徒労に賭ける

2023年


― その1 ―






230420-1





新年度初回からみっともない写真をお見せして申し訳ありません。
別にふざけているのではないのです。
前回依頼、三度目の正直を目指してハンダ溶接に挑みました。
熱量が足りないのだろうと、カセットボンベのガスバーナーを使って接合部を真っ赤に焼き、
そこにハンダを流し込んでみました。
ハンダはおもしろいように溶けていきましたが、どうにも鉄がはじいてしまって
くっつかないのです。
これはなにか熱以外の根本的な問題があるのでは、と考えてみましたが、
考えるまでもありませんでした。
使っていたハンダは、

「ステンレス・金属用」

と書かれていたのです……。それで鉄同士はくっつかなかったわけです。
この、死ぬほどあほらしいミスのせいで、昨年度の半分くらいは無駄なことを
していたのです。ああ、あほらしい……。

しかし気落ちしている場合ではないのです。前に進まなければ。
たとえ進んだように見えて、また元の位置に戻っても…。

で、ホームセンターに行って「鉄用」のハンダを買ってこようと思ったのですが、
なんのめぐりあわせか、平日の朝9時から仕事が休みになりました。
いまなら、実家の納屋に行ってごそごそしても誰もいないはず。
亡父の残したアーク溶接機でちょちょいとくっつけてみよう、と思い立ちました。
で、結果が上の写真。
過去に何度か、この農民車の溶接具合をけなしてきた我が身を恥じるほかありません。
とりあえず言い訳すると、溶接作業は四十年近く前ぶりだったこと、
老眼で点付けの位置すらボケて見えないこと、
溶接棒が古くて反応にムラがあったこと、
溶接機をはじめて一人で扱ったこと、
などが原因として挙げられます。


「すっ、すまん!!富士鷹……おれのせいで!」
「いや、きっとおれのせいだっ、すまんっ!!」
「いや! 全部おれの責任だ‼ この程度のことで他人に責任を押しつけるほどくさってはおらん!」

そう、ハンダの用途を確認しなかったのも、アーク溶接がドヘタなのもすべて自分のせい。
でも幸いなことに、今度こそがっちり溶接はできました。
それにどうせ見えにくいところだし、要は目的が達成されればいいのです。





230420-2




写真一枚目はブレーキペダルで、こっちはクラッチペダル。
ほんの少しだけうまくなった気がしますが、なんか2センチほど離れたところを
溶接しようとしてたり、万力に溶接棒がくっついて取れなくなったり、
めげそうになりました。
ブレーキペダルの時は溶接棒が本格的にくっついて離れなくなり、全体が灼熱化して
一本まるまるおじゃんにしてしまったりしました。
そんなわけで、たったこれだけの作業で溶接棒を2本半も使いました…。
ともかく溶接はできたので、急ぎ家に帰って、試しにブレーキとクラッチの棒に
取り付けてみます。
さあどうだ!






230420-3



いや~ん、またピンぼけ!
これだからコンパクトデジカメはいやなんだ。
老眼だから液晶モニターが見えないんだよ!
ピントロック機能の四角い枠はたしかにペダルに合ってたのに、なんでだよ!
…まあ、とにかく位置も角度もまずまずなので、これでヨシ。
例によって透明な錆止めを塗りたくって干して、
作業終了。
なんとか農民車を動かす手前まできました。
しかし、荷台の錆穴はどうしよう。
亡父のエンジン付き可搬溶接機は、始動用モーターのバッテリーが上がって
まったく反応がないし、今回使った溶接機は200Vで、ウチにはでかい差し込みがないし…。
鉄用ハンダは、天井面には使えそうもないし……。
中古の100V溶接機を買ってヘタクソな溶接をするかなあ。











― その2 ―









さてさて、できない理由を並べ立てて作業をサボっていたわけでもないの
ですが、結果としてどんどん行程が遅れており、とうとうその因果応報が
やってきました。
ウマが本格的にシロアリに食われはじめたのです。
そんなことは去年からわかっていて、廃エンジンオイルを塗ってごまかしたり
しちゃってたのも間に合わないくらい被害が進んでおります。
このままでは農民車が倒壊するのも必至。
現実的に思考転換することにしました。
溶接をやめて、エポキシ系接着剤を使うのです!
ちゃんと金属用のがあるじゃないですか!
しかも硬化後は削ったり塗ったりできるやつが!
だったら初めからそうすりゃいいのにー!
ほんとにもーっ!

そのまえに、まず腐食部分と作業手順の再確認を……。






230523-1




農民車の左、運転席側はそう錆びていません。
これはその運転席のすぐ後ろの荷台下、直径一センチ弱の穴があいています。
これは埃や水抜きとしてちょうどいいので、
そのまま残すことにします。
手抜きではありません。
早くしないとシロアリがウマを食うのです。





230523-2





こっちは被害甚大な右側。左側とは対照的に、壊滅的なまでに錆が進んでいます。
見た目から言っても、塞がないわけにはいきません。
この下面錆穴を利用して、水と埃を抜く穴をこしらえることにします。
繰り返しますが、完全に塞いでしまうと、また水や埃が溜まって錆びることに…。





230523-3





C字鋼がシャーシーに接合したところは、車としての安全性が問題になるほどの
危機感を覚えます。ここも塞がないわけにはいきませんが、
込み入ったところだけに作業が難しそう。
応急的に錆止め塗料を塗りたくっておいたのですが、エポキシ接着剤は
接着部分の塗装を剥がしておかないといけません。
こんなところはどうにも手が出せないので、ここだけバーナーで塗装を焼くことにします。
荒業だ。






230523-4




左後ろのタイヤハウス前側。こいつもなかなかのもんです。
C字の立ち上がりが半分消失。おかげで埃と水分は溜まりにくく
なっているのが皮肉ですが、そうかといって放置するわけにもいきません。





230523-5





上写真の後輪側。無視するには大きすぎる穴です。
側面にも小さいのが一個ありますが。こっちは無視してもいいと判断。
手抜きではありません、急がなければシロアリが(以下略)。





230523-6




こんなのを撮るのもどうかと思いますが、鉛筆で拓本をとりました。
水が滲んだような箇所が錆穴。全体に鉄板を貼るのですが、
その鉄板に水抜き穴を開けておきます。鉛筆で書いた穴の位置は適当なものです。
上の四角いのは、シャーシーにあいた穴に虫が入らないように蓋をしてあったのですが、
それの輪郭。
この大きさで一枚、鉄板を切り出します。





230523-7





こっちは拓本した意味がないほど雑になりました。
垂直部分と下面部分は長さがほぼ同寸で、C字の立ち上がりが消失しているのを
そのまま使って水抜きと埃抜きにすることで、穴を開ける手間を省きます。
要するに切って貼るだけ。






230523-8




これが貼り付ける鉄板。
どっかで拾ってきた、なんかの機械の筐体の一部と思われます。
傷予防の紙かなんかが貼ってあります。
これをディスクグラインダーで縦半分に切って、さらに任意の長さに切ります。
ネジ穴が開いてますが、気にしません。
厚みはC字鋼と同じくらいですが、材質が柔らかすぎて、強度面では不十分。
ですが、細かいことは気がつかないことにして、これでやります。
やらねばならんのです。
キャシャーンがやらねば、誰がやるというのです!





