金まで到達してないのか、
皮鋤やワイヤーブラシの手ごたえがねっとり柔らかいのです。
やはり最終的には化学薬品に頼るしかないのか…。
もっと空間があれば、ディスクサンダーのワイヤーブラシで簡単に地金まで
ピカピカに光らせることができるのですが、この狭さと入り組んだ構造なので、
今回は最初から最後まで手作業でした。
このミッションケースとは、あと2・3回戦は
格闘しないといけないかもしれません……。






― その5 ―







200320-1






今日が祭日だとは前日の午前10時になるまで知らなかった近野。
思いがけず休みになり、今月なんと3回目の作業開始です。
前回の未達作業として、荷台下の触れないギヤボックス後端を錆取りできるよう、
まずはシフトレバーを外しにかかりましょう。





200320-2



写真200316-5を参照いただいたうえで、これはリンク接続部。ボルトとナットで
寸法が違うものが使われていますが、こういう例は既視感があります。
まあ気にしないことにしましょう…・
ロの字部分もなにかの鉄材を組んで作ったもののようです。





200320-3




ボルトは本当にただのボルト。こういう場合は擦れる部分のネジを切らないものですが、
適当なものがなかったのでしょう。その部分のネジ山が摩滅して低くなっています。
ロの字は内側が少し広かったようで、ボルトを抜くとシムらしきものが出てきました。
なんの流用品だろう。
これでシフトレバーは抜けるかと思いきや、車台に当たって抜けないのです。
往生しまっせ…。





200320-4




そこで、銀色のアルミの蓋部分を外してみました。四つのボルトは案外緩くて、簡単に抜けました。
この蓋の裏側をもうちょっと大きく映しておくべきでしたが、
まあいずれその機会もあるでしょう。

蓋の接合部には紙のガスケットがカスとなって途切れ途切れに残ってます。
紙で作るべきか、液体ガスケットで簡単に処理するか、まだ決めていません。
ボルトは四つありますが、二種類ありました。
このあとシフトレバーを外して、錆を取って錆止め。
ここでいよいよ化学薬品で汚れを取ります。パーツクリーナーは持ち合わせていなかったので、
キャブクリーナーを使いました。ま、どっちも同じようなもんでしょう。
強力に油を分解してくれて、揮発性も高くて大変重宝します。しかし、
一回では取り切れてくれないほど汚れは頑強です。
ガム状にこびりついた長年の埃と油の堆積物。
クリーナーで柔らかくなったところを皮鋤・ワイヤーブラシ・千枚通し等、使えるものを
すべて駆使して掃除していきます。






200320-5





こっちはギヤ本体側。ガスケット面に
大きい筒と小さい筒が直立しているのがわかりますでしょうか…?
この二つはコイルバネです。

だいぶ目標のギヤボックス後端に触りやすくなりましたが、やはりやりにくい。
こうなったらこの鋳鉄ヘッド部分も取りましょう。
見たところ、ボルトは6つ。しかしその前に、写真左にあるスリットのような部品が邪魔しています。
スリットはマイナス溝の切られた変わった六角ボルト2本で固定しています。
これはクラッチの熱を逃がしているんだろうか…?






200320-6




スリットを外したところ。「お釜」の内部は予想通り堆積物が積もっています。
高速回転する場所にこれだけ積もっているのはひどいです。クラッチが滑ったりしてないのかなあ。
この狭さでは、当然まともな掃除などできません。届く範囲でワイヤーブラシを使い、
お茶を濁しました。
ギヤボックス内部のボルトには緩み留めでしょうか、銅線が縛ってあります。ボルトを固定した先は
こちら側のシャフトに巻き付いていますが、これがトヨタ純正方式なのか、
農民車製造時の補強なのかは不明です。

とにかく、このスリットが外れたので、ヘッドを緩めにかかりました。
一つ前の写真200320-5を見て頂きたいのですが、
いちばん右に見えているボルトにボックスレンチがかからなくて苦労しました。
すぐ上のアングルにレンチの頭が当たって、うまくいかないのです。
しかしその隣のボルトには、なぜかちゃんとかかって回せます。
アングルからは同じ距離にあるはずのボルト。なぜだろう?
もしやこのギヤボックスは曲がって固定されてるのか…?それとも水平になってないのか?
答えはなんと、アングルの取りつけがいがんでいたのでした。このアングル、
車台に溶接してあるのですが、それに対してちゃんと直角になってないのです。
ふたつのボルトとの距離は、ほんの2ミリほどの差ですが、それでレンチ頭が入らないのです。
なんてシビアな世界。
そしてなんて緩い農民車の世界。






200320-7




ボックスレンチをあきらめて、短いスパナや眼鏡レンチでなんとかボルトを抜きました。上の写真で見ると、
一番手前の部分だけが分厚いので、ボルトも長いものでした。
まあ抜くのは簡単でしたが、なぜかヘッドは外れない…。
こりゃどうしたことだ、と角材で何回かどついてみたら、バクっと音がして外れました。
しかし手で持ち上げても、前述のアングルが邪魔をして外れてくれません。
内部でギヤが組み合わさっているのか、ヘッドは斜めにもなってくれず、
一センチも動かないで、これ以上はどうにもなりません。
しょうがないので外すのを諦めました。やれやれ骨折り損だな、と元に戻そうとしたところ……、

なんともとに戻らんぞ!
内部でなにかが引っかかっているのか、バネ状のものが外れたのか、この狭い隙間からは
何も伺えません。とにかく、これ以上ガスケット面の真上に動いてくれないのです。
さすがに嫌な色の汗が出てきました。こんな中途半端なところで手間取ってる場合じゃ
ないし、このまま農民車を放り出す、なんて最悪な事態は想像したくもありません。
とりあえず現実逃避に、いや頭を冷やすために他の簡単な作業をしてみましょう。
ちょっと間を置けばなにかいい考えが浮かぶかもしれません。

外したスリットとシフトレバーの錆取りと錆止めすることにします。
しゃこしゃこしゃこ。
ぬ〜りぬ〜り。

錆止めしたので本題に戻ります。
ヘッドの手応えとして、ギヤかクランクのようなものが回りにくくなっていて、
それにヘッドの部品がうまく組み合わさっていないような感触がします。
力を入れるとわずかでも動いているので、もっと力を加えたらなんとかなるかも。

こういう時に人力を強化する法、それは梃子です。
狭いことが幸いして、梃子の支点となるところはいっぱいあります。
適当な角材を車台とヘッドの隙間に入れて、水平にこじると、なんとかボックス本体の
真上にまできました。ここでヘッドを下げてガスケット面をくっつけたいのですが、
手ではやはり下がってくれません。この腕にもっと力があれば…!

