▼派生型(特殊車両):外国の農民車・その2 

……………………bX
 
 
■タイの農民車(?)その1.
 
 

 

この前のページ、No.8に引き続いて、
ご贔屓筋からのメールがまた届きました。
以前に徳島県で見つけられた農民車の画像…

fwf4×2・No.7
cwf4×4・No.8
…を送ってくださったSawaganiさんが、
今度はなんと東南アジアのタイから
農民車ではないか?という改造車の画像を送ってくださったのです。
私(近野)は、前に新聞記事から抜粋したタイの農民車

hasei.6
を紹介させてもらったことがありますが、かの国はなかなかの農民車王国のようです。
Sawaganiさんは、お仕事の関係でタイへ向かわれたとき、
偶然、街角で見かけられたのだそうです。
以下、太字はSawaganiさんからのメールより抜粋したものです。


タイの農民車?の写真が出てきました。
Lan Sak(ランサ)という町で撮影しました。
Lan Sakは、バンコクから高速道路を北上し、
ウタイタニーというやや大きな町で高速道路を降りて、
そこからさらに約1時間ほど西に行ったところの小さな町です。
撮影年月日は、2004年3月12日です。

写真の車は、一見1930年代の自動車のように見えますが、
最近のピックアップトラックをベースに作られているようです。
(タイでは日本製のピックアップトラックが走っている自動車の大半を占めます)




                                                                 ■その1.を拡大して補正


出来合いのピックアップから外装を取り外して作成したものなのか、
それとも寄せ集めの部品でつくったものなのか、私にはわかりません。
なんとなく後者のような気がします。
まともな車をここまで改造して乗る理由が何かあるでしょうか。




                                                                                       ■その2.



                                                                     ■その2.を拡大して補正


エンジンは日産だったような記憶があります。覚え違いかもしれません。
立派な庇は強い日射をさえぎるのには役立ちそうですが、
雨どいはないので、雨の日にはたいへんなことになりそうです。
なにかの車のテールランプを流用してフロントのウィンカーにしています。
このため、前に尾灯ブレーキ灯がついていて愛嬌たっぷりです。
荷台をできるだけ大きくとったためか、乗員スペースはなんだか
窮屈なことになっています。
それにしても、整備性のよさそうな車両です。

この車をみつけたときはじっくりと観察する時間がなかったのが
悔やまれます。
また、ほかにも異様な車と数多くすれ違いましたが
どれも写真に撮れず悔しい思いをしました。
できることなら、面白い車を見ることを主目的として
タイへ行ってみたいものです。

sawaganiさんへのメール

sawagani@pop16.odn.ne.jp



お送りいただいた写真は
強烈な日差しがそそぐタイの片田舎の雰囲気がよく捉えられたもので、
全体を画像補正してしまうと印象が損なわれてしまいます。
それはあまりに惜しいので、今回は車両だけを
切り分けで補正させていただきました。
Sawaganiさんのおっしゃるように、寄せ集めの部品で造られた、
製作意図のよくわからないトラックです。

淡路島の農民車と明らかに違うのは、
その車体バランスでしょう。
淡路島のものがどちらかというと、
なんとか小さく短くまとめようとしているのに対し、
タイのものは、運転スペースが狭いとはいえ、なんとか長く低く見せようとしているのでは、という
印象を受けます。
ひょっとすると、平地が多く広大な水田が続くタイでは、
日本よりはるかに道が広くて(写真のように、田舎とは思えないほど歩道も車道も幅があります)、
車を小さくまとめて小回りをよくしよう、などという配慮が薄いのかもしれません。
それと、もっと明らかなのは、なんとかカッコつけようという
若者的な発想です。
淡路島では、実用一点張りの農民車ばかりで、
それを飾り立てる意思は滅多に感じられませんが、
この車では根本的にカッコよさが重要なポイントなのでしょう。
二枚目の写真など、正面に据えられたラジエーターといい両横のライトといい、
まるで往年のベンツやロールスのクラシックカーみたいです。
フェンダーをわざわざ丸く曲げる必要なんてありません。
いや、これはただタイヤハウスの流用かもしれませんが…。

荷台はよく見ると、かなり複雑で凝ったアオリになってますが、
合理的に強度を考慮した造り方ではなく、なんとなく板を足していった感じです。
この補強材(桁)の付け方には補強の意味がありません。
不思議なことに、理詰めで造られたとは思えないのに、
運転席の真後ろにある荷台の壁は、後方がみえるように
網か、もしくは透明な部品が使われています。
なにか事故でもあって、その教訓なのでしょうか。
だったらサイドミラーくらいつけてほしいものです。
荷物をアオリまで積んだら後方視界はゼロになってしまいますし。

もっとも気になるのは、電子部品がまるでむきだしになっていることで、
東南アジアには夕方やってくるスコールという大雨があるらしいですが、
なんの覆いもないこのエンジンはいったいどういうことなんでしょうか。
Sawaganiさんのいう日除け以外には役に立ちそうもない庇は、
雨を集めてエンジンに落としているようなものです。
スコールは、通り過ぎてしまえば濡れた服もすぐ乾いてしまう、などと
聞くことがありますが、それと一緒で
あっという間に水分が飛んでダメになった配線もすぐに復活するのでしょうか。
繊細で重要なラジエーターにも、まともに保護するようなものは
ありません。
二段になった親子バンパー(?)で十分なのでしょうか。

隙をつけばきりがないこの車ですが、
こんな無茶な改造車が普通に街角に停車していて違和感のない
タイのお国柄がうらやましくも感じられます。
持ち主は、運転席で伝票らしきものを繰ってる男性でしょうか。
自分好みで発注したオーダーメイドの車で、配送の仕事をしてるのかもしれませんね。
彼にとっては、お気に入りの相棒かも。
首都バンコクでの交通渋滞はつとに有名ですが、
愛すべきはゆったり流れる田舎町の時間、というところでしょうか…。

関係ないですけど、その2.の写真の背景には
日本でも見慣れたスズキの看板が見えますね。
躍進してるなあ、軽ナンバーワンのスズキ。


[目次へ△]
[前頁へ]
[次頁へ▽]