230523-9




ちょっと話がそれますが、この後輪タイヤハウスの後ろ側のC字鋼(ア.の部分)は、
錆穴はないのですが、水・埃が抜けるところがまったくありません。
もともとは、ここが荷台の後端だったのですが、その後部に延長して荷台を
造ったところ(写真でいうと上側のC字鋼)は
水・埃が落ちるスキマがあるのがわかります。
しかしこのスキマ、そうした意味であるわけではなく、
この延長荷台部分は取り外しができるようで、スキマはいわゆる「遊び」でしょう。
その「遊び」が、図らずも錆除けになっているのです。

話を戻して、(ア.)のC字鋼には、下面に穴を開けることにします。





230523-10




見よ、恐るべきシロアリの食害。
これはウマの座りを良くするのに、調節用として敷いていた二枚の板の一枚。
一応コンクリの上で、土には接触していなかったので、シロアリが来る前に
レストアを仕上げてしまえばいいや、となんの防腐処理もしない板を
使ったのです。しかし五年も経てば無理もないか…。
外見はそうでもなかったのですが、合わさった面を開けてみるとこんな感じ。
こいつが犠牲になってくれて、ウマ本体にはまだシロアリが来ていないようです。

二枚のうち酷い一枚は捨て、もう一枚は廃エンジンオイルを塗りたくって
雨の当たらないところに置いておきます。
廃エンジンオイルがどれだけシロアリに効果があるか実験してみます。

新しい板は、廃エンジンオイルを塗ってから交換しました。






230523-11




(ア.)の水抜き穴。
もうちょっと角っこに開けたかったのですが、ウマが邪魔で電動ドリルが
届きませんでした。
この穴は右側の同一箇所にも開けてあります。
もう一ヶ所、開けたほうがいいかもしれませんが、
時間がないのでやめます。

最後に、C字鋼にたまった埃や錆をできるだけ取り除くことにしました。

「錆の上から塗れるスプレー」

というのを購入したのです。
千五百円くらいしまして、油性ですが、塗ることにしました。
スプレー缶だったら、このくそ入り組んだC字鋼の内側にも
塗れるはずなのです。
それにしても、このC字鋼ってやつは、本当に錆取りも埃取りもやりづらい!
錆はほんとうのワイヤーブラシでなるべく落とし、それと埃は結局、
軍手をはいた指で集めて摘まみ取る、なんて知恵も工夫もない
やりかたしかできませんでした。
コンプレッサーがありゃあなあ…。








― その3 ―













230525-1




前回と今回は平日に作業しているんですが、会社から

「仕事がないんで…」

てな感じで休まされているのです。
今週は二日しか仕事しない予定。
いや心配はいりません、私のせいではなく、ほんとにたまたま仕事のない巡りに
なっただけなのです。
給料は確実に減りますが。

それはともかく、この過ごしやすい時期、嫁も子もいない平日に作業ができるなんて、
こんな幸運を農民車に使わない手はありません。
給料が減るのがなんだ!
さあ、手の届かない塗装をバーナーで焼いたぞ!
…それにしても酷いなあ…。






230525-2





あっ!作業に夢中になって写真を撮るの忘れてたっ!

接着剤を使う部分の錆止め塗装をディスクグラインダーのワイヤブラシで削り取り、
貼り付ける金属板をディスクグラインダーの砥石で切り取り、
ディスクグラインダーのワイヤブラシで表面を荒らして足付けし、
どっかで拾ってきたCDデッキのパネルをパレットにして2液エポキシ接着剤を混ぜて、
金属板とC字鋼の両方に塗りたくって貼り付け、
竹と養生テープで固定しました。

要約すると簡単(?)そうですが、
実際は悪戦苦闘。
エポキシの硬化は混ぜて数分で始まるので、まったく余裕がありません。
接着剤付属のヘラは、どんどん固まった接着剤で膨らんでくるし、
養生テープを切るのにビニール手袋を一度脱ぐと汗で二度とはけなくなるし。

おまけにこの涼しいのに蚊の大群が。
でも蚊取り線香をつける時間もないんです。






230525-3




もうちょっと溶接っぽく形を整えたかったのですが…。
後部の接着箇所は順番はあとからの作業だったのですが、
パレットやヘラに残った接着剤が固まってくると、まだ混ぜている接着剤の
硬化速度が早くなるような気がします(気のせいかも)。
こうやって見ると穴もまだ埋まり切っていないようなので、
またあらためて上塗りしようかと思っています。





230525-4




順番が逆になりましたが、こっちがはじめに接着したところ。
なんだかきれいに見えますが、そうでもないです。
シャーシーの穴は板切れで押さえてあるので見えませんが、
まあなんとかなりました。
二十四時間で完全硬化するようなので、これで作業終了。
ひとつのおおきな山を越えた気分です。
夏までには、なんとウマからおろせるよう、がんばります。








― その4 ―









230527-1








怒涛の勢いで更新が進んでいますが、昨日は平日休みだと思ったら仕事で、
本日土曜日にはこの荷台下面はすべて一回目の塗装が
済んでいる予定だったのです。
でもまあ仕方がありあませんので、やれることをやりましょう。
接着剤のほうは無事にガッチリと固まっているようで、
固定用の竹や養生テープを外しても異常はなし。
今日は、できるだけ盛り残した部分などを補充していきます。
C字鋼の奥は見えにくいですが、盛ることも難しい。






230527-2





今回も混合用パレットは捨ててあったCDデッキの部品。

ちなみに、CDデッキは道路の側線外がやや広いところに置かれていたゴミ。
たぶん、夜中に車でやってきて、そこに放置して去っていったのでしょう。
そういうところにゴミがあると、たちまち同じことをする人間が続出するものです。
私は、古いナショナルのトランジスタラジオを持っていて、
伸縮アンテナが折れたのでその代替品を探していたのですが、
それもあって拾ってきました。
アンテナ以外はいらないので、バラバラに分解して
中身は自治体の小型家電リサイクルボックスに。
ガワのプラスチックは燃えるゴミです。

前回の教訓として、ヘラについた接着材は適宜拭き取っておかないと、
こびりつく塊がどんどん大きくなってヘラとしての機能がなくなるということ。
そして、あんまりヘラ先の幅が大きいと、小さな穴は埋めにくい、ということ。
前回の付属ヘラはもう役に立たないので、今回は割り箸の頭(?)にある
ななめ部分を利用することにしました。
ほんとはもうちょっとスプーン状になってたほうがよかったかも。
竹から削って求める形にする時間はありません。

割り箸はもちろん拾ったゴミです。





230527-3






後部フェンダー内側。
端っこがだいぶ肉盛り不足。スキマから水が浸み込んではいけないので、
どんどん盛らなくてはいけません。







230527-4






その下側は、まだ大き目の穴があいたままなので、なんとか塞ぎます。
鉄板に貼ってあった紙は完全に剥がせず、糊が残ってしまいました。







230527-5






横に開いていた穴はほっとくつもりでしたが、なんとか塞ぐことが
できました。だけど角にはまだ小さな黒い穴らしきものが残っています。
盛った直後はこんなのなかったはずですが、乾きだすと穴に吸い込まれて
いくのかもしれません。
それと、シャーシーとの接合部に白い塗料のタレがありますが、
これは内側に「錆のうえから塗れるスプレー」を吹き付けすぎたため、
塞ぎきれなかった錆穴から抜けていったようです。
この穴も目視では見つけられませんでしたが、
これらの小さな穴は、塗装を重ねていけば潰れる、ということに
しておきます。






230527-6






最後部のC字鋼内側。
缶スプレーでも隅々まではなかなか塗ることができませんでした。
刷毛塗りと違って、スプレーは塗膜がかなり薄いので、乾くと透けるように
なりがちです。ここですぐ上塗りすると、一回目塗りが生乾きのうちに
二回目を塗るので、二回目が乾いても一回目が乾ききらず、塗膜全体の
「食い付き」が悪くなります。
二回目以降は、一週間以上は開けることにします。
でも来週から梅雨になりそうな天気予報なんですよね…。
今の時期はいちばん作業しやすい気候なので、順調に作業が進むの
ですが、ここらから雨や暑さで途端に滞りだします。
そうこうしてるうちに秋になり、油断してると冬になって極寒となり、
外で作業する気がなくなってしまうのです。

ああ、いい時期は一年間でほんの少しの短さ。
それでも、この度は雨や暑さのなかでもやらねばならないでしょう。
なんせシロアリは容赦してはくれませんから。










― その5 ―









230603-1







今週は梅雨入りしたうえに雨が降り続き、
金曜日は大雨だったし、土日も雨の予報だったので
作業はできないと踏んでいたのですが、どういうものか
土曜日は五月晴れになったので、車体下面に水性塗料を塗ってみました。
申し訳ないですが、写真はこの一枚しかありません。
ひたすら刷毛塗りしてたので、とくに説明するべき点がないのです。

しかしまあ、かつてここには水性錆止めを二度塗りしたのですが、
よくもこんな面倒な場所を二回も塗ったものだ、と
我ながらあきれました。遠目の写真で見るとキレイに
塗れているようですが、実際はムラの嵐。
まあもう一回塗るつもりだし、そもそも白系の塗料は隠蔽率が
よくないので、ムラはしょうがないのです。
しかしそれでも、隅っこやブレーキ系統の込み入った場所は
塗り残しをなくすのが大変。
大きな刷毛ではとても届かず、水彩画に使う細い平筆をもってしても
なかなか間に合わない。
仰向けの姿勢でやるのは三時間ほどがいいところでしょう。

予定では、下面全部を塗ってしまうつもりでしたが、
半分ほどしか塗れませんでした。
また半日でも晴れた休日があればいいのですが。











― その6 ―











230611-1






いままで雨の日は作業したことがなかったのですが、
もはやそんなことを言ってもいられなくなってきて、
朝の七時半から塗装をはじめてしまいました。
気温が低かったので蚊もいないだろうと甘くみていましたが、
はじめて一分もすると十匹くらい蚊が寄ってきて、