こういう時に人力を強化する法、それは打撃です。
左手で梃子を支えながら、右手で金槌を持ってヘッドを叩きます。
ヘッドに傷が、なんてことを気遣う余裕はありませんでした。なんせこれが戻らなかったら
お手上げなのです。でもせめて、木の板なりと当てておくべきだったかな…。

ほんとに幸運なことに、ヘッドは元に戻ってくれて、傷もまったくついていません。
よかった、本当によかった。
もう二度とヘッドを開けようなどとは思いません。
あー怖かった。




200320-8




金槌でもってぶっ叩いたそのヘッドには、

RK30  33161

△(三連) 3

の刻印が入ってます。





200320-9




さてこのへんで時間も時間になってきたので、ギヤボックス内部に埃が入らないように
きれいになったアルミの蓋を締めとくことにしました。
ところがです、ここでもアクシデント。
写真200320-5で紹介した直立した大きい方のバネが、なんとギヤボックス内部に
落っこちてしまったようなのです。
蓋を締める前に、ウエスで接合部にグリスを塗った際、ウエスに引っかかった
のですね……ああなんてドジでのろまな亀(泣)。
もう終わりだという段になって…(悔)。

嘆いていてもしょうがないので、オイルの受け皿を倉庫に取りに行って、
ドレンプラグを外すことにしましたが……硬くて外れない(疲)。
しょうがないので、横の点検口の蓋を外すことに。
そうだ、いつの間に外したのか忘れましたが、
前回写真200316-3で紹介した「ひみつ道具」は、もう外して錆取り&防錆してます。
蓋は4つのボルトのうち、下2つだけで閉まっていましたが、
オイルの粘度がたかいのか、少しもにじんでいませんでした。
しかし蓋を取ると、汚れに汚れたミッションオイルがドロドロと。
あまりの汚さと時間のなさに、
ええいもうやっちまえ、とばかりに点検口付近もキャブクリーナーをかけて
一挙に清掃しちゃいました。
そのおかげでドレンの固着もとれたのか、プラグは外れてくれて、汚濁オイルは
残らず排出できまして、ミッションケースの底にあったバネも無事に出てきてくれました。
一件落着。

ちなみにこの点検口には、プラスチックらしきガスケットが貼りついていました。
まだしっかししていたので、剥がさずに再利用しています。
ドレンにも、ちゃんと銅ワッシャーがついていました。

例の手の届かないギヤボックス後端は、届く範囲でなんとかするしかありません。
それにしても、このギヤボックスは色を塗るべきなんだろうか?
この油まみれ状態をどうしてくれよう。
ああ、それにまだ反対側のクラッチペダルもあるんだよな……。








― その6 ―









200502-1




農民車がきて二度目の春が巡ってきました。

茶色や黄土色だった家の裏は黄緑色がどんどん増えてきて、
邪魔になるからと倒した桜の切り株からも、また新しい枝が生まれたりしています。
再利用塩ビ波板の屋根の具合は上々で、しっかりした柱もこしらえました。
けど斜めの筋交いをいれるべきだったかな……。
それはそれとして、新型コロナ禍で外出ができないのをいいことに、
どんどん作業を進めていきたいものです。
もっとも、世間がどうなっていようと出不精の私の日常は
あまりかわりがないのですが。






200502-2





今回の作業予定はこのギヤボックス右側の錆取りと防錆塗装。
手前に見えているレバーはクラッチを作動させるためのものですが、
死ぬほど邪魔。
しかし、これを外すとどんなことが起きるのか予想ができません。
なんとなれば、前回、ギヤボックスの蓋を外したとき、一時もとに戻らなくなって
心臓がひっくりかえるかと思ったくらい冷や汗をかいたのです。
教訓その1。

「ギヤボックスには手を出すべからず」

困難ではありますが、手の届く範囲で錆を取ることにします。
完璧は望めませんが、自分の実力を冷静に判断し、
無理はしないことにします。
ちなみに、円盤部分はでかいワッシャーですが、むこうから通したボルトと
溶接で固定してあるので、分解することができません。
農民車を分解整備するような酔狂な人間がいるとは、
造った人は想像もしなかったでしょうね。






200502-3




気を取り直して、まずは面倒な下面からの錆取り。
久しぶりに、あおむけに寝そべって顔面に降り注ぐ錆と埃に辟易しながらも、
重い旧式ディスクサンダーでガシガシ擦ります。
しかし、前回にミッションオイルをすべて抜いたはずなのに、
オイル染みが見受けられるのはなぜだろう…?






200502-4




これは、−その4−の写真200316-2でも触れた、

「コーキングの先みたいな部品」

(おたけさんによると、これは速度計のケーブルが出てくるところだそうです。
この農民車には速度計がないので、切断されたようです)

ですが、どうもここがオイル染みのもとのようです。滑り止めの刻まれた
リングを回せば、円錐部はとれるみたい。






200502-5




リングは取れたけど……円錐部は取れないな。なんだこのオイルは。
汚いから拭ってみるか、とウエスをあてると、
ありゃりゃ、簡単に円錐部は取れました。





200502-6




中からオイルがほとばしるかと思いましたが、もう出てきません。
どうやら、円錐部の中だけに残っていたミッションオイルのようです。
円錐内にあったのはピン状の軸で、グラグラしていますが外れません。
横にあるボルトを外せば、バラせるのかも……。






200502-7




しかし予想は外れ、外れたのはどうやら回り止めのプレートでした。
回り止めということは、リングがはまっていた太い基部のネジは、どちらかに回せば
外れるのかもしれません。しかし、ちょっと時間が押してきたのでその件はまた
次の機会に。……忘れていなければ。

円錐の先端はひどい処理がされていて、なんでこんなことに
なっているのか不思議です。やはりこの穴がちゃんと塞がっていないので、
オイルが漏れていたのでしょう。
ギヤオイルはこの穴よりも下に溜まっていたので、そんなに
じゃんじゃん漏れなかったようですが、それが規定量だったのかは不明。
それにしても、いったいなんの役割があったんだろう。
醜い傷跡ですが、農民車製作の実情として残しておいて、
穴だけはコーキングかなんかで塞ぐことにします。
内部のピンを曲げたり折損したらコトなので、これらを組み立てなおしてから
防錆塗装しました。





200502-8



ギヤボックス右側は錆の取り切れない情けない部分が多いので、
取れる部分をもうちょっと丁寧に取ることにします。
これはクラッチカバーのお釜を固定する三本のボルトを一本外したところ。
外さずに錆止めするつもりでしたが、考え直して外し、きちんと隅々まで
錆を取りました。三本全部を外すとお釜もギヤボックスも脱落してしまうんで、
一本ずつ外しては磨いて締め直しでちょっと手間。
でもきれいになるのはやはり気分がいいです。





200502-9





これも、−その4−の写真200316-2で触れた

「変な鉄板」

です。ためしに外してみましたが、やはり謎は解けません。

(おたけさんによると、これはもともとのトヨエース車台にギヤボックスを
取り付ける際の支持架の一部だそうです)

長い方のボルトは、スプリングワッシャーと平ワッシャーで謎の鉄板を固定していました。
右の短いほうは、それの線対照にあったもので、こっちはスプリングワッシャーと
ゴムパッキンのようなワッシャーの組み合わせ。
本来、四本ともゴムパッキンがないとギヤオイルが漏れるのかもしれませんが、
長い方は紛失してしまったのでしょうか?
この鉄板とボルトからも油染みがあるようなので、再組立て時には
ななんらかの耐油パッキンを当てたいものです。
鉄板は、取り去ってしまうと長いボルトが突き当たって閉まり切らないのかも
しれません。

謎の鉄板は防錆塗装のうえで組み立て。
油染みがひどくて、たぶん塗料はがれてしまうだろうなあ…。







200502-10




こちらは、かつて防錆作業を終えたはずのデフ部分。
うーむ、錆取りが甘かったのか、また錆が復活しています。
ギヤボックスの防錆塗料が余ったので、急遽ここも錆を取って
塗装しました。実は、もっと広範囲に錆が出てきたところもあるのですが、
まあそれもまた次の機会に。