「蚊などおらん!」

と思うことで作業を続けようとしましたが、そこまで心頭滅却する
こともできず、蚊取り線香を焚きました。

後輪のデファレンシャル部分は塗り終わっているので楽かと
考えてたら、ギヤケースとクラッチ盤、ブレーキやクラッチのレバー等、
前回よりもよっぽど込み入っていました。

それにしても、一般的に車体下を黒く塗るのは合理的なんだな、
と今更感じております。
黒く塗ると、隅っこや細かい空間の塗り残しは暗いので目立たず、
作業の粗が見えにくいのです。
私のように白にすると、塗り残しは一目瞭然。
手を抜くことはできません。
白いと光を反射して、車体の下全体が明るくなったくらいです。
おまけにムラも出やすいし…。
ま、それでも、どうしても塗れない部分はもうあきらめましたが。
板ばねの隙間なんて、分解しなけりゃどうしようもないし。

とにかく、お昼前には作業終了。
あと一回、塗ってしまえばタイヤを取り付けできて、
車体をウマからおろせるはずです。
のべ2日はかかるかな…。











― その7 ―











230618-1






今回も車体下の塗装です。

実は、色に関してちょっとした問題がありまして、以前からウチで
使用していた「アイボリー」という色なんですけど、同じアイボリーでも
メーカーによってだいぶ色見が違うのです。
ま、こんなことは油絵かなんかをちょっと経験しているかたは
ご存じかと思いますが、私も知ってはいたのです。
しかしいちいち同じものを買いにいくのが
めんどくさいので、なにかの用事の行きしなに、ついでに寄った
ホームセンターで軽く買ってしまいました。
この軽はずみな行動で、
別の意味でめんどうなことになってしまいました。

右の青い缶が、以前からの使用色。
コメリのアイボリー1.8ℓです。
左のやや小さいのがいま使ってる色。
コーナンのアイボリー1.6ℓ。
貼ってある色見本でも、違いはほぼありませんが…。







230618-2





実はこんなにも違います。

これは、昨年末に凍った路面でコケたときにできた傷を、
とりあえず塗ってごまかした…いや、ごまかそうとした
通勤用スクーターの横っ腹。
もともとの黒い色が紫外線でボロボロになったので、数年前に
刷毛で塗りなおしたときのアイボリーと、全然違うのです。

もう半年以上、こんな恥ずかしいスクーターで通勤しているのですが、
それはまあとにかく、ちょっと他の色を混ぜて
色を近づけることにします。







230618-3






といっても、同じ色を作るというのは至難の業。
しかも新たに必要な色を買うわけでもなく、
手持ちの色から足していくのです。
お金がもったいないので。
亡父のストックからいただいてきた、黄色と灰色の0.2ℓ缶で、
当然使いかけです。

コーナンの1.6ℓ缶は半分も塗料が残っていなかったのですが、
黄色と灰色すべてを混ぜ込んでみました。







230618-3






う~む~……。
ちっとも近づかない……。
もうこれ以上は努力のしようがないので、これでやめときます。
やっぱりコメリでアイボリーを買ってくるしかないか。







230618-4







作ったアイボリーももったいないことだし、どうせ車体下の目立たないところなんで、
塗りこんでしまうことにしました。
相変わらず、行き当たりばったりです。
そんないいかげんな考えなら、こんな色の違いにこだわらなければよかった…。

でも軍事マニアでもある近野としては、
ドイツ戦車のデュンケルゲルプとか、陸軍のカーキ色に
近いほうがうれしいなあ(にこにこ)。

ま、それはそれとして、塗ろうとしているところにくっついていた
デンデン虫を取り除いて、新アイボリーを地味に塗っていきます。








230618-5





なんか青首大根みたいに見えますが、これは周囲の緑が反射しているため、
だと思います。運転席下は、今回は時間がなくて新アイボリーを塗り切れなかった部分。
まだ新アイボリーは残っていますが、とても全体を塗る量はないので、
コメリで濃いめのアイボリーを買ってくることにします。

…ひょっとして、車体下は3回目の塗装をしなきゃならんのか?












― その8 ―











230625-1






さて本日も地味な塗装作業です。
前回、ちがうメーカーのアイボリーを使ったために微妙な色の差が
できたので、あらたに濃いめのアイボリーを購入してきました。
どうでもいいこだわりだったのですが、まあ、たまには少しお金を使うのも
いいでしょう。どうせペンキは消耗品で、いずれ足らなくなったら
買わなければならないので、いま買ってもいいでしょう。

久々に見た運転席の床板。
裏返しに置いてあったのですが、錆止め塗料が効いているかは
微妙な感じ。
ところどころ、錆の斑点が見えている気がします。
でもいま、これをまた削り取って錆止めを塗りなおす時間はまったく、
まったくありません!
だからこの上から色を塗っていきます。で、その色は
薄いほうのアイボリーにします。どっちみち二回は塗る予定なので、
一回目は薄いほうを使います。もったいないので。






230625-2







車体のほうは、前日の土曜日に濃いめのアイボリーを塗っておいた
(三回目!)のですが、どうでしょう。薄い色の運転席床やブレーキドラム他と、
濃い色の車体下の差がわかりますでしょうか……
わからんな、こりゃ(泣)。

それはそれとして、前に書いたかもしれませんが、
前後ホイールの色をどうしようか、いまだに迷っています。
どくに前輪の色は、どっちも柿色に見えますが、じつは下側に
写ってるほうは、もともと水色のホイールだったようで、その上から
柿色を塗っているのです。どっちかのホイールをどっかから
持ってきたのでしょうが、色違いだったというわけで……。
さて水色か柿色のどちらに統一するか、
それともあえて左右を色違いにするか…
どちらも元の塗装はしっかりしているので、素人のヘタな塗装で
それを台無しにしたくないな、とは思うのです。
といって、このままほっとくのが許されるほど錆がないわけでもない。
いっそ、車体と同じ色にしてしまうか?
うむ…、それも軍用車みたいでいいな…
いや、そんな理由で決めていいのか?

またどうでもいいことで悩んでいるなあ…。








230625-3






長いことレストアをやってると、どうでもよくない問題も、まあ起こります。
やっと直した荷台下の左側前部、シャーシーとの接合部に
ドロバチが巣をこしらえていました。
いつの間に工事を始めていたんだ。
私と違って仕事熱心で効率のいい作業をしているので、
どんどん泥を集めてきます。
このままでは座視できないほど大きくなってしまうので、
泥を取りに飛び去った隙に、ここでの工事をあきらめてもらうことにしました。








230625-4





上の写真と色が全然違いますが、
これはカメラのオートフラッシュが光らなかったので
こんなことに。

C字鋼の内部にはボロ布を充填し、詰め切れなかった
一方の穴には、そのへんの枯れ枝を突っ込んでおきました。
やがて戻ってきたドロバチは、どうにも現場にまでたどり着けなくて
困惑しているようでしたが、そのうち他の場所で
作り始めてくれるでしょう。

…どうかまた農民車のどこかに作りませんように…。










― その9 ―










230702-1






今日は淡路島の「全島一斉清掃の日」だったので、
休日出勤をなしにしてもらい(そのかわり、前日の土曜日は仕事)、
朝七時から近所の掃除をしておりました。
毎年かわらずゴミはたくさん捨てられております。
おまけに今年は県道沿いの草刈りがなかったので、
あるであろうゴミも目につかず、草むらの奥に見つけたゴミを
掴もうにも野ばらに突っ込んで棘が指先に突き刺さったり、
前日の雨のせいで全身水浸しになったりで、
だいぶ疲れました。

そんなくたびれた心身に鞭打って、午後は塗装に励みます。
先週の一回目の塗りは、案の定細かい錆の点がたくさん浮き出ています。
(白いまだらは木漏れ日の光)
写真だともうひとうわかりにくいですが……実はすでに三回塗った車体のほうにも
錆の点がまだ出ているのです。
う~む、いまさら錆止めから塗りなおすわけにもいかんし…
ああ、いかんいかん、また前と同じことを埒もなく考えている。
もうこのまま塗るしかない、と決めたはず。
さあやっちまおう!








230702-2




ちょっとはきれいになった感じがわかりますでしょうか。
コメリのアイボリーは、やはりコーナンのそれよりは
自分にはしっくりきます。
買いに行った甲斐がありました。
…いやシャレではなく。

塗りたての時は錆などまったくないのですが、
乾くと浮いてくるのです。
水性塗料の特徴なのか、それとも油性でも同じことが
起きるのか?
そして、上塗りを繰り返していくと、やがては錆が止まるのか?
わかりませんが、いずれにしろやり直すヒマはないので
この作業をもう一回やります。
車体のほうは、塗料が余ったのでもう一回塗っておきました。
四回目。
なんか、慣れてきたのか塗る時間だけは短くなってきてますけど。

そうそう、ドロバチの巣ですが、
なんと突っ込んでおいたボロキレとC字鋼の、ほんの少しの隙間から
入り込んで、巣作りを維持しておりました。
もう壊すのもかわいそうなので、そのまま子育てを
してもらい、子が巣だった時に撤去することにします。
ドロバチの執念を見習わないと。








― その10 ―







230721-1





二週間ぶりのレストア作業にとりかかります。
今日は平日休み。ここんとここんな感じの勤務が続いていて、
明日の土曜日は休日出勤の予定。まあ家に誰もいなくて
気兼ねなく好きなことをできていいんですが。

ちょっと間をあけると、置いてあった前輪にニイニイゼミが脱皮してたりして、
自然を感じながらの作業に癒されております。
今回は、車体ばかり塗っててすっかり忘れてたこのタイヤのホイールを
錆止め塗装することにします。






230721-2




ホイールなんて頑丈なもんなんだから錆びててもいいじゃないか、と
考えたりするのですが、ここまで錆びてるとそう割り切れるもんでも。

これはどっちも前輪の内側なんですが、ここまで錆具合に
差があるのは、右側のほうが古いからです。
前にも書きましたが、前輪ホイールは左右で形状が違っていました。
この写真で見る違いは、四つあるスリットの大きさが違うこと。
あとは、凹凸の幅というか、直径なんかが違います。

とにかく、なんだかわからない虫の巣はやカタツムリなんかを
取り除いて、ディスクサンダーのワイヤブラシで
ひたすら錆取り。







230721-3





こちらは後輪。
左は内側の錆取りを終えたところですが、後輪は錆とともに土も
こびりついていて、ワイヤブラシはどんどんちびていきます。
ブラシが短くなると、窪みに届きにくくなってくるのが実感できます。
もしかするとワイヤブラシが使えなくなるほど短くなるか、
と危惧しながらも、作業するしかありません。

しかしなかなか渋い風合いになってくるもんだなあ。






230721-4





空気入れの口に、ただ一個だけ残っていたキャップ。
形状はいまも変わっていないようです。






230721-5





これは前輪新ホイールのほうだと思いますが、
なぜかこの一本だけバルブの形が違います。
こんなのどうやって空気を入れるんだろう?
それとも、これがキャップなんだろうか?
おかしなことに、古いホイールには普通のバルブが
ついているのです。
…てっきりこのタイヤはチューブ式だと思ってたんですが、このバルブは
チューブレスタイヤのものでは?
チューブレスタイヤって、こんなにボロボロになっても
空気が抜けないのか?
う~む、わからんことが多すぎる…。






230721-6




それはそれとして!

いまはそんなこんなを解決する時ではないので、
ただただ錆を取り続けます。
幸い、ワイヤーブラシは消滅しませんでした。
ドラムコードの上に積もった錆が泣けるぜ。






230721-7







錆止め塗料は、以前にペダルのときにも使った透明なもの。
亡父の遺品は長いこと置きっぱなしだったので、
缶のなかでずいぶん分離していました。
なるべく攪拌してみましたが、なんだか地面と同じような色で、
大丈夫なのかと心配です。
おまけに塗ると泡が発生して、どんどん垂れて窪みに溜まっていきます。
泡のまま乾いたらどうしようかと、また心配しましたが、
時間とともに泡は消えていきました。
念のため、タイヤを百八十度まわして二度塗り。
案の定、塗れていないところがありました。








230721-8




ほんとはタイヤを外して塗るほうがいいんでしょうけど、
時間がないので勘弁してもらいます。
なんだか戦国時代の漆塗り甲冑みたいで、ほんとにこのまま
使おうかと思うほど渋いですが、やっぱり上塗りはしないと
いけないでしょう。色は結局、車体と同じにしようかと思っています。
色を変えるには新規に買わなきゃならないし(どケチ)、
そのほうがエンジンがアクセントになっていいかな、と。

とにかくまあ、早くウマから降ろすのがいまの第一目標ですので。








― その11 ―









230726-1





今日も平日休みの近野です。
今日の作業も塗装です。

「姫さま姫さま みんな姫さま」

クロトワさんではありませんが、いいかげん塗装以外の報告もしたくはなります。
しかし、これを片付けないと他の仕事ができません。
詰めの甘いことばかりしてはいますが、
やれるだけのことはやっていきましょう。






230726-2





こういう隅っこの塗装は、タイヤを外してやるのが一番いいのでしょうが、
いつも言ってるように時間がありません。
前回の透明錆止めでは、はみ出ても目立たないので
刷毛でやっつけましたが、白い上塗り塗装ではさすがに
でかい刷毛は無茶。
相手はゴムなんだから、多少ついても剥がれ落ちるんじゃないの?
と思うのは素人(体験済)。
タイヤについちゃった塗料は並大抵のことでは取れないので、
子供の水彩画用絵筆で慎重にキワを塗っていきます。
支えなしでやると腕全体が揺れてぐちゃぐちゃにはみ出るので、
小指をタイヤに当てて安定させましょう。

しかし、車検などでホイールの内側を塗ったりするとき、
養生はどうやっているんだろうか?
まさか、いちいち全部のタイヤを脱着しているとも思えませんが、
なにかいい手があるのでしょう。
それをネットで調べとくはずだったんですが、
忘れてました(泣)。
ちょっとはみ出していますが、遠目にはわからないでしょう。
…詰めが甘い。







230726-3





なんだかアイボリーの食い付きがわるいような気もします。
分離しきった錆止め塗料がわるさをしてるんでしょうか。
ま、二度塗りすればムラも軽減するはずです。






230726-4





おっと、裏っ側にアイボリーが垂れてしまった!
なにも考えずに塗りたくったからです。
このまま乾くと垂れ筋ができちゃうので、あわてて刷毛で塗りつぶします。

このホイールは表側が水色の古いタイプ。
ちゃんと錆取りしたはずですが、なんでこう真っ黒なんだろう。
鉄の地金まで出てるところを透明色で塗ったら
こうなるのか?黒い上に白を塗ると黒が隠れにくい、そのうえ
よくわからない凹凸がたくさんあって、塗りつぶすのに
手間取りました。







230726-5





こちらは後輪の表側。
たっぷりと塗りこんだはずの透明錆止めですが、ちょっと塗り残しが…。
矢印の、突起の基部が白っぽくなってます。
これも錆止めを塗りなおす時間がないので
(面倒くさい、ともいう)
このまま塗り進めます。
この突起は三個ありますが、裏側はつぶしたリベット状に
なっています。ということはリベットの先端か?
いったいなんのためにあるものなんでしょうか。
邪魔だなあ…。






230726-6




車体のほうでは、やはりまだポツポツと錆の点が浮いてきています。
これはもう、たぶん抑えきれるものでもないのでしょう。
こういうことにかかわり続けるのも疲れますので、
他の部分を塗装中に、ペンキが余ったら適宜塗る、という
ゆるゆるの方針でいくことにします。
なんか今回、開き直ってばかりですが。





230726-7




で、前輪右側のほうに回り込んで、
余ったペンキを塗ろうとハブを回したところ、異様な構造物が出現。
やれやれ、ドロバチの巣でしょうか。
そういえば、荷台下のC字鋼に造っていた巣はどうなったんだろう?
確認するのが怖いんだよな…。

ハブを回したので出入り口が上を向いてますが、
ほんとは下向きなのでしょう。
このハブをいま塗るのはやめにして、そろっと下向きに
戻しておきます。
ドロバチの巣立ちっていつなんだろうか。
秋までにはタイヤを着けられるといいんだけど…。






230726-8




そんなこんながありながらも、一歩一歩と
ウマからの着地は近づいています。
この次は、塗装以外のこともしたいものです。









― その12 ―









230805-1







毎回毎回塗装ばっかりしてるので、久しぶりに違うことを
してみようと、サイドブレーキを固定するための穴を床板にあけることにしました。
このサイドブレーキ、もともとは床板の縞鋼板に溶接してありました。
車体や車台の錆取りをやりやすくしようと、床板を取り外した際に
くっついていたサイドブレーキを外すため、溶接をディスクサンダーで
削りとっています。
なかなかみっともない削り跡ができてしまいましたが、
あとでよく考えると、別にサイドブレーキと床板は取り外す必要がまったく
なかったのです。ブレーキワイヤーを外せば済むことでした…。