200502-11




いつも思うんですが、写真だと実物以上にきれいに見えてしまいます。
取り切れなかった錆が増殖しないうちに、防錆塗料を何回か
重ね塗りしたいものです。

左右非対称のギヤボックスはなかなかカッコいいですね。
左右非対称といえばザクですが、この赤い防錆塗料は通常の三倍のスピードを
想起させてくれます。
学校が始まらない子供がユニクロでコラボ商品の赤いザクを貰ってきて、
慣れない手つきで組み立てています。
カッコいいなあ、ザクは。









―その7―







200511-1




何度も書きたくありませんが、昨今の大騒ぎの余波で、とうとう社員が交代で一人当たり
一週間の有給休暇を割り当てられることになり、今日からは私の番に。
先に休んだ同僚は暇すぎて死にそうだったとのたまっておりますが、
私はいつもの休みと変わりがなく、溜まっていた用事がどんどん片付いて気分爽快。
しかしその用事の中でもいちばん厄介で手間取るのがこの農民車。
今回は右前輪の錆取りに取り掛かります。
さあいくぞ、今がチャンスだ!






200511-2



200311-3で、どう外したらいいのかわからなかったハブキャップは、おたけさんによると
簡単に外れるとのこと。ネットで確かめてみると、専用のプーラーもあるようですが、
マイナスドライバーなどでこじる手もあるとか。
しかし、この農民車のは凹みが激しくて変形しているのか、こじってもたたいても
びくともしません。水道工事に使うでかいプライヤーも試しましたが、まだ動かない。
最終兵器、同じ水道工事で使うモンキーレンチのオバケみたいのを使うと、
ようやく回りだしました。
いったん動くとすぐに外れてくれます。
写真は説明用、金槌で支えています。
ちなみにこの工具も拾ったもの。







200511-3




ハブキャップには最終兵器の傷がちょっとついてしまいましたが、
もともとボロなので気にしないことにします。
ひどいいがみかただし。

ハブキャップ内部には、なぜかグリスにまみれた植物の繊維らしきものが。
野っ原でこれを外すようなことが、かつてあったのでしょうか?
あまりに凹みすぎたのか、ナットと擦れて銀色に削れているところもあります。
予想通り金槌でたたいたくらいでは、この凹みは元に戻りませんでした。
しかし、この傷がつかなくなるくらいはたたいておきました。






200511-4




手前から、
ハブキャップ 割りピン ロックナット 回り止め付きワッシャー ハブベアリング ハブ。
ロックナットから割りピンを抜こうとしたら、割りピンは折れてしまいました。
このサイズの割りピンは、ウチにジャンク品がありません。
買いに行くのも面倒なんで、とりあえずステンレス針金の切れ端を
代用しましたが、あとで必ずちゃんとした割りピンに替えとかないと。
それにしても汚いグリス……。
こんなもののために、貴重なキャブクリーナーを使いたくないので、
クレ556とウエスで拭っておきます。
ケチだなあ。







200511-5





ハブを抜いたら、テーパーの回転軸とまたハブベアリングが出てきました。
このベアリングは抜けません。いや抜けるのかもしれませんが、抜き方がわかりません。
こわいので分解はここまでにしておきましょう。

それにしても、また植物の繊維がくっついてますが、これはどうもハブにはもともと
隙間があるのでしょうか。こんな摺動部に砂でも噛みこんだら大変なことですが、
普通の市販車はここにダストブーツがついていて、防塵対策としているようです。
もとのトヨエースにそれがあったのかはわかりませんが、この農民車では
グリスを隙間に詰め込むことによって埃を防いでいるのかも。
ダストブーツは、そのグリスが路面に落ちるのを防ぐ役割もあるのですが……。







200511-6





タイロッドエンド、というのかなこの丸いところは。
いま手元には、図書館でリサイクル本(不用品の払い下げ)としてもらってきた

「改訂版 自動車用語ハンドブック」

なるものがあるのですが、どうもこの様式のステアリングの図解がなくて、
掲載されている現代の普通車とはだいぶ様子が違っています。
自動車部品の専門用語は素人には難解なので、この本には期待したのですが、
あんまり役に立ってません。
現代車よりこっちのほうがよほど単純ですけど。

そのタイロッドエンドのむこうに見えるアヒルの首みたいなH鋼が、農民車の「車軸」と
私が呼んでいる部品です。でも車軸といっていいのかは責任が持てません。
その車軸の首の付け根に、半円のような浮き彫りが見えますでしょうか。
これは、いままでもよく出てきた旧トヨタマークです。
しかし左半分が削られていて、その左側もやや荒れていますね。
おそらく、ここでいったん切断して短くし、改めて溶接したものと思われます。
この部品、走行安定性にかかわる重要なものですが、車幅を縮めるために
こんな大胆なことをするのが農民車の面白いところです。
製作者もその重要さは認識していたのか、他の雑な溶接と違って、
ここはだいぶ念入りに溶け込みが入っています。







200511-7







J字型のひんまがった丸棒、これがスイングアームだろうか、
それともナックルアーム…?
こんなの現代車にはついていません。この独特の造形が特徴的で、私は大好きなんですが。
そんなJ部品にもトヨタマークの刻印が。
トヨタは自分が好きなんだなあ。
外せるところはいろいろありますが、みんな重そうで組み立てるのにかなり苦労しそうな感じ。
先を急ぐのでもう分解はやめときます。もうちょっと隅々まで
錆を取りたいんだけど。







200511-8





これはハブの内部。
グリスをほじくろうと千枚通しを挿してみたら、内部構造だと思っていた段差が
全部グリスの塊で、とんでもない量の古グリスが詰め込まれていました。
このグリスは二つあるハブベアリングの間に充填されています。
これは全部新品グリスに詰めなおすべきですが、もったいないので
半分は古いのを残しました。
ケチ。
ここまで空間が必要だとは思えないんですが、テーパーに二つのベアリングを使うので、
どうしても空間が開いてしまうのでしょう。
しかし、ここだけでグリスのチューブ一本分くらいは使うよなあ。







200511-9







そろそろ潮時だな、と隅っこの錆をワイヤーブラシで擦っていたとき、
重要なことに気づきました。
ハンドルを回せばハブが動くでないの。
さすれば錆の隙間が広がるでないの。
早速、頭上にあるハンドルを回していくと……おおおお、動く動く、
なめらかにハブが動いていくぞよ。
その他のいろんなアームも角度が変化していくぞよ。
ああ取れる、錆が取れる。
なぜこんな簡単なことに気がつかなかったんだ、バカな私。
おまけに最後の写真はちょっとピンボケだし。

ここからさらに取れる錆を取り、錆止めを塗ってからハブを組みなおして
本日の作業完了。
思ったよりも進みませんでした。
ほかに新たな用事もできてきてるんだけど、
休暇中にもう一回はやっときたいものです。







―その8―








200513-1






前回からわずか二日後ではありますが、また更新できました。
世の中は災難ではありますが、こういう都合いいこともあるのです。
今回は左側のハブまわりの錆取りで、ほぼ右側と同じ作業。
この状態のほうがハブやキャップは錆を取りやすいので、
取れるだけ取ってからキャップを外しにかかります。