済んでしまったことはもういいのです。
とにかく、このサイドブレーキは床板に再固定しなければならないので、
今後は溶接せずボルト固定することにしました。
なんせ溶接するとなれば、実家の倉庫までデカくてクソ重い床板と
サイドブレーキを運ばなければならないからです。
ボルト留めなら床板に穴を開けるだけ。
自宅で終わる作業です。

穴開けのまえにサイドブレーキ側の穴を測っておきます。
内径は8.5ミリ。厚塗りした塗装のせいで、ほんとは
9ミリかもしれません。
9ミリか…なかなか太いな。







230805-2





拾い集めたジャンクボルトを探したら、六角ではありますが
ちょうどいいのがありました。ブレーキの横にある四個。
いつになく運がいいです。
しかしまあ、ブレーキを固定する穴は二個しかないので、
半分はまた置いときます。
サイドブレーキ固定にボルト穴が二つしかないというのも
なんだか不安ですが…。
しかしこれは、もともとは市販車のサイドブレーキなので、
この互い違いの二つ穴だけで充分固定できるはずです。

そのボルト穴の位置決めをするため、サイドブレーキを
床板の定位置にあて、穴に鉛筆で印をつけて、ポンチを打ち、
そこに9ミリのドリルで穴をあければ本日の作業終了。
順調にやれば一時間以内に終わります。
観測史上最高の暑さのなか、
これくらいで一日の仕事は終わっておきます。






230805-3






さて、おもむろに床板の穴スリットにブレーキワイヤーをつなぐ金具を通して、
ボルト穴を位置決めしようとしたところ……ぬっ?
バッチリのところに穴がもう開いてるぞ?
誰が開けたんだ、
いやもともと開いていたのか?
ボルト穴を開けていながら溶接していた?
ばかな、とすると……
すべての物に宿るという妖精が、農民車にも?
農民車の妖精が縞鋼板にドリルを通してくれていたのかー!

「マンガの仕事を手伝ってくれる妖精が―― いるんだよ!!」

いいや落ち着け近野、大好きなマンガの名シーンを
思い出している場合じゃない!

真実を探し求め、作業記録である「徒労に賭ける」の
過去記事をどんどん手繰っていくと、本当のことがわかりました。
四年前の十一月、サイドブレーキを外したあとに
こんなことをやってました。

まあ、とにかく外れたことは外れました。ついでに
ボルト留め用の穴にあう位置の床に同径の穴を開けておきましたので、
以降はボルト固定できます。


うわーっはっはっは、自分で穴を開けた事をすっかり忘れてたのかあっ!
マンガのセリフは覚えているのに。







230805-4






…とにかく、まあ観測史上最高の暑さなので、
真昼の作業が早く終わるのはいいことです。
幸い、六角ボルトもちょうどいい長さで収まってくれそうです。

それにしても疲れた。
作業量の五倍は疲れました。









― その13 ―







230808-1







三日前に間の抜けた作業をしたばかりなのに、
また仕事が平日休みになりました。
おととい夜の大雨で雨水タンクにも水が溜まり、庭木や空地の雑木も
葉っぱをピンと生き返らせたかのように元気になり、
ありがたいことに気温も若干ではありますが、低い気がします。
でも暑いけど。

半月ほど前には抜け殻を見つけたそのそばで、
今度はその使命を全うした蝉が落ちていました。
ああ、私もこの蝉のように、何事かを全うしなければならない。
それにはまず、このボロ農民車にペンキを塗る。
たとえ終わりが見えずとも、
塗らねばならない、錆のある限り。







230808-2





六月二十五日に一回目を塗った運転席の床板ですが、
案の定、浮き錆は出てきています。
とにかく、これを退治しないと運転席やチェンジレバーを組めない、
ということはタイヤが動かないから車体をウマからおろせない、
ということで二回三回と塗り続けるしかないのですが、
そもそも塗料缶の蓋を開ける決心!
これがなかなかつかないのが情けないところ。
作業着に着替えるのは暑くて面倒だし、
塗料缶の蓋はなかなか開いてくれないし、現場に行けば
蚊取り線香もモノともしない羽虫の大群が
たちまち顔にたかってくるし…。
顎のしたに蚊取り線香をもってきても、
なお寄り集まってくるんですよ。

「見ろ、人がゴミのようだ!」

なんて喜んでるどっかのメガネ大佐には、この仕事はできませんね。
する必要もないか。

羽虫は目に飛び込んでくるので、
草刈り機を使うときに着けるゴーグルを、この暑いのに
しなければなりません。
ああうっとおしい。







230808-3







その床下の裏側は、もっとはっきりした浮き錆びが一面に。
こういうのを見ると、思い切って塗る決断をしてよかったとは思います。
ちなみに、左上のスリットの左上と右下にあるのが、
自分で開けたのを忘れていた穴。

いちいち錆の写真を部品ごとに撮るのも面倒だし、
正直いって同じことなのでこれ以上撮りませんでした。
しかし印象として、塗る回数を増やせば、錆が減ってくるのは
確かなようです。すべての面を全部塗るのではなく、錆の見えた
ところを大雑把に隠していく、という塗り方なので、ペンキの量も
塗る時間も少なくてすみます。

それがこの単調な作業をなんとかやっていく糧といえるでしょうか。









230808-4






本日の作業。
車台下・部品・ホイール等塗りこみ、二時間半で終わり。
まったく、どこが進んでいるのかわかりませんね。
ほんとに秋までにウマから降ろせるのかなあ…、








― その14 ―








230813-1





さすがにもうそろそろ下回りの塗装も終わりか、と
気も緩んでいたのですが、まだまだ、見逃していた錆が
見つかりました。
これは右後輪のブレーキ。
中途半端な錆止め作業で、塗ってないところが座視しかねるほど
進行した錆で覆われていました。
反対の左後輪は曲がりなりにも錆止めを塗っていたのですが、
こっち側は、もともと錆がほぼなかったので、まあいいかと
そのまま忘れていました。
それが、何年もブレーキドラムを外したまま放置されていて、
一気に錆が進んだようです。

「ワッハハハ 僧官殿は心配性じゃのォ」
「おろかな! 敵をあなどっては勝てる戦でも敗けるわい」

ううむ、チャルカ様の戒め、身に沁みます。







230813-2





ディスクグラインダーの平型ワイヤブラシでざっと取りましたが、
どうにも届かない部分が多すぎます。
要するに部品を全部ばらせばいい話なんですが、
シリンダーまで外すとなるとブレーキパイプも外して
中のブレーキオイルも抜かなきゃならんし、バネのついた部品は
外すのも組み直すのも大変だし…。

それに、現場状況としてこっち側は法面があるので、
腰をかがめて両膝の間から手を伸ばしてやる作業姿勢。
法面は落ち葉が堆積して足場は斜めで安定しないし、
暑い中、長時間やってたら脳がオーバーヒートしそうです。
だから見えるとこだけ、手でワイヤーブラシをかけてヨシにします。







230813-3






手作業では地金が出るまでのことはできませんし、
まだ届かない隙間がありますが、
こんなもんでしょうか。
明日の夜には台風の影響が出てくるので、錆止めも
乾くのに一日みておかなければ…。

それにしても、下側のブレーキパッドが剥がれかけです。
しかし、いまどうにかする時間がありません。
「スーパーX」かなんかでくっついてくれりゃいいんですけど。








230813-4






ついででもないんですが、運転席付近にもまだ残っていました、
錆を取らなきゃいけないところが。
運転席の背もたれにあたる鳥居さんの下端部、赤い錆止め塗料の
垂れている部材は荷台を支えるC字鋼。
錆止め塗料は、そのC字鋼の内側から塗りたくったのが外側に
溢れてきたものです。
要するに、上のほうに錆穴が開いてるってことです。
ものもと、ここにはフェンダーとC字鋼が溶接されており、
土埃やゴミが溜まる構造で、そこに雨が降るといつまでも
水分がとどまって錆ができやすいのです。
いままでもさんざん書いてきましたが、そんな箇所は
この農民車のいたるところにあるのです。
フェンダーはわずかな錆残りでC字鋼とくっついていましたが、
はずす際に切り取ったので、その名残があります。
そこから下は、フェンダーを取り付けると、当然見えにくくなり、
作業もしにくくなるので、いまのうちに錆取り処理はしておくのが肝要。
なんでいままでそれをしたおかなかったのか?
これも、こっち側に法面があって作業がしにくいから。
でも、どう逃げていても、いずれやらなければならん事でした。
だからいまやります…。