ただこの左ハブキャップ、右側よりも硬いというかキャップのツバにあたる部分が
なかば潰れていて、ハブと一体化しているんじゃないかと
思うくらい隙間がありません。
そこで前例にならってモンキーレンチのオバケを持ち出し、
左手でモンキーの頭とハブを一緒にささえ、柄の先端を右手の金槌で叩くという
地道な作業をすると、錆とグリスの硬化したものが混ざったカスを
こぼしながら、ほんの少しだけキャップが回りました。
すかざず開いた隙間に皮鋤を差し込んで周囲をすこしずつこじり開けていきます。








200513-2






キャップを取った状態ですが、右側では気がつかなかった浮き彫りが
ハブにありました。漢字の「中」に似てますが、なんの印だろ。







200513-3





左から、ハブキャップ ホイールナット 割りピン ロックナット 回り止めワッシャー テーパーベアリング。
割りピンは幸い折れなかったので再使用します。
回り止めワッシャーは段付きができていますが、下のほうに偏心してますね。
ベアリングが減ってきたので、内側のレースが下がっているのかもしれません。






200513-4





ハブ内部は波動砲の砲口みたいですが、右側同様でみんなグリスの塊です。
気になったのはホイールナットを締めるボルトの頭で、
「人」のゴシック体のようにも見える浮き彫りがあります。
このボルトは外せるのかどうなのか。
どこを叩いても緩みそうになかったのでそのままです。






200513-5





ベアリングがもう一個あるというのは前回も書きましたが、
取れないと思っていたそれは取れました(苦笑)。
先端が小さい方で、奥が大きい方。テーパー直径が小さい側を向かい合わせにして
取り付けてあります。そして最奥部に回り止めがない特殊な形のワッシャーが。
内径部にはテーパーがあり、円周部には三本の溝があります。
写真で見えている面が奥側。
グリスはかなり頑強にこびりついていて、やはりハブ内部と外部は密閉されて
いないようです。







200513-6








前回は自己流で「車軸」と呼んでいたH鋼は、「クロスメンバー」というようです。
そのクロスメンバー先端部にある馬の頭みたいなホイールを旋回させる軸部の
さらに上部には、耳を広げた象さんみたいな部品がついてます。ちなみに
グリスニップルは鼻。これにはなにもついていませんが、
下側には同様の部品が逆さについていて、それにはバナナみたいに曲がった部品がついています。
このバナナの名前がわかりない。バナナの後方にはナックルアームがついているのですが、
それはタイロッドに繋がっています。
このバナナにまたトヨタマークが……。

ちなみに、右側はバナナと後方にナックルアーム、前方には曲がったアームが
ステアリングに向かいます。








200513-7




クロスメンバーの切断された箇所に、

15

と、あと判読不能の浮き彫りがあります。
徒労に賭ける 2019年の写真 190617-11 に似たようなのが
ありますが、たぶん違う感じ。
ちょうど浮き彫り部分で切断されたり
溶接されたりしているので、なんなのか不明…。

バナナやアーム類の固定はロックナットが使われていますが、それには割りピンが
一本も使われていませんでした。これでよく緩まなかったなあ。
上下の象の頭部品は、実はこっち側で繋がっていたようで、それにハブを
取り付ける軸がついています。たぶん分解できるのでしょうが、やめときます。
クロスメンバーの端部にある三つのボルトは、目的不明。

農民車の絵を描いていると、

「ここはいったい、どないなってんねん?」

と悩むことが多々あります。こうやって土埃やグリスのカサブタを剥ぎ取り、
ゴテゴテのシャーシーブラックを削ってあらわれた部品類は、
ずいぶんと長年の疑問を解消してくれています。
正確な形だけでも解ればうれしいものです。

急いで錆止めを塗って、さてハブを付けなおすか…と
外したベアリングやらワッシャーやらを組み付けてハブを差し込んでみると、
どうしたわけかロックナットが割りピンを入れる穴まで締まってくれません。
ありゃ、先端のワッシャーとベアリングの順番がちがったかな、と
もう一度組み替えてもダメ。
こうなると焦りだして、グリスの汚れがせっかくの錆止め塗装に付いたりして、
余計に焦りが出てきます。
結局、ベアリングの向きが反対だったと原因が判明。
こんなことくらい覚えとるわ、と甘く見ていたらバチが当たりました。

……クラッチやブレーキはちゃんと組みなおせるかなあ…。










―その9―






五月に入ってなんと四回目の作業になりました。
皮肉な話ですが、まったくコロナウィルスのおかげ様です。どんどん作業が
はかどりそうですが、しかし一回の作業が丸一日もできないため、
案外と進まないものです。
しかしやらなければ遅々とも進まないのは当然のことで、
寸暇を惜しんでやることにします。






200530-1






で、錆取り作業はこのクロスメンバーと板バネ。分解すればずっと楽なのですが、
一人ではどうにも組み立て直せない予感満点なのでバラしません。
千枚通し、マイナスドライバー、ワイヤーブラシ、ディスクグラインダーで
やっつけます。








200530-2







これはクロスメンバーのすぐ後ろにある丸棒。前述の
「自動車用語ハンドブック」を読み返して適合しそうな名称を探しましたが、
はたしてこれで合っているでしょうか?

「インターメディエイトロッド」

………聞いたこともない英語………。
見たところ、具体的な役割としては車体右側にあるハンドルの動きを、
左右の前輪に同時に伝えるための棒です。
しかし、この丸棒の両端にはネジがあって、前輪のトーイン角を調節できるようにも
なっており、それだと

「タイロッド」

ということになりそうです。ただハンドブックでは、タイロッドは左右二本に
分かれているのです。ということはもしかしてですよ、これ一本に繋いだのでしょうか?
その可能性も高い。だとすると、この大胆不敵な改造は
まったく恐れ入りますが、はたして実態はどうだったのでしょうか…。

前回までに、この棒の後ろ半分くらいを錆取りして錆止めを塗ってありますが、
残りの前半分を錆取りしてて、この切断溶接に気がつきました。
しかし、残念にもそこでほんの少し角度がついてしまっています。
中心軸もまたほんの少しずれています。
まあ、いいけどね。








200530-3





「ここはだいぶ念入りに溶け込みが入っています」

と、―その7―で書いた部分ですが、錆を取っているとスラグもたんと残っていました。
これは基本の基として取っておいてほしかったのですけど、
いま取れたからもういいです。
クロスメンバーH部の端部はテーパーに先細っていますが、これは削られたのでしょうか?
初代トヨエースの整備書でもあればいいのですが、
さしものネットにもありません。






200530-4





―その7―の写真200511-7に出てきた、J型のアームから繋がる直線の丸棒。
これはどうやら、

「アイドラーアーム」

でいいようです。あんまり自信ないけど…。

ちょっとわかりにくいですが、矢印の部分でまた切断・短縮されています。
トヨエースはもともと普通トラックなので、軽トラックよりも小さい農民車の
寸法に合わせるためには、様々な個所にこうした加工が必要で、
やはり苦心惨憺雨あられの作業だったと想像されます。
おそらく大半が現物合わせだったでしょうから、職人的な勘と技が
必須な手仕事で、特に最初の一台は難儀したとことでしょう。








200530-5






錆にまみれながら錆を取っていると、こんなところまで見えてきます。
板バネの束をクロスメンバーに固定するU字ボルトのために
開けられた穴。エッジが立ったままなので、これも農民車製作の折に
開けられた穴のようです。ぶかぶかですね。







200530-6





クロスメンバーの錆を取り、防錆塗料を塗布したところで気付いた刻印。
六角形のなかにTですが、トヨタのT…?