230813-5





あースッキリした。
ちなみに、向こう側のC字鋼はちゃんと錆止めして本塗装まで済んでます。
あっち側は立ってできる作業なんだよなあ…。

真ん中にある車台の上には、L字アングルが反対向きに
溶接されていますが、穴が三つあいていて、運転席床板の一部(普通鉄板製)が
固定されますので、ここも錆取り。






230813-6





L字アングルの裏にはナットが溶接さていました。
アングルは垂直がでていません。
この隙間には、薄いワイヤーブラシも入りづらくて、
錆が取れているかの確認もできない有様。
あと一センチでも間隔があれば仕事もしやすいのに…。

このアングル、車台の鋼材にはギリギリで届いて
溶接されていますが…、




230813-7





車台の左側では、こんなに余ってる(ガクッ!)。
おまけに、後ろの垂直鉄板との間隔は、こっちのほうが数ミリ広いのです。
アングルは位置決め採寸もなく、
まっすぐ溶接されてもいなかった…!
アバウトすぎ、この農民車。
まあ私の作業も人のことは言えませんが。





230813-8




錆止め塗料が余りそうなので、左後輪のブレーキも
浮き錆びを取ってから塗りなおします。
こっちも数年間の錆と埃が堆積。
やはり下側のブレーキはなにかと溜まりやすい形状で、
想像以上に錆びていました。






230813-9





運転席部、錆止め終了。






230813-10






ブレーキも、左右錆止め終わり。
今回の塗装は、全部刷毛ではなく筆でやりました。
こまかいところがほとんどだったので…。
刷毛でやると、かえって時間がかかったかもしれません。
アイボリー塗装は、台風が去ってから。










― その15 ―









230826-1






盆休みは一週間もあったのですが、
まあお盆はいろいろと親戚づきあいも忙しいし、そんな時期に
社員旅行はあるし、台風も来たし、
要するに農民車には触れませんでした。
今週は休みが今日だけですが、作業を進めましょう。
あいかわらず塗装です。

この作業スペースが狭小な右後輪、荷台に直接かけてある屋根と
法面の間にあるため、一メートル弱の空間しかありません。
この法面の最下部、つまり農民車の土台となっている
コンクリート片の端っこには、とってもとっても土が崩れてきます。
この土がウマの下部(写真では緑色の箕がかぶせてある)を
腐食させるので、崩れた土は除かなければなりません。
塗装前に手で十回ぐらいすくい取りました。

このところ雨続きで、法面の土は湿ったまま。
ここに腰をおろしたくはありませんが…。






230826-2






湿った法面に腰を下ろしても間に合わず、
横になって左肘を土に着けながら筆で塗装。
なんか寝そべってもこれ以上カメラ位置を下げられませんが、
筆の届くところは塗れました。
当然ながら塗れていない場所もたくさんあるので、塗っても無駄かも
しれませんが、塗らないよりはマシ。
この努力を認めてください、神様。

それよか、下側のブレーキパッドがとれかけ。
スーパーXでくっつかないだろうか?







230826-3






ふだんは、こんな感じで雨天時の泥はねを防いでいます。
法面が車体より高い位置のあって、雨のあとは想像以上に
泥がこびりついているのです。

ちなみに、立てかけてあるのは下の溜池に何年も浮いていた
プラスチックの何か。
こんなゴミも役に立ちます。







230826-4







さてこっちは左後輪。
天国のように作業しやすい高さですが、タイヤハウスと並べた前輪がちょうどいい
空間だったのか、クモが巣を張っているので取り除きます。
申し訳ない。







230826-5






塗装終了。
写真で見るとほんとにキレイなんだが……。

ブレーキパッドは、どれも寸法が数センチ足りません。
まあ農民車はせいぜい二十キロほどしか速度が出ないので
心配ないかもしれませんが、パッドにアイボリーがついちゃったのは
ちょっとまずいかも。
でもこうしないと塗れないんだよな。

とにかく、今日の作業は終了。
まだ十時半だー。







230826-6






あっ!運転席下の塗り忘れを忘れてた!
もう余った塗料も使っちゃったので、また塗料缶から足してこないと。
ほんとにもう。







230826-7





結局十一時半くらいになっちゃいました。
この運転席床板取り付け部のアングルと荷台鳥居の間の隙間、
これにも筆が入らないうえに目視もできないので、
ちゃんと塗れているのかどうかわかりません。
まあ塗り切れないところはここ以外にもあるので、良しとします。

……いや、良しとするべきではないのですが。
こういういいかげんなレストアをしていると、つくづく市販車のレストアなんか
しなくてよかった、とホッとしています。
だってねえ、農民車にパテなんか着けて研いでも……ねえ?









― その16 ―









230916-1






ちょっと用事が立て込んでいて、うっかりしてたら
半月以上も作業をやってませんでしたが、
例年に比べればペースはいいほうです。

九月中旬になっても三十五度近くが続いていて、歩いただけで脂汗が
吹き出てきますが、なんとか気合を入れて農民車に向かいましょう。

塗装作業はそう悩むことがないのは楽なのですが、いいかげん
飽きも来ます。だからやっと違うことをします。
今度こそ。
空になったミッションオイルを入れるのです。
こんな単純なことでも、農民車では知恵の輪を解くように順番と
合理的な理屈を考えなければなりません。
今回は、2020年―その5―を参照しながら考察すると
わかりやすいかと思います。

まず、ミッションケースにオイルを入れる穴がどれかわかりません…。
実は、自分の自家用車でもエンジンオイルは入れたことが
あるのですが、ギヤオイルは足したこともありません。
そういえば、初めての自分の車、オートザム・キャロルのエンジンオイルを
替えるとき、間違えてギヤオイルを抜いてしまい、エンジンオイルを
抜かずにその上から規定量を足す、という愚行をしてしまった
苦い初体験があります。
ギヤオイルを空にして、エンジンオイルを倍にして走るのです。
どうなるかというと、上り坂を走っていると突然ギヤが外れて
ニュートラルになり、猛然と空ぶかししてしまうのです。
まあ、もう何十年も前の話ですが、

「ひょっとして、あれはギヤオイルだったのか…!」

と、あとで慌てて整備屋に持っていって、いらん金を使って
所定のオイルを補充・交換してもらいました。

その点、農民車はエンジンとギヤボックスが明解にわかれているので、
ボケナスの近野でも間違えることはないでしょう。

話を戻して、オイルを入れる穴がわからないので、上の写真でいう
①のいびつな蓋を開けてオイルを流し込むことにします。
この蓋には②のチェンジレバーに繋がるリンクがついています。
この②にチェンジレバーが直接組まれるのですが、このままでは
すぐ横のシャーシーが邪魔で組めません。
したがって、ギヤオイルを入れるために蓋を外すこのタイミングで
レバーを組めば、一石二鳥となるわけです。






230916-2





いびつな蓋①を固定する四つのボルトを緩めると、塗膜を破って
蓋が浮き上がります。内部にバネが入っていて、常に蓋を押し上げている
ためですが、なぜこのようなバネが必要なのかは不明です。

ネジ頭の塗装もズル剥けなのですが、これはしょうがないです。







230916-3






ミッションケース横の点検孔に共締めされる③は、コラムシフトをフロアシフトに
変えるための重要部品だそうで、チェンジレバーを取り付けるためには、
同時に③も取り付けておかねばなりません。点検孔の蓋の縁は微妙なラインの
折り返しがついていて、重要部品③のアングルが曲がっているような
気もしますが、気にしないことにして先を急ぎます。
過去記事をみると、蓋①にはガスケットがあったようなので、
たしか液体ガスケットをどっかで調達してあったはず、と倉庫に
探しに行きます。初めから用意しとけばいいのですが、
そこまで頭がまわればもっと作業がはかどってます。








230916-4





おもむろにガスケットのチューブを開けようとしたところ、
なんだか様子が変。チューブがちょっと硬いぞ?
…あっ!蓋が横に割れてるっ!
もー、だから樹脂製のは嫌なんだよなー。
金属のなら、錆びさせなきゃこんなことにはならないんだが…。






230916-5





どうせもうこのガスケットは使いモノにならないので、
まだ柔らかさの残る底部を手で切り開いて、
なんとか塗り広げます。

さて、硬くならないうちに早くいびつな蓋①を
閉めないと……おっと、その前にオイルを入れなきゃ!
あーあぶない、また二度手間をかけるとこだった。
それよりあらかじめオイルを用意しとけよなー。