今回は二時間ほどで作業終了。嫁がいないと農民車に触れるのでよいのですが、
代わりにやっておかないといけない事がいっぱいできて、
丸一日はなかなかできません。とくに子供達がいるのでよけいに。
早く学校がまともに始まってほしいものです。










―その10―







梅雨の中休み、幸運なことにわずかな時間ながら農民車にさわることが
できました。神様、ありがとう。





200620-1




すっかり緑が清々しい初夏の雰囲気ですが、手前の大きな木の幹には
スズメバチが群がっています。以前から書いておりますが、
このクヌギは昆虫の餌食になっていて、樹液を求めてブイブイ(コガネムシ)や蛾なんかが
瘤に集まってきます。それはいいのですが、うっとおしいのはスズメバチ。
大小が入り混じっていて、樹皮の奥の甘皮部分をしきりに
噛み切って、どうやら巣材にするらしいのです。
しかもちょっと脅威が増えています。私の身長より高いところに穴を開けて
出入りしているのです。もしや木のウロを食い広げて巣をこしらえるつもりでは…。
いまのところ、羽音がうっとおしいだけで攻撃されることはないのですが、
木が強風時に折れてしまわないか心配。
写真で少しふくれた幹の部分よりすぐ下から新しい葉っぱが
生まれているのです。これはそこから上部に将来性がなくて、そんじゃあここから
人生をやり直してみるか、と木が考えている証拠。
もっと上にはまだ葉っぱがありますが、少なくなっているのがよくわかります。
いっそ、この冬に切り倒してしまったほうがいいのですが、倒した木を
薪にするには坂を登って上の家まで運ばなければならない。
それには農民車があれば都合がいいのですが、如何せんこの状態では…。
下回りだけ早く仕上げて、走れるようにしたいものです。
……いつも言ってるよな、この話。






200620-2





そんな急を要する時なのに、もう一度リテイクしなければなりません。
ここは一番最初に錆取りして、防錆してから調子に乗って上塗りまでした部分。
写真では見えませんが、全体に錆の粒が出てきているのです。
こいつはどうも、防錆塗料に水を混ぜすぎて薄くなったのが要因ではと
考えています。思い起こせば、塗った時も「薄いなあ」と思っていたのです。
ああ、ちゃんと原液を足して濃度をあげればよかった……。
おかげで、せっかくの上塗りを剥がして、かつ浮き出た錆までとるという、
二度手間で無益な作業に時間を使わなければなりません。
つらい。むなしい。



しかも季節がら蚊が乱舞してきたので、もう大急ぎで錆取りだけやっつけようと思いました。
が、せっかくの機会があんまりにもくだらん作業になりそう。

「ゴー・アヘッド. メイク・マイ・デイ…!」

いい一日にするために、かつてはずせなかった二つの反射板を
取り外す作業に挑戦!これがなければ、より錆も取りやすく、塗装もしやすいはず。
破壊覚悟ではずしにかかると、なんとかかんとか
はずせました。






200620-3




順番として、

赤い反射板・白い紙・メッキの円盤つきボルト・黒いゴム・
農民車の取付板をはさんで
スプリングワッシャー・ナット。

という組み合わせです。以前にこれをはずそうとしたときは、ナットを回すとボルトも回って
しまって、どうにもできませんでした。今回、左側は取付版とゴムの間にマイナスドライバーを
突っ込んで回り止めとし、ナットを回してみました。
右側はそれでも回らなかったので、ゴムから反射器を
こじってはずし、中の円盤を水道工事用の大きなプライヤーでくわえて固定。
この挑戦が功を奏して、なんとか分離に成功。しかしゴム部品はもう品質の限界で、
指で引きちぎれる状態。ああ、交換しなきゃならないのか…。







200620-4




ゴム部品の裏側の浮き彫りは、

運輸省保安装置形式認定 R-2

とあります。赤い反射板には

R-2 KOITO R-2 L1246 とJISマーク。

反対向きに、

〇の中に=の印、 MADE IN JAPAN

です。丸い紙には

反射器のダイヤ側は
埃又は傷をつけない
様にして下さい  

で、小糸製作所のロゴマーク。

この白い紙の注意書きはダイヤのほうに向いております。
したがって、取付時には注意に気がつかないこともあるかと。
ただの注意書き兼保護用で、使用時には取り去るべき
であるのに、必要な部品として一緒に組んでしまったのかもしれません。
ま、想像ですが…。

ちょっと交換部品を探してみましたけど、直径の同じ反射板はありましたが、
厚みがまったく薄いし、全部プラスチック。運輸省とかMADE IN JAPANとかいう、
いまでは貴重なフレーズも惜しいので、このまま使うことにします。
ネジにはクレ556、樹脂とゴムにはタイヤワックスを塗布。
どうせ見えない位置の反射板で、なんの役にも立ってないのですが…。
注意書きの紙もつけときます。

しかしこの反射板、正式にはどうやってはずすんだろか?
赤い反射器はゴムからはずせたとしても、メッキの円盤には掴むところが
ないのです。






200620-5





なんか藁であぶった魚の腹みたいですが、もうかなり雑な錆取りで申し訳ないです。
右側の取付板はかなりゆがんでいたのですが、
水道工事用プライヤーと金槌で、できるだけまっすぐに叩き治しました。
取付版にあいているナット用の穴は、必要寸法の倍くらいあってブカブカです。

最初の錆取りでは寝転んでの作業で死ぬほど疲れましたが、
今回は座れたものの、位置が高すぎて腕をより上げなければならず、それはそれで大変。
ディスクグラインダーは腕を伸ばすとキックバックが酷くて、
頭に回転するワイヤーブラシが当たってしまいました。
帽子をかぶっててよかった…。
正直に言います。
もう嫌。

この後、濃い錆止めを塗布して作業終了、計三時間ほど。
これからの作業であまった錆止めは、ここに塗り足すことにします。


いい一日になったかなあ。
まあ、やれるだけのことはやりました。








―その11―






平日の月曜日、すっかり変則的な休みが多くなった今日この頃。
今日も近野は休み、なにがあっても変わらない嫁の出勤日が今日なので、
暑いけどまた農民車にへばりつきます。

さて、今回はブレーキドラムを外してみることにしました。
めずらしくネット動画で外し方を予習すると、ドラムに空いた二つの穴に
M8・1・1.20のボルトをねじ込むことで外れるそうです。
で、我が家にあるのはどっかで拾ったのや何かから外したボルトばかり。
どれがM8なのかわからないまま適当に試したのですが、すんなりと入ってくれないので、
実家の倉庫で亡父の遺品を探してきました。

それは、確実にM8とわかるステンレスボルトの長さ60ミリ。
ピッチの判明している別の短いM8ボルトと合わせてみると、ピッチも深さも合っている。
これなら使える、と持ち帰っておもむろに挿してみると……






200803-1





なんとブカブカ。
この何十年も昔のトヨエースには、現代のブレーキドラムの常識は通用しないようです。






200803-2





こうなるとなにが正解のボルトかわかりません。
仕方がないので、ジャンクボルトから合いそうなものを再び探しました。
頭に

HF
4.8

と浮き彫りのあるユニクロのが、どうやら入りそうです。
といっても、ほんとにピッチが合っているのか不安で、なかなか思い切り
回せません。ボルトはともかく、ドラムのネジを潰してしまっては元も子もありませんし。









200803-3





クレ556を吹きつつ、じわりじわりと2センチくらいは入れましたが、
なんの変化もなし。心なしかねじ込みが固くなったような気がするので、
中を見ると、どうやら奥には突き当たっているような感じで、
銀色に光ったところがあります。
写真では全然見えませんが。
ネジ山も、オスメスともに崩れてはいないので、ピッチは合ってると
思うのですが、このまま回し続けていいのか自信がまったくありません。

もしかすると、ドラム中心にある赤い円盤状のものがドラムを
固定しているのかも…。
これは外れそうですが、如何せん外し方は皆目わかりません。
対角線上にふたつの突起があるのですが、どちらも角のまるい台形で、
たとえば、ここだけに使う特殊工具でがっちりと掴めるような感じでもないのです。
ためしに金槌で突起を回転方向に叩いてみたりしましたが、そもそも
どっちに回せば緩むのかも不明。びくともしません。

完全に行き詰ったので、ブレーキドラムはまた今度にします。
わけがわからないのに闇雲に進んでも、いい事はありません。
急がば回れ。





200803-4






せっかく勇気をだして死ぬほど暑い綿のツナギを着たのがもったいないので、
ドラムの次にやろうと思っていた左側荷台下の錆取りをすることに。
これはすでに錆を取ったあとの写真ですが、マスクをして保護メガネを
かけると瞬時に曇って何も見えなくなるし、加えて明暗差で影は真っ暗になるしで
勘によるディスクグラインダー作業。キックバックが多発して、
猛烈な錆と埃が、容赦なく汗をかいた顔に首筋に耳の穴に当たります。
ひどい。ひどすぎる作業でした。

ここは車台としての骨組みではなく、荷台を支えるための構造部材に
C字鋼が使われています。それが仇となり、Cの袋状部分に土と砂と埃と水分が溜まりに溜まって
錆が増殖しているのです。
写真の板バネを取り付けた個所は開放部のない鋼材で、ここから右が車台。内側には
C字鋼は使われていません。
このC字鋼採用は明らかにこの農民車の欠陥で、錆穴が開くことは容易に予想できたはず。
この手法は多くの農民車に使われているのですが、寿命の短さと、ボロさからくる雑な取り扱いを
助長していると思います。
せめて、角に水抜きの穴を開けておくべきです。






200803-5




本車のもっとも錆びた個所である、左側荷台下前部。C字鋼全体に溜まった土埃と水分は、
車体そのものが前傾しているので、重力と振動で結局はここに溜まるのです。

「この時代 人は海の恩恵からも見放されていた
海はこの星全体にばらまかれた汚染物質が
最後にたどり着く所だったからだ……」

この短いC字鋼は、上部も錆穴が開いていて、かなり強度が落ちています。
全体を切り取って、新しい同寸のC字鋼に水抜き穴を開けた上で溶接するのが常道でしょう。
そうするつもりですが、いまは錆止めを塗っておくだけにします。
それより、より恐ろしい事が……。







200803-6





車台とC字鋼の溶接部。
C字の穴のむこうに、もうひとつふたつの穴が開いています。
なんと、車台そのものにも錆穴があるのです……!
これは痛い。
板井と相撲を取らなければいけません。
ここは荷台の最前部でもあり、荷物を積めばいちばん荷重のかかる部分なのです。
ほったらかしておけば車台がここから折れてしまうのは必然。
最低でも、上から被せるように鉄板をあてて溶接しておかないと、穴はひろがるばかりです。
車台との溶接補強にL字のアングルが溶接されていますが、これもよけいに
埃を溜め、水を溜める原因です。







200803-7





これは、同じ左側荷台下の後輪タイヤハウス前部(ややこしいな)。
ひどい状態ですが、左側荷台下前部(まったくややこしいな)よりはマシで、
幸い車台にも穴はありませんでした。

今日の錆取り作業はここまで。あとは例によって水性錆止めを塗りたくり、終了です。
といっても、このC字の袋状部分には、ワイヤーブラシも刷毛もうまく入らず、
錆も土埃等も完全に除去できていませんが、切りのいいところで終わらざるをえません。
時間がないので。

それにしても、

「雨に濡らさない」
「手入れをする」

というのは本当に大事ですが、そもそも造り方がわるいと
寿命も短くなる、という当然のことを思い知らされる一日でした。
農民車復活のアカツキには、絶対に雨の日は乗らないようにします。










―その12―







一週間もたたないうちに、また機会が巡ってきました。
やりたいことは他にもありますが、まずは農民車に向かいましょう。
なんせ、前回取り組んで敗北した問題があるのです。
そう、それはブレーキドラムの取り外し。
熱中症になりそうな綿ツナギを着込んで、
蚊取り線香を焚きつつクレ556を吹きつけます。





200807-1






元整備士の知人に確認したところ、なんの役割があるのか不明だった
ドラム中央の赤い物体は、ハブホーシングのキャップ(正式名称不明)で、
まずドラムを外し、むき出しになってからスライディングハンマーで引き抜かないと
外れないそうです。つまり、この赤いのは無視してもドラムは外せる、という
のが正解でした。そしてドラムは金槌でたたけば緩んでくるらしく、叩く位置は
ホイール取付ボルトの近くがいいそうです。
つまりドラムの円周ではなくて平面部。
この叩く作業は前回もやっていたのですが、再び叩きます。
叩いていると、固着が取れたのが音や手応えで分かるらしいです。

でも、よくわかんないんだよな、これが……。
いっこうに緩んでこないんで、またボルトをねじ込んでいきますが、
これまた反応がなし。
ひょっとして、ドラムが斜めになってて抜けないのか?
というのも、ブレーキバッドやシリンダーを組み付けてある円盤
(これも名前がわからない)と、ドラムがきっちり平行に合わさっていない
ようなのです。写真でわかりますかね……。





200807-2


こっちが浮いてるところ。






200807-3



こっちは沈んでいるところ。
ちょっとわかりにくいですが、このままにします。
いや、これはドラムが外れない原因ではないようなのです。
写真を撮ってからそれが分かったのですが、写真がもったいないので載せたのです。
結局どっちかがいがんでいる、ということで、
これがドラム問題の本質じゃなかったんです。

いくらボルトをねじ込んでも変化なし、ほんとにボルト先端がむこうを
突いているのか怪しくなってきたので、ためしにクレ556のストローを穴に入れてみました。

……おおおおお……!