230916-6





肝心のギヤオイルは、とうとう規定量が判明しませんでしたので、
排出した古オイルの量から想像するしかありません。
2020年の―その5―、写真200320-9を見ると、4リットルのバットには
四分の一も廃オイルが溜まっていません。
が、念のために多めに1リットル入れることにして、
アマゾンで買った味も素っ気もないデザインのトヨタ純正ギヤオイルを
計ります。4リットル缶でたしか2500円くらい。
オイルの粘度は無視することにします。

さあて早く入れないとガスケットが固まるぞ。
意気揚々とギヤオイルを入れてたら、なんだか視界の端っこに
違和感が……。






230916-7






うっぎゃあああ、オイルが垂れてんじゃん!
なにこの穴?そういや、さっきの2020年―その5―で、この穴に
ついてた謎の鉄板とボルトが書いてあったな…。
あのボルトのゴムワッシャーは、やっぱり漏れ止めだったのか。
うわー、もったいないー。
大慌てでボルトと鉄板を探し出して(一応、塗装後にひとまとめにしてあった)、
穴を塞ぐと、オイル漏れは停まりました。

やれやれ。自分で書いてあったことをちゃんと予習してから
事に臨むべきだ。メモしたことがまったく無駄じゃないか。
いい年して成長がないぞ近野。







230916-8





ギヤボックスの黄色い横線は、オイル漏れしたボルト穴の高さ。
この下部分には、ギヤボックスの出っ張り④があります。
こういう出っ張りがあるということは、そこにギヤオイルが溜まる設計なのかも。
そうだとすれば、やはりギヤオイルは1リットルもいらないのかもしれません。
これが正しいとすれば、ボルト穴からオイルが漏れたのは、
怪我の功名と言えるのかも…?

自分のドジを自分で慰めるのはこれくらいにして、またも失敗。
黄色い横線の上は重要部品③ですが、真上から垂直に降りてくるのは
シフトレバー、またの名をチェンジレバー。
重要部品③には、そのレバーが貫通していなければならない
はずですが、どう見ても中途半端。
そう、重要部品③を、天地逆に取り付けていました。
さらによく考えると、この重要部品はシフトレバーのチェンジレバーを
取り付けた後でも組めることがわかりました。
ああ、また最初っからやり直さなくてよかった…。
不幸中の幸いとはこのことよ。







230916-9





う~む、おおむね牛乳瓶一本分は流れてしまったか。
ウエスでできるだけ吸い取って、ウマの防腐剤として材に
浸み込むようにしました。オイルジョッキで受けられた約50ccは、
普通の潤滑用オイルとして再利用。
転んでもただでは起きませんよ。






230916-10





4本のボルトには長短二組があって、⑤の位置には
長いボルトは突き当たって最後まで締められませんでした。
長いボルトは⑥に入れましたが、上部が窮屈でラチェットのソケットが入りません。
位置も悪くて見えづらく、メガネレンチを手探りで回しての仕事。
ボルト一本締めるのに、たっぷり2分はかかりました。

不思議なのは、オイルが漏れたのが⑦から
だけだったこと。なにゆえ⑤からは漏れなかったのか?
なぜオイルの溜まるギヤボックス内まで貫通するような
ボルト穴を、わざわざ一ヶ所だけ設計したのか?
…どうもよくわかりません。昭和30年代のトヨエースなので、
まだトヨタも試行錯誤のまま車を市販していたのでしょうか。
いくらなんでも考えにくいですが。


後日、2020年―その5―を確認したところ、
謎の鉄板は上下とも長いボルトで固定していました。
ボルト穴⑤には、長いボルトを締められるようなので、
⑤と⑥を入れ替えることにします。
別の疑問として、短いボルトにはパッキンがついていて、
長いボルトにはパッキンがないのです。
ということは、ギヤボックス内までボルト穴が貫通しているのは
⑥と⑦だけということになります。
そもそもこの⑥と⑦のボルトは、何の役割があるのだろうか?
ドレンとしてなら⑥は不要だし、ちゃんと⑧があります。



左のほうに天地を逆に組みなおした重要部品③が見えますが、
チェンジレバーがだいぶ下に突き出ているのがわかりますでしょうか。
これで充分なはずですが、まだ懸念はあります。

このギヤボックス、今回たびたび出る2020年の―その5―において、
ヘッドカバー(いびつな蓋①の基部)を開けたら中の部品が飛び出てしまい、
あわてて強引に閉めたことがあるのです。
あのとき、もしかすると複雑に構成された部品がズレたまま
閉められていたら…ギヤがちゃんと切り替わるかどうか、
ちょっと不安なのです。
ギヤボックスの中なんて、どう考えても手に負えるもんじゃありません。
これを確かめるのは、ちゃんと運転席に座ってクラッチを踏み、
チェンジレバーを操作してみるしかないのですが、
それにはまず運転席を組まなければ。

「わたしたち風の神様にまいにちお祈りします」
「いつもいつもいい風が姫姉さまのほうに吹くようにって…」

風の神様、どうかギヤがちゃんと動作しますように。







230916-11





おお、なんだかチェンジレバーが一本立っただけでぐんと農民車らしくなったぞ。
……って、そんなこと感じるのは私だけでしょうか。
しかし油脂類の充填は終わったので、あとは組むだけ。
もういちど風の神様にお祈りしましょう。
どうかギヤがちゃんと動作しますように!









― その17 ―









230929-1





右後輪のブレーキパッドが剥がれかけていたのが気になっていたのですが、
十日ほどまえに少し時間があったので、ボンド「スーパーX」を
使って接着してみました。接着物の両面に薄く塗って圧着しておくのですが、
その際に肝心なことは接着面をきれいにしておくこと。
なのですが、時間がほんとに十分ほどしかなかったので、
ペーパーがけするのを忘れていました。
そのまま鉄部のほうにスーパーXを塗ったら、ヘラに錆粒が付着。
しかし、すでにスーパーXは塗ってしまっているので、ヌチャヌチャの
面をペーパーがけなどできません。

「――まあ……、なんとかなりますよ!!」
『そ…… 言ってくれるか!! 助かるぞっ、ヤス!!』

と気楽に考え、百均のクリップで留めて、一日でいいのに十日も
そのまま置いときました。
てな具合に、本日くっついてるか見たところ…。






230929-2





あややや、全っ然くっついてない!
これほどまでに接着しないとは思いませんでした。
もしかすると、本当に特殊な接着剤でしかパッドは
着かないのかもしれません。

なんとかうまくいくのはマンガの世界だけなのか…!

自分のうっかりミスを補うべく、
お金を払ってパッドを貼り直してもらうこともできるでしょうが、
とにかくいまは分解する時間もないので、ここは一旦
おいといて、他を進めます。
現時点の目標はこの農民車を動かすことです。






230929-3





ということで、いよいよブレーキドラムを組むことにします。
塗装の浮き錆びについては、いまだにしつこく現れ続けていますが、
これもキリがないようなので、もうやめます。多いところはヘタすると
十回は塗ってるので、もうほんとにダメなのでしょう。

ドラムにはボルト穴と別個に三つの穴があいているので、
それとハブ側に対応した角度に合わせて装着するようです。
とくに3.の穴は、かつてこのドラムを外すためにボルトを
買ってまで利用したのですが、結局はなんの効果もなく、
いったいなんのために開いた穴なのかいまだにわかりません。
そう思うと、この位置決めに意味はないのかも……。

とにかくドラムをスポッと被せようとするのですが、
どうしたことだ、ブレーキパッドが邪魔でどうにも
入らんじゃないですか!




230929-4






ブレーキシリンダーのゴムブーツは伸びきっていて、
ピストンが突出しているようですが、ドラムを外した当時の写真を
見てみると、そんなに変わらないようにも見えます。
本来なら、ブレーキを踏んでいないときは、
シリンダーのすぐ横にあるリターンスプリングが縮んで
上下のブレーキパッドも縮むはず。そうなれば、
ブレーキドラムの内径よりも上下ブレーキシューが小さくなる、
という仕組みなのです。
両手でシューを挟んでブルーワーカーのように力を入れたんですけど、
もちろんそんな事で縮むはずもありません。

これはブレーキフルードを入れすぎたのが原因なのだろうか?
と考えて、マスターシリンダーの蓋を開けて内部圧力を抜いてみましたが、
なんの変化もありません。

ではこのピストンが壊れているのか?いや、それならリターンスプリングが
効いて、縮みすぎるほど縮んでしまうはず。

考えてみれば、もともとドラムを外すときもなかなか外れなくて、
ゴムハンマーで叩きながら外した記憶があります。
つまり、ドラム内径とパッド間は、ほぼ同寸なのでしょう。

今回もその要領で、ゴムハンマーでどつきながら
なんとか嵌めようとしましたが、どうにも入らないのです。
困ったなあ…。







230929-5





シリンダーをよく見てみると、4.の歯車がなんか不自然。
噛み合う相手のない歯車がなんでこんなところに?
あっ、ひょっとするとこれがブレーキシューの間隔を調整するハンドルなのでは。
そういえば、7.にはネジが切ってあるようにも見えます。
とすると、5.は歯車の角度を決めるためのものかもしれない。
5.には、歯車の谷と組み合わさるように突起がついています。
となると、6.のマイナスネジを緩めて……緩めようとしたのですが、
マイナスドライバーがナメてしまい、山がなくなりそうな
気配だったので、シリンダーとの間に木片を噛まして
5.を浮かせることにしました。そのうえで4.を回そうと
水道工事のプライヤーを使ったり歯車の山にマイナスドライバーを
当てて、ゴムハンマーで叩きながら回そうとしたのですが、
どうにも回ってくれません。
う~ん、このやり方が間違っているのか、ネジが固着しているのか。
正解がわからないので、力いっぱい回せないのです。

どうでもいいですが、このダストブーツはもう役に立ちません。
引っ張るとなんの弾性もなくちぎれていきます。
これはグリスで代用できそうですが、
問題はブレーキドラム。
こいつがなんとか嵌ってくれないと、車として使えません。






230929-6





これもどうでもいいんですが、荷台の骨のC字鋼に巣を作ってたドロバチは、
妨害しようと詰め込んだぼろ布にも土のトンネルをこしらえていました。
もういいかげん十月になろうとしているので、卵も成虫になって
どっかにいったでしょう。
ああ、いいなあやることが終わって。
私もこの農民車の泥沼からはやく這い出したい……。






230929-7





これはブレーキドラムを嵌めこもうとゴムハンマーで叩き続けた結果、
触れなかったブレーキの内側から落ちてきたゴミというか錆粉というか…
そんなもの。まだこんなにあったとすれば、そりゃあ「スーパーX」が
効かなかったのも納得がいきます。

とりあえず、今日は三時間近く作業しましたが、
進んだのは前回入れ間違えたボルトを入れ直したことだけ。
ああ虚しい。

♪かなーしくーてーかなしくてー
とてーもやーりーきれーない♪

ま、気を取り直して知り合いの元整備士に解決法を
教えてもらうことにします。







― その18 ―









231014-1







先週末は雨で作業ができなかったのすが、今週も日曜日は雨の予報。
したがって、土曜日の今日にやっとかないと。うかうかしてると、いまはもう秋。
だれもいない海。
それなのに休日出勤が入っちゃってて、ああもうどうしようと
身悶えの一つもしていたら、幸運なことに仕事がキャンセル。
給料は減るけどウレシイ近野です。

懸案を持ち越していたブレーキドラム装着ですが、
元整備士の知人に聞いたところ、ブレーキシューを内側に
縮める方法がわかりました。

写真231014-1は、ブレーキ関連一式を取り付けてある円盤
(これはなんていう名前だ?)の裏側。
1.のスリットにマイナスドライバーを突っ込んで、
梃子の原理で表側にある歯車を回すことで
ブレーキシューの調節ができるそうです。
やはり歯車にカギがあったのですが、まさかこの穴を使って
調節できようとは…!






231014-2






早速、家にある一番でかいマイナスドライバーで歯車を
こじってみましたが、どうも動かない。
2.にわずかに見えるのがドライバーの先ですが、右にも
左にも動きません。
浸透性潤滑剤・クレ556を吹くとします。ついでに、モロモロで
指でちぎれてしまうダストブーツはもう外します。







231014-3






ブーツの内部はグリスと埃のドロドロが凝り固まっていて、
金属面も無残な印象。
ピストンの可動範囲は3ミリほどしかありませんが、
それで最大にブレーキをかけた状態なんでしょう。
下側ピストンも等分に動いているとして、上下ブレーキシューがあと
6ミリ小さくなれば、ドラムは入ることになります。

知人元整備士によると、ドラムを取り付けたらば、ブレーキシューを
歯車でめいっぱい広げて、その位置から歯数を4本分だけ縮める方向に回したら
ブレーキ調整は終わりだそうです。
歯車の横についている小さな板バネは、ノッチの役割をします。
ブレーキシューは、ほんの1・2ミリの可動で効き目がでるようです。

ともかく、パーツクリーナーも動員して
ピストンをできるだけ掃除して動きやすくします。







231014-4






こっちは右側の、左側とは上下逆になったピストン。
ひどい状態のダストブーツは役に立っていないし、もう全部捨てることにします。
中身は見てられません。
狭い隙間が多すぎて普通のワイヤーブラシでは用をなさず、
細めのマイナスドライバーや千枚通しで固着物を除きます。
ピストン自体に傷をつけないようにしないと。







231014-5






それでもなかなか動いてくれないので、
全体重と脚力を使って、車体が揺れるほど力をかけると、
なんたることだ、マイナスドライバーの先がいがんじゃいました。
うーむ、これはトラックの車載工具なんで材質が安物なのかなあ。
いや、ちゃんと歯車が回る状態なら、この安物でも回るはず。
ちょっと困りました…。







231014-6






他力本願な話ですが、また知人元整備士に知恵を拝借することにします。
硬い工具で回ってくれるかなあ。

雨の予報が早まってきたのか、ポツポツ雨も降ってきました。
今回もロクな作業ができませんでしたが、
昼飯までまだ半時間ほどあるので、できるだけゴミと錆を
除去しました。
ピストンに銀色面が見えないのが不安。







231014-7






左側のブレーキですが、なんと銀色の部分が出てきました!
この色が見たかったんですが、この一ヶ所しか健全な部分が
ないようです(泣)。ピストン自体はそう銀色でもないし。
動いても大丈夫なのかな、このブレーキは。

悪いことに、この健全部の調節は、左右とも内側にある板バネが邪魔をして
まっすぐドライバーを歯車に掛けることができません。
もちろん右側も同様で、面倒なことになりそうです。







231014-8





マンガの描画テクニックに、
筆先にホワイトをたっぷりつけ、黒ベタの上に息で吹きつけて
星空とするのがありますが、
汚い錆汁をパーツクリーナーが炸裂させてしまいました。
今日はここまで。
クレ556をこれでもかと吹き付けておきます。
来週にはなんとか緩んでくれるだろうか…。









― その19 ―









231022-1





固着して回らなくなったブレーキシュー調整歯車。
知人元整備士に相談しましたが、今回はあんましはかばかしい
回答がなく、

「パイププライヤーで回す」

という、私がすでにやった手段でした。歯車にマイナスドライバー等を
あてがって金槌で叩く、という案は、歯が欠けてしまいかねないので
推奨できないとのこと。
八方ふさがりか、と危機に瀕したのですが、なんと無事に回ってくれました。
上記写真のように、ノッチの板バネの間に無理矢理プライヤーを
差し込んで、しっかりと歯車を掴めるようにして、最大握力で
握りながら体重をかけると回ってくれました。
やれやれ。






231022-2





一旦回った歯車は、プライヤーでなくとも、正規の方法…裏側の
スリットからマイナスドライバーを差し込んで、梃子の要領で
歯車を回すことができるようになりました。
しかしです、いくら回してもブレーキシューが動いている気配が
まるでないのです。
初めは上記写真とは反対方向…つまりピストンが上方に動くよう
のの字方向に歯車を回したのですが、なんだか見えるネジ山が
減っていく感じがしない……確認のためにドラムを嵌めこもうと
しましたが、やはり入りません。
それではと、のの字とは逆方向に思いっきり
回してみたのが上記写真ですが、ネジ山が乾いている部分があるので
空回りはしていないようです。しかしやはりブレーキシューは
広がってすらいないのです。

これはいったい、なんとしたことじゃ。
おまけに、無理矢理プライヤーを入れたので、ノッチのバネが
戻らなくなっちゃいました。

うーむ、ノッチはいいとして、なにがどうおかしいんだろう。
また知人元整備士に相談か…。

今日は三十分も時間がなかったので、これで終わりです。







[目次へ]


[2018年へ]

[2019年へ]

[2020年へ]

[2021年へ]

[2022年へ]

[2024年へ]