200807-4




こ、こんなところまで入れないと突き当たらない!
これをボルトに並べたら真実が見えてきます。







200807-5





……これでは、たとえ最後までねじ込んでも到底目的は達成できません。
前回、穴のむこうに銀色の傷が見えたと思ったのですが
(写真200803-3のくだり)、錯覚だったようです。
しかも、ボルトのネジ山が一定間隔で崩れているような……。
そういえば、回していると急に
「キィィイイ・ィ・イ」
と音がして重くなり、すぐにまた軽くなる、なんて状態。
これはピッチが合ってないんですね、やはり。
拾ってきたジャンクボルトではダメでした。

件の元整備士は、

「M8がブカブカやったら、たぶん10ミリやけどな」

という見解なので、M10・1・1.20というのがこのネジ穴の正体でしょうか。
亡父の倉庫には、その寸法のボルトがあるかもしれません。
しかし長さが問題で、上の写真のボルト長さは60ミリ。余裕を見て100ミリの
全ネジボルトが必要ですが、そんな長いのはネジ山が途中までしかないやつしか
ありませんでした。
ウ〜ム、買いたくないけど、やっぱり買わなきゃならないか。





200807-6




またドラムには完敗したので、また他のことをします。
ブレーキドラムのすぐ上、左後輪のタイヤハウス内側の錆取り。
車体はコンクリート片の廃材を積んでつくった駐車スペースで、
かつウマに載せた状態ですが、
これでコンクリートの下に立つと、丁度目の高さにタイヤハウスがあります。
これがすばらしく作業しやすい!腰をかがめなくてもいいので腰痛がない!
しかも構造的になにも邪魔モノがないので、
最近は珍しくなくなったディスクグラインダーのキックバックも
まったくありませんでした。
底面じゃないって、入り組んでないって、こんなにも楽なんだ……。

「しかし、おまえが戦い 私がうしろで補佐する
この戦闘方式は……
非常に楽なのだ! こんな楽な仕事はしたことがない!
だから、私はX仮面としてもう少しいたいのだ………
許してくれっ 昇!」

熱血転校生の話はともかく、このタイヤハウスの造りこみは、いままでの荷台底部とは
一味違います。台形部分の荷台側(内側)はすべて溶接ですが、点付けではなく
水も漏らさないようなきっちりした溶接です。タイヤの上部にあたる奥行きと外側は折ってあり、
重なる部分だけ切り取ったうえで溶接されています。
目につきやすい個所だからかもしれませんが、この技術はほかのところでも
発揮してほしかったです。
しかし塗装のほうは相変わらずで、垂れたシャーシーブラックの跡が
貧乏くささを助長しています。






200807-7



タイヤハウスだけをつくり、それを荷台に置いて溶接するやり方。
寸法はぴったり合っていないので、荷台の鉄板はタイヤ側にすこし余っています。

錆取り作業は楽だったものの、ブレーキドラムには二連敗。
しかしいまさら断念するのも……。

「こうなったらあとにはひけん!!
たとえ、おれがピエロになろうとも…
ゆかりちゃんのためにおれはやるっ!!」

まあそんなにビックリマークをつけるほどじゃあありませんが。

それにいい兆候もあります。まったくほんの少しですが、ホイール取付ボルトと
ブレーキドラムの穴のわずかな隙間だけ、ブレーキドラムが回るようになったのです。
角度にして0.2度ほど。
ハブホーシングの赤キャップは、ホイール取付ボルトと同じで動かず。
つまり、ドラムとホーシングの固着は解けている、と見られます。
あとはドラムを抜くだけのはずなんですが、ねじ込んだままのボルトを引っ張っても
手前に抜けてくれないんですよね。
スライディングハンマーはないし…。

そんなわけで、ボルトは買ってきます。M10・1・1.20の100ミリを二本。
錆止め塗料もまたなくなってきました。








―その13―







地元のプロ御用達ホームセンターに行ってもピッチ1.20ボルトは見つからず、
ネットで探すも、1.25がいちばん近いピッチ。やむなく高価なステンレス製
(ユニクロはなかった)1.25×10×100を
祈るような気持ちで発注した二本。
満を持してブレーキドラムのネジ穴に差し込んだところが下の写真。
なんと、これ以上入りません。
……一体どういうことなんだァ!
こんな同じような写真を何枚貼りつければ気が済むんだ!





200826-1







ということは、この雌ネジのピッチはやっぱり通常の1.50なんだろうか?
しかし、あの手ごたえの不安定さはどうしたことだろう。
謎だらけですが、五ミリも入らないこのボルトは何の役にも立たないので
ウチの在庫品になりました。まあ、もう使うこともないでしょうが…。
とにかく気を取り直して、おたけさんからご教授いただいた方法を
試してみます。







200826-2




その方法は、両ボルトに橋をかけてハブに角材を噛まし、
ボルトをねじ込むことでドラムを引き出すというもの。
適当な端材にバカ穴を開けて(150ミリ間隔)、何度締めたかわからない
ユニクロボルトをまた締めていきます。この写真ではすでに端材が曲がっていますが、
さらに曲がりが強烈になるまで回してもドラムは変化なし。
ゲンノウでドラムを叩きつつやったのですが、それでも出てこないのです。
いくらなんでも、これはおかしい。






200826-3





ボルトと橋を取り外し、あらためて穴を観察しますと……、
ぬうう、入り口から三ミリほどはネジがない。
この三ミリは、まさかドラムの厚み?
ということは、ドラムそのものにはネジがないということか?
この穴はだだの穴?!

「げえェーッ!!」
「何ィ、バカな!!」

車田正美ばりに驚いてみましたが、これはドラムをボルトで引き抜くことは
できない、という事を意味しています。いやいや、いままで私はいったいどこの雌ネジを
一所懸命に回していたのでしょう?
この古い車は、ほんとうに今の車の常識が通用しないようです。
ていうか、今の車も分解したことはないんだけど。

どっと疲れが来ましたが、逆に言えば、ここはネジにこだわらなくてもいいことが
わかりました。さんざん悩んできたピッチや長さにとらわれずとも、ただ
振動を与えていれば固着がとれ、ドラムは外れるのでは。
そこで、左手でドラムを気持ち持ち上げつつ、ドラム周囲をゲンノウで叩いていきます。







200826-4





おおおっ、外れてきたぞ!
いまだ、もう一息だ!







200826-5




いやったあー、外れたぞーっ!
こうしてみると、ドラムは中心のハブが固着していたというより、ブレーキパッドで
くっついていたようです。もともとパッドとドラムはほんの少ししか
隙間がないので、ドラムがちょっとでも傾くと抜けにくくなるのでしょう。
あー、それにしてもスッキリしたー。
下側ブレーキパッドにのかってるのは、電動ドライバー用のプラスドライバー。
短いねじ込みボルトを使ったとき、これをネジ穴に置いてからボルトを締めればいいかと
思ったのですが、置いたとたんに中へ落っこちてしまったのです。
どんくさい話ですが、また会えてよかった。





200826-6





気分を落ちつけてブレーキを観察しますと、埃だらけの内部はともかく、
なにやら不穏な輝きが……。
どうやら、ナットをねじ込んだ先に、ねじ込まれてはいけないものがあったのです。
ハブの裏にあったこの円盤はなに。
ボルトがこの円盤を歪めながら突き抜けて、タップを立てていました。
ピッチ1.5のボルトが不安定な手応えで進んでいったのはこのためだったようです。
幸い、ハブを回してみてもひっかかる様子がなく、水道工事の大型プライヤーで
挟んだら、もとの円盤に戻りました。妙に柔らかいので、鉛製でしょうか。
タップを切ったネジ穴は残りますが、このまま何事もないように祈ります。







200826-7





左が外れた勢いをかって、右側も外しにかかります。
外し方が判明した今となっては、何も怖くありません。
怖いのは、左側よりも生々しく繁殖した錆色で、これは画面右側が上り斜面で、
雨水の跳ねが車体にかかりやすいためでしょう。上に架けた屋根は
左右で同じ軒長さですが、左は地面から車体が高いのでそんなに跳ねかかっていません。
輪をかけて悪いのが、モグラです。
写真下部に落ち葉が積もってない土が見えますが、これはモグラが押し出した土。
斜面のいたるところにこうした盛り土があって、これに雨水が落ちて跳ねると
泥がいっぱい飛び散ることになるのです。
落ち葉が堆積した腐葉土なら、少なくとも泥は撥ねてきません。







200826-8






ゲンノウで一時間半は叩き続けて、やっと外れてくれたドラム。
なかなか外れないので、最後はネジ穴やドラム周囲の隙間にマイナスドライバーを
こじ入れて、なかば強引に外しました。

泥跳ねのせいか、内部も左側より錆ていますが、磨けばなんとかなるでしょう。
ブレーキシューもすり減ってはいないようだし、あとはシリンダーがちゃんと
作動するかですが、これはブレーキパイプが折れているので、直してからでないと
検査できません。

ここで時間となったので、以降はまた次の機会に。
泥跳ねを避けるため、ブレーキ部分だけは適当な板を立てかけておきました。
ああ疲れた。







―その14―








200919-1






今回は一時間ほどしか時間がありません。
しかし、前回はずして家の納屋に持ってきておいたこのドラム二個を
錆取りするくらいには、ちょうどいい時間と踏みました。
左右とも、内も外も見事にサビサビ。
手前が車体運転席側なのですが、前回も書いた通り、上がり斜面がすぐ横にあるので、
地面に跳ねた雨水で濡れやすくなっているのです。
よって、こちらのほうがどうしても錆がひどい。
それと、よーく見るとボルト穴のひとつが銀色に傷ついているのが
わかりましょうか。いちばん左の、半分影になってる穴の縁です。
これはなかなか外れないドラムに業を煮やして、マイナスドライバーを無理やり
こじ入れた際にできた傷です。人間の力でここまで鉄が傷つくなんて、
梃子の原理っておそろしい…。
ドラム内部の立ち上がり部分、つまりブレーキシューの当たり面には、
そのブレーキシューの錆跡が残っています。やはり錆でブレーキが固着していたので、
ドラムは外れにくかったのでしょう。
サイドブレーキは解除していたのですが。

もう二十年以上前の話になりますが、オートザム・キャロルに乗っていたころ、
土砂降りのなかで走った翌日に車を動かそうとしたところ、ブレーキが固着して
動かせなくなった事がありました。未知の出来事にビビってしまい、
エンジンを吹かせなかったせいもあるのですが、
車が発進できないほど強力にくっつくのです。
人の力ではなかなか外せないのも道理です。

結局、そのときは車屋を呼んで外してもらいました。
ギヤを一速にしてエンジンを思いっきり吹かせば簡単に外れたのです。
料金もまけてくれましたが、だいぶ恥ずかしかった覚えがあります。







200919-2






手前のほうには、縁に丸い穴のような刻印がありますが、これは助手席側のドラム
だけにある印なので、上の写真とは手前と奥が入れ替わっているようです。
気がつかなかったですが。
もうちょっと上の方には、両方とも刻印があります。

手前(助手席側)…△が三つ重なった印 11

奥(運転席側)…△が三つ重なった印 4

この△が三つ重なった印、というのは、これまでにも何ヵ所かで発見しておりますが、
いったいなんの意味なのか不明です。
そしてなぜ11と4。







200919-3





今回は、ちょうど錆止めを塗り終えるまで作業ができました。
ブレーキシューの当たり面にはなにも手を付けていませんが、いずれブレーキクリーナーを
購入したら手を入れてみるつもりです。
塗装は影でゆっくり乾かした方がいいらしいのですが、
あまりにいい天気だったのでこのままにしてしまいました。

…今回の写真は、三枚ともおんなじ側から撮ってるな…。


明るくて爽やか、気温もちょうどいい感じ。
蚊もいない時間帯だったのでほんとに気楽でした。
形状が単純なので錆取りもディスクグラインダーのみ、
一回も腰を曲げずに作業終了。
こんなに苦労のない一日は、一年でもそうそうありません。
そして、このいい時期はあっという間に過ぎ去ってしまうのです。

着るだけで時間がかかり、肩の凝る厚着をしないといけなくなる冬がまたくるのか。
と思うと気が重い…。









―その15―










201019-1






また待望の平日休みがやってきたのですが、天気予報は雨模様。
しかし撮影時の現況は曇天だったので、この機会を逃さず作業開始。
今回もそう考えこんでいる時間がないので、錆を取って錆止め塗布だけにします。
運転席側の荷台の裏側、助手席側に比して錆の多いところで、早急な処理が望まれます。

ドラムをはずしたブレーキまわりに泥がかかるのを防ぐために、適当な板を
立てかけてありますが、周囲の笹の葉にかかった白い泥で、被害を感じていただけるかと
思います。立てかけた板も、ほんとは茶色。







201019-2




作業個所はあいかわらずひどい狭さで、カメラも十分な角度に決められません。
あまけに曇りで車体の下だと、カメラの露出が足りなくて撮影できなくなりました。
この構図まで空の明るい部分を増やすと撮影できるのですが、あと
ちょっとでも暗い部分があるとシャッターが下りなくなります。
もっと荷台の裏側が撮りたかったんだけど……。
デジカメの融通が利かないところです。ま、強制的に撮影できたのかも
しれませんが、その操作方法がわかんないのです。

助手席側よりはマシですが、こっちのC字鋼にも錆穴が開いてます。
ここから後輪タイヤハウスまでの間に、C字鋼に溜まっていた堆積物を軍手を嵌めた指で
かき集めると、米にして2合分くらいは余裕で出てきて、唖然とました。







201019-3





前後タイヤハウスの側面中間付近に、穴がふたつ開いています。はじめは錆穴かと
思いましたが、どうも錆がひどい位置でもなし、なんだろうと考えます。
これはもしや、形式銘板を留めた穴ではないでしょうか。
かつて「続・法的農民車考」というページで載せた写真がこれです。↓






224.





大小ふたつ銘板がありますが、ちょうど同じ位置。
なんらかの理由で外されたか、事故でとれてしまったか。知るすべはもうないのですが、
いま写真201019-3をよく見ますと、穴のそばに白い点が四つ並んでいるのが
わかりますでしょうか。これ、撮影時点では気がつかなかったのですが、
ひょっとしたら、大小の銘板を留める穴を開ける際のポンチ跡かもしれません。
以上の想像が当たっているとしたら、実際の穴は、どうしてかまったくズレた位置に
開けられています。それに、小さい方の銘板用の穴は開けられていません。
う〜む、なぜだろう。





201019-4




謎が謎呼ぶ殺人事件〜♪、
ではありますが、小雨も降ってきたので作業終了。
裏側から思いっきり刷毛塗りしたら、やりすぎて表側に垂れ出てきてます。
まあいいや。
タイヤハウス内部と荷台底は、これで錆止め塗装まで終わりました。
一段落といいたいところですが、ブレーキ部分の錆止めもしてから本塗りに
移行しようかとも思っています。

まだまだ遠い完成までの道程です。